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No.99

Monash University Consortium Program2012 震災プロジェクトリーダー

 

名前:高橋 梨紗

大学:お茶の水女子大学

 

 

2/27~3/23までの約1ヶ月間オーストラリア、ビクトリア州にあるモナシュ大学で行われたConsortium Program2012。このプログラムは今年で7回目を迎え、今回は大阪・名古屋・一橋・お茶の水・九州・埼玉・学芸大学の計7大学約140名によって構成され、各々がホームステイをしながら週5日モナシュ大学で現地講師の授業を受けた。

 

今回のインタビューでは、授業と並行して準備がすすめられ、3/12に後述する世界7大学とのTV会議が行われた「震災プロジェクト」について、リーダーを務めたお茶の水女子大学1年の高橋梨紗さんに、そもそも震災プロジェクトとは何だったのか、そしてそこから得たもの・考えたことなどを伺った。

 

 

風化させないこと。

 

―― まずはじめに3月12日に行われたTV会議の概要を教えてください。

 

日本に来て日本語を勉強している世界7大学の留学生が集まる国際フォーラムが3月11日からお茶の水大学で行われていました。そのプログラムの一貫として同時期にモナッシュ大学に本学の学生が行っているので、オーストラリアの学生の意見も聞いてみようということになって開催に至りました。

こちら側の参加者は約11名で、向こうは正確な数字は分からないのですが、20名ほど参加しました。

まず、原発の状況を簡単に説明し、オーストラリアの人たちと日本の人たちの震災・原発についての受け止め方の違いについて発表しました。その後、世界7大学の人たちの質問に答え、最後に九州大学のリーダーの中西さんやジャパニーズクラブのモルガンさんなどが「これから日本がどうして行くべきか」ということについて自分の考えを述べました。

 

 

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―― 11人というのは本当はもっと希望者がいた中で選らばれた人達なのでしょう?

 

希望者は結構いたのですが、三連休の最終日だったのでなかなかみんな予定が合わず、結局各大学のリーダーを中心とした構成になりました。

 

―― で、阿川さん(一橋大学のリーダー)は参加しなかったと(笑)。

 

阿川さんはちょっと忙しかったんです(笑)。

 

話し合いは本当に簡潔にまとめると、ボランティアをしましょうといった結論だったのですが、自分達がやれることとして震災のことを忘れないことが一番のボランティアだという想いを提示しました。

 

―― 風化させないことが次の世代の教訓になりますからね。あと、TV会議とともに高橋さんが一人で話し合いに参加したということも聞いています。

 

私がジャパンクラブのfacebookページに「こういう震災に関するTV会議があります。」という書き込みをしたら、モナッシュ大学の吉光先生が興味を示してくれてメールを送ってくれたんです。モナッシュで日本語を勉強している人達のなかの上級クラスに来て、日本の原発の現状だとか日本人がどう震災に向き合っているのかを話して欲しいと言われて、学生20人ぐらいを前にして話しました。この話し合いは阿川さんが企画したバー飲みの日の午後に行われました。

 

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―― 阿川さんが乾杯イッキをしてるときに高橋さんは話し合いをしていたんですね(笑)。

 

そうですね(笑)。そこでもまず震災の状況を話して、その後質問を受けました。どのようなボランティアがありますか、震災の時何していましたか、これからしなきゃいけないことは何ですかといった質問を受けました。

 

 

世界に向けてアンテナを張る

 

―― 7大学合同でやったことに関してよかったことや気づいたことはありましたか?

 

世界各国の学生がいたので、情報を世界に発信出来た事はよかったと思います。

 

世界の人もみんな関心を持ってることもわかったし、震災の大きさを改めて感じました。

 

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―― 地域の違いが認識の違いに繋がっていませんでしたか??

 

日本とオーストラリアで、原発についての認識の違いがあったのは興味深かったです。

 

たとえば、日本人は原発を増やす事には慎重な一方、オーストラリアの人はもっと増やすべきだと言っていたり…。

 

―― 認識の違いという言葉が出てきましたが、オーストラリア人の方の震災の捉え方をもう少し具体的に説明していただけたら嬉しいです。

 

オーストラリアは地震がほとんどなく、あったとしても大変小さいので、あまり理解するのは難しいのではないかと思っていたのですが、オーストラリアではブッシュファイヤーや洪水をはじめとした自然災害が多いので今回の震災に対して「大変だな」というのは理解してくれていると思いました。

 

―― 私も現地のTV番組で福島に関する報道を目にしました。関心は確実にありますでしょうね。

 

その一方で日本人は震災後、防災意識が高まったり、メディアへの不信感を募らせたり、原発への関心が強くなりましたが、オーストラリアの方は、特に意識は変わっていないと答える人も多かったです。

 

私的な見解なのですが、オーストラリアも日本へウラン等の資源を輸出していて、原発問題には無関係という訳ではないと思うんです。

 

ですので、世界の出来事に対しても目を向けることをもっと意識したほうがいいのでは?と感じました。

 

 

 

みんな考えてはいるが「機会」がない

  

―― そもそも何故震災プロジェクトに携わることになったのかを教えて頂けますか。

 

震災から1年が経つなかで色んな人がボランティア等に行ってるのを見ていたのですが、私はこれまで何もしていなくて…

 

ボランティアについての話を聞く機会はあったのですが、自分からは何も行動していなくて、1年という区切り目にせっかくオーストラリアに来てるし何か出来ることがないかなと探していたら今回の研修でお茶大のリーダーとなり、留学を担当している先生に震災に関して何かやって欲しいと言われたんです。

 

―― 絶好のタイミングでしたね。お茶大のリーダーになった理由は?

 

楽しそうだったからです(笑)。

 

―― 今までも組織のなかでリーダー的役割を務めることが多かったのでしょうか? 

 

多かったです。中学の頃からずっとですね。

 

―― 震災に関して何か行動しなきゃとかやらなくてはと思っているけれども、一歩踏み出せない、1年間何も出来なった人も数多くいると思います。それは何故だと高橋さんは思いますか?

 

うーん、なんだろう。正直言うと一部の人にとってはめんどくさいというところはあると思います。行くのもそうだし、人って何かきっかけがないとやり始めないじゃないですか。

 

ボランティアサークルに入っていたりとか、近くにすごい熱心に活動している友達がいたらまた話は別だと思うのですが、多くの人はそうじゃないから機会がないと思うんです。

 

みんな考えているとは思うんですけどね。

 

―― そうすると高橋さんにとっては今回が本当にいい機会だったということになりますね。 

 

 

震災の日、高橋梨紗は何をしていたか

  

―― 震災当日、高橋さんは何をされていましたか?

 

私は去年大学受験だったので3月10日にお茶の水大学の合格発表がありました。

 

無事合格したのですが浪人だったため余計に嬉しくて、翌日11日は予備校で親切にしてくださったチューターの方に母親と一緒に挨拶に行くことになっていました。

 

そして当日、お菓子を買ってさぁ予備校に向かおうとしていた電車のなかで地震を経験しました。緊急停車し、「窓ガラスが割れるかもしれないので内側にみんな集まってください。」というアナウンスが流れました。30分くらい電車のなかで待った後、新宿駅のホームに前一両だけ入っていたため、その車両のドアから順々に乗客の方は降りていきました。

 

その後も3時間ホームで電車を待っていたのですが電車は来ず、諦めて予備校に行ってチューターの方に「ありがとうございました」と挨拶して、4時間かけて自宅まで歩いて帰りました。

 

帰り歩いてる時も、みんな列をなしてひとつの方向に向かって歩いていくわけですよ。途中でおじいちゃんとかが疲れちゃって転んでしまっていて、震災の恐怖を肌感覚で目の当たりにした記憶があります。 

 

―― 1年経って記憶が少なからず薄れてきてしまっていると思うのですが、地震が起こった瞬間、何を最初に感じましたか?

 

最初は何も感じませんでした。「あ、地震だ」程度でした。別に自分も安全だったし、駅で取り残されたわけですからテレビもなくて情報が入ってこなかった。津波が来て、無数の命が奪われたということは4時間かけて家に歩いて帰った後、テレビを見て初めて知りました。こんなに大きな被害が出ていたとは想像もしていませんでした。 

 

 

自分から仕掛けていく姿勢

 

―― TV会議を通して発見した課題は?

 

課題ではないのですが、TV会議ではあまり時間がなくて、意見交換が十分に出来なかったので是非他国の人と震災についてもっと喋りたいと感じました。

 

―― 喋る内容を詳しく教えて下さい!

 

今後日本はどうやって復興すればいいかとか実際のところ震災のニュースを見てどう思ったかなどは話したいですね。

 

日本にいるとどうしても感情的になってしまうことがあるかもしれないので、異なった視点からの意見も聞けたらなと思います。

 

―― 会議を通じて個人的に一番感じたことを教えてください。

 

オーストラリアの人がどうこうということよりも日本の学生がこんなに考えているなんて知らなかったです。モナッシュに研修で来ている国立大学の人達のことを見て、考えていることがすごいと思いましたし、そしてそれを言葉に出来ることが更に素晴らしいことだと感じました。

 

たとえば、中西さんは医学部だからなのかもしれませんが、被害がこういう風にあって、そこに起こる人体被害がこう考えられるからこのように危ないんですと発言していました。

 

こういう機会がないと震災のことを真面目に話し合うことってあまりないじゃないですか。

だから、日本の人たち、学生たちもこんな考えているんだと改めて思いました。

 

―― 学生だから出来ることって何でしょう?

 

学生、特に大学生は時間があるから、震災のことだけじゃないけれども、もっと活動的に自分から何かを仕掛けるべきだなと思います。

 

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あとは、専門的な知識だけじゃなくて色んな知識とかを吸収する時だなというのを感じました。

 

特に私はこの会議を通じてもう1回、日本がこれからどうして行くべきかを考えたので、こういう試練を与えられたから、もっと自分にできることは何かを探していくべきなのではないかと感じています。

 

―― では最後に高橋さん個人の今後の目標・夢を教えて下さい。 

 

世界と関われる仕事がしたいなとは漠然と考えています。

 

今は、何事にも積極的に参加して、自分にとって本当にやりがいのあることをみつけたいです。

 

そしてチャンスがめぐってきたら、なんでも挑戦して、出来うる限りで一番の結果を残したいと毎日考えて生活しています。来年度はグローバル文化学環への進学が決まったので国際協力に関する勉強に精を出していきたいですね。

  

 

【文・写真…長瀬晴信】