図2     フリーペーパー「コトノハ」 奈良の魅力を伝えるために制作された。 文庫本より二回りほど大きな冊子。 レトロな外観。女子が好みそうな色合い。 ページをめくるたびにあふれ出る、「コトノハ」に詰め込まれた思い。 『奈良』とは?『コトノハ』とは? 私はこのインタビューで、奈良を愛する二人の代表に出会った。   図3 大学生になって訪れた奈良の地。人の暖かさや古風な街並みのぬくもりに触れ、奈良の良さを実感した。まるで故郷のように、また帰ってきたくなる安心感。住吉さんも川瀬さんも奈良県出身ではない。そんな二人が感じた奈良の魅力をフリーペーパー「コトノハ」という形で発信したかったのだ。 それまで奈良には、大学生に向けた奈良を紹介する形式のフリーペーパーがなかったことも要因のひとつであった。

『自分たちで「受け皿」を作ることによって、地方からぽんとやってきた学生が、

奈良の町やそこに住む人々を知るきっかけをつくりたい。』

  図4 〔初めての制作〕 フリーペーパーを制作するにあたって、二人は大きな壁にぶつかった。集まったメンバーの中にフリーペーパーを作った経験のある人がいなかったのだ。初めての制作。デザインの方法もわからない。資金は?何を使って製作する?何から手をつけたらいいのかわからず、途方に暮れてしまったときもあった。   〔周囲の人の協力〕 彼女たちの活動を支えてくれたのは奈良に住む人々、そして彼女たちの活動を知って力になりたいと連絡してきた他大学の学生であった。 奈良を伝えるフリーペーパー制作の協力を願い出ると、奈良の活性化に繋がるとして 積極的に助力してくれた。店を営んでいる地元市民は取材に快く応じてくれた。そんな地元市民との交流を経て、さらに奈良に対する愛が深まり、それを伝えたいという気持ちも強まった。 パソコンを使ったデザインを教授したのは、同じく奈良県出身の大学生であった。奈良に住んでいる人間として、奈良を愛し、活性化させようとしている彼女たちのことを陰ながらサポートした。

『みんなが好きな奈良を伝えたいという気持ちが強まった。』

  〔フリーペーパーらしくない〕 彼女たちが作り上げたフリーペーパーは、従来よく見られるものとは少し異なっている。 文庫本を一回り大きくしたサイズ。デザインだけでなく紙の素材にもこだわり、一見すると何かの冊子のように見えるほどかわいらしいデザインであった。女子大生の目線から考えられた「無料でもらえるかわいいもの」をコンセプトにし、かばんに簡単に入り邪魔にならないサイズでと考えられた。

『いつまでも置いてもらいたい』

  図5 奈良の大学に通う大学生に奈良を知ってもらいたい。周辺にある奈良の人が経営しているお店に行ってほしい。 そんな気持ちが込められたフリーペーパー「コトノハ」。 その内容に目を通してみると、「店」よりも「人」に焦点を当てていることがわかる。それは奈良で店を営んでいる人を取り上げることで、今まで行きたいと考えていた人に「こんな人がこの店にいる」ということを知ってもらうことができる。さらに紹介した店のクーポンをつけることでハードルを下げるという嬉しい工夫もされている。 行きにくさを行きやすく、街角で隠れていた奈良の魅力をそこにいる「人」に軸をおいて紹介しているのだ。           さまざまな工夫がなされているフリーペーパー「コトノハ」。 女子大生である彼女たちの目線だからこそ考えられる見せ方。 奈良県外からやってきたからこそ見ることのできる新しい奈良の姿。 奈良県民である私は、彼女たちの話を聞きながら自分の知っている奈良は氷山の一角に過ぎないのだと気づいた。 「故郷」とは「人」と「土地」でできている。 そんな当たり前でありながら見過ごしてしまっている大切なことを感じた。 彼女たちはこれからも学生たちに向けて奈良に隠れたたくさんの魅力を伝えていく。 小さな「コトノハ」にのせて。

【文:村島由花】

【写真:山下紗代子】