ベンチャー一年目のリアル 就活で揺れた後の葛藤と成長

ベンチャー企業に就職して一年目の今、就活で何度も方向を見失った自分を振り返ると、あの頃感じていた焦燥感は消えていません。同級生が大手企業からの内定を次々と報告する中、自分だけがどこにも決められないまま説明会を巡っていた日々がありました。

そんな私が最終的に選んだのは、社員三十数名の小さなベンチャーでした。給与も福利厚生も大手には及びません。それでも入社を決意できたのは、面接の途中で「この人たちと一緒に働きたい」と素直に感じられた瞬間があったからにほかなりません。

就活で迷い続けた半年間

大学三年の夏から始めた就活は、想定以上に長いトンネルでした。業界研究を手当たり次第に試しても、「自分がこの業界でなくてはならない理由」を言葉にする作業は一向にはかどりません。友人から「とりあえず大手に行けば安泰だ」と言われるたびに、自分の軸のなさを痛感しました。

合同説明会で何十社ものブースを回っても、胸がときめく瞬間は一向にやってきませんでした。企業理念を暗記しただけで満足し、面接官から「あなたは何に困っているの」と逆に問われると、言葉に詰まるばかり。就活イベントの華やかさの裏で、自分の軸が定まらない苦しみを誰にも共有できないまま、毎日を過ごしていたのです。

ベンチャーを選んだ決め手

転機になったのは、大学キャリアセンターで紹介された中堅ベンチャーの一次面接でした。そこで会った代表は、学生時代に学生団体を立ち上げ、社会人と学生を繋ぐ活動をしていた22歳の頃がありました (学生団体立ち上げの事例)。「正解がない問いに、自分たちなりの答えを生み出すのがベンチャーの本質だ」と話してくれたことが強く印象に残っています。

給与も福利厚生も正直、心配でした。それでも、面接の帰り道に妙な高揚感があったのを覚えています。「ここでなら、自分の判断で事業を動かせる」―そう信じられたことが、何よりも大きかったのです。

入社直後に待っていた現実

四月に入社した翌日から待っていたのは、業務範囲の広さでした。営業資料の作成と納品先へのメール対応、会議の議事録整理、SNS運用補助、時には代表のアポイントの調整まで任されます。新人研修のような手厚いサポートはなく、最初の数週間は戸惑いの連続でした。

入社前に思い描いていた「裁量の大きい仕事」は、必ずしも「やりたい仕事」ばかりではありませんでした。雑務に追われる中で、自分の成長を実感できない焦りが日に日に募っていきました。先輩社員に相談しても「それも仕事のうちだよ」と軽く流されることが多く、一人で抱え込む時間が増えていきました。

裁量という名のプレッシャー

入社して半年が過ぎた頃、初めて一人で顧客への提案を任されました。準備は入念にしたつもりでしたが、当日の反応は予想以上に厳しく、契約には至りませんでした。上司からは「次に向けて改善点をまとめて」と淡々と指示されるだけで、悔しさや恥ずかしさを吐き出す場がありません。

ベンチャーの「裁量」は、自由であると同時に「責任の重さ」を意味していました。誰かの指示を待つのではなく、自分の判断で動く。その醍醐味は確かにあるのですが、判断を誤ったときに自分一人で引き受けなければならない重圧は、想像以上のものでした。休日も頭のなかが仕事のことでいっぱいになり、自分は社会に向いていないのではないかと落ち込んだ夜もありました。

周囲の目が気になった瞬間

一方で、友人からの何気ない一言が刺さることもありました。「ベンチャーって、たいしたことないよね」「すぐに潰れるんじゃないの」といった言葉を投げかけられたとき、胸の内がざわつく自分がいました。入社したことに誇りを持ちたいのに、外部からの評価に振り回されてしまう。

SNSで同期が大手企業での研修風景や海外出張の写真を上げているのを見て、自分の働き方と比較して落ち込む夜もありました。ベンチャーのスピード感や裁量の大きさを言葉で説明しても、具体的なリアクションは返ってきにくいものです。「大変だよね」「そんなものかな」と言われるたびに、自分の選択を肯定できない苦しさがこみ上げてきました。

一年目で見えた自分の輪郭

しかし、一年目が終わる頃、少しずつ見え始めたものもありました。それは「自分が本当に困ったときに頼れる相手」の存在です。入社当初は距離を置こうとしていた上司が、実は失敗談を包み隠さず共有してくれる人だったと気づいたとき、孤独感が薄れていきました。

雑務に振り回されていた初期の数ヶ月は、無駄な時間ではなかったのだと今は感じています。営業資料の作成を繰り返す中で、言葉の選び方やロジックの組み立て方が鍛えられました。一人で顧客提案に臨んだ経験は、次に必ず活きてくるはずです。自分の判断で事業を動かせる環境は、まさに「失敗から学ぶ」最前線なのだと、少しずつ腹落ちしてきました。

ベンチャーで一年目を過ごす人へ伝えたいこと

二回目の春を迎える今、自分がベンチャーを選んだ判断が正しかったかと問われれば、まだ断言はできません。ただ、ここでの一年間は、大手で同じ時間を過ごすよりもずっと密度の濃い学びがあったと、胸を張って言えます。就活で揺れた経験すらも、今となっては自分という人間を理解するための大切な素材になっています。同じような迷いを抱える若手社会人の実例は、就活メディアの繋がリアンにも多数掲載されています。ベンチャーの一年目は答え合わせの連続で、明確な正解は後からしか見えませんが、その分だけ自分の軸は確実に太くなっていきます。

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