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No.90

株式会社はぐくむ

小寺毅 代表取締役

会社HP:http://www.hagukumu.co.jp/index.html

 

 

「長瀬くんは下の名前なんて言うの?」

 

―― 晴信(はるのぶ)です。

 

「僕らは下の名前とかニックネームで呼び合っているので、晴信だったら『はる』って呼ばせてもらってもいいかな?僕のことは是非『たけさん』って呼んでね。」

 

お会いした直後、そう切り出したのは株式会社はぐくむで代表を務める小寺毅(こでらたけし)さんだ。初対面ではあるが、穏やかな表情とその長身から何か温もりのようなものと人を惹きつける魅力を感じる。

株式会社はぐくむでは「1人1人が本当に幸せを感じられる世界のために貢献したい。」という理念のもと、理想の社会を語り合う”ソーシャルデザインカフェ”・自分の生き方のスタンスを決め就活へ臨むことを示唆する”ライフデザインスクール”・農業体験など体験授業の企画運営、面白くて役立つチームビルディングの企業研修などを実施している。

今回のインタビューでは、関わる人すべてを幸せにしたいという小寺さん(以下、たけさん)の姿に迫るとともに、3/26(月)に開催される「Next Leaders Cafe 2012 -vol.001」の本質的な部分についても伺った。

 

 

「否定」しない文化

 

―― まずはたけさんの生い立ちについて聞かせてください。たけさんは小学6年生までソ連にいらして、その直後にアメリカに移られたそうですね。で、中学2年生の時に転校した学校で今に繋がる経験を得た。そこのところを詳しく教えてもらえますか。

 

はい。小6の時にソ連からアメリカに来て、はじめの1年間は普通の公立の中学校に通っていました。そこは1学年、多分200人くらいいて授業も選択制で日本の大学みたいな感じでした。僕はほんと「HELLO」とか「Thank you!」くらいしか英語が喋れなくて、次のクラスにどこへ行けばいいのかさえ分からなくて、初めはほんと四苦八苦しながら通っていました。

そんな中だんだん慣れてきて1年経った頃に突如親から「私立学校へ転校しなさい」と言われました。それはもうびっくりしたし、折角慣れてきて友達も出来てきたのに何でなんだ?と悲しみと怒りがこみ上げてきました。だから「嫌だ!絶対嫌だ!」と抵抗したんですが、もっと成長して欲しいからと話を聞いてもらえなかったのです。そのうち「あ、私立だから、どうせテストで落ちるだろうな。だったら受けるだけ受ければいいか」とイヤイヤ試験を受けにいきました。そしたら、実際に実力的には落ちたんですよ(笑)でも、面接してくれた先生が「毅はなかなか見込みがあるから、家庭教師をつけて英語を磨くなら入学していいです」と言われて、なんと入学することになってしまったのです。

しかし、ここからが人生の面白いところで、この学校に入学できたことが結果的にすごく良かったし、僕の人生に大きな影響を与えてくれたと思っています。

 

転校した私立は少人数制で1クラス10人~18人くらい、先生と生徒1人1人の距離も近い。色んな先生から毎日、授業で勉強関連のことを質問されたり、プライベートの話もたくさんした。その体験がとてもレアで、それこそ「この惑星に行けたら何したい?」とサイエンスの授業できかれたり、「毅はいまどう思った?」という質問をされる。今まで日本の教育を受けてきたので、どうして、こんなに1人1人にスポットライトを当てるんだろう、と最初は戸惑いました。だけど、そういう経験を重ねていくと、段々、自分の考えや想いが明確になっていくのを実感し始めたんです。

 

そして、「いいね!」の文化も新しかった。否定ではなく、勇気づけてくれたり後押ししてくれたり、引き出してくれる会話のスタンスがとても良かった。もしあれが「それは無理でしょ」とか「出来ないんじゃない」というスタンスだったら、自分は何も喋れなくなっていたと思うし、自分の可能性にチャレンジできなかったと思う。僕はあの学校で「いいね!」のスタンスで先生や周りの親たちに接してもらえて、すごく伸び伸びできたし、自分自身の考えや想いを磨いていくことができました。良質なコミュニケーションが人の可能性を引き出し、人間関係も深めていくことを肌感覚をもって実感したのがあの学校での2年間でした。

  

今の仕事をするようになったのも、今仕事で大事にしている「可能性にフタをしない」「コミュニケーションの質が人生の質を左右する」というスタンスも振り返ると、あの学校での体験が大きくあると思います。本当に1人1人に才能や個性があって、それを活かすも殺すも、自分と自分、自分と周りの人たちとのコミュニケーションや関係性の育み方次第だと思っています。

 

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―― それだからこそ日本に来た時、違和感を感じたんですね。

 

すごく感じました。まさにカルチャーショック!中三の夏に戻ってきたわけですが、分かりやすいとこで言えば、とにかく「規則」が厳しい。制服、髪の長さ、靴下の色や長さまで至ることまで決められていて違和感を感じたのを覚えています。

それは、それまで育ってきたアメリカの真逆だったからで、アメリカでは周りと違ってもいいから自分の個性を出してねっていう環境でした。ある意味「みんなと一緒だと没個性で、かっこ悪い」みたいな雰囲気なわけです。それが入った中学校では規則もそうだし、行動とか考えに関しても「出る杭は打つ」みたいに感じてなかなか理解できなかったですね。特に先生達の「受験が全て」「良い高校に行くのが良い人生だ」という考え方には違和感を感じてたし、生徒も何か発言する時に内申点を気にして先生の前では顔色を伺ったりして発言する。だけど裏ではめちゃくちゃ言ってるのにはなかなか馴染めませんでした。言いたい事あったらちゃんとお互い腹割って言い合おうよって思ってましたね(笑)

 

 

いま問われているのは自分で答えを出し実現していく力

 

―― なぜそのような文化になってしまったのでしょう?

 

それは難しい問いですよね。僕も人生の中で探究したいポイントです。

もともとの文化自体がアメリカと日本で違うっていうことは全然悪いことじゃないと思いますし、日本人の謙虚さや集団の和を大切にする習性はとても素晴らしいものだと思います。ただ、僕が問題だと感じるのは、その美徳が今の教育現場で子供1人1人の可能性を限定する方向に働いているのではないかということ。

 

和を尊ぶことは重要だと思いますが、それが行き過ぎると子供が周りの顔色ばかり伺って、周りの正解を求めて、自分の中にある想いや考えを押し殺してしまう。そうやって育ってくると、いつまでたっても親や先生、会社に行けば上司の意向を気にして、自分で考え、自分の答えを出して動ける人が少なくなってしまう気がしてならないのです。今までは、上の人たちの意向や社会の中にある正解に従っていれば上手く生きていける時代だったかもしれない。だけど、これからは「1つの正解」がある時代でもなければ、「絶対的な正解者」がいる時代でもない多様な時代になっていると思っています。日本だったら、良い大学へ行って、良い会社へ入れば安心、安泰、幸せという方程式が揺らいでると思いますし、これからは今までの様に社会の”誰か”に正解を求め、その正解に合わせて生きようとすればするほど、時代に翻弄され苦しくなるのではないでしょうか。

 

 

僕はそう思っているからこそ、1人1人が自分をしっかりと見つめ、自分を捉え、自らの人生の方向性を定めていくことが大事だと思っています。自分の芯が問われている時代ですし、いま問われているのは自分で答えを出して、「自分はこう生きていきたい」と自らのスタンスを明らかにして、それを実現していく力だと思います。 

 

―― それだからこそ個人の力を磨いていかなければいけない。と

 

そうですね。1人1人みんな素晴らしい才能や個性を持っていて、それを活かして生きていく為にも自分と向き合っていくことが大事だと思っています。

  

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―― 自分とは何なのかという問いに対して語る場が”ソーシャルデザインカフェ”なんですね。

 

まさに、そうです。それがカンバセーションカフェ(※ソーシャルデザインカフェの前身)や、ライフデザインスクールで行ってきたことです。自分と向き合って、周りの人とそれをシェアしながら自らの考えや信念、哲学を磨き合っていき、それに沿って生きていくことを応援している場です。

すごく問題意識をもっているのは「答えが1つである」っていうことに慣れてしまうと自分で答えを考えなくなってしまうこと。周りが正解だと言ってる「A」と、仮に自分の答えが違うときに「あ、自分が間違っているんだ」とか「自分はダメなんだ」と自己否定してしまったり、自分のことを過小評価してしまったり、初めから答え待ちになってしまう流れはすごく勿体ないし、問題だなって思ってます。

 

―― 自分のことを認めてくれる人がいないからその状況を加速させるのでしょうか? 

 

そうかもしれないですよね。本当はじっくり話し合えば、分かり合えたり、仲間が見つかるかもしれないんだけど、じっくりと本音でお互いのことを語り合う機会が少ないと「Aなのかな~」とか「Bがいいと思うんだけどな」と自分だけの想像と妄想の世界の中で終わってしまう。でも、勇気をもって飾らない「自分」の話をしてみると「あ、意外と分かりあえるじゃん」とか「一緒だったんだね」ってことは良くあるし、もっとそういうのを起こしたいと思っています。

 

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―― それが今たけさんが実現したい未来に繋がってくる…

 

結びついてきます。本当に自分達が実現したい日本のあり方、世界のあり方を実現するために必要なファーストステップだと思っているのでやっています。

 

―― ファーストステップは何個かあると思うんですが他には? 

 

1つはここまで話してきた自分と向き合うこと。そして、己を捉えることです。もう1つは、それを他者と共有したり分かち合って「つながり」をちゃんと育んでいくこと。この2つはものすごく重要でこれらがないと変わらないんじゃないかなとも思っています。自分とのつながり、そして他者とのつながり、この2つの「つながり」を豊かに育んでいくことが大事なステップだと思っているんです。今はつながっているようで、やっぱりみんな結構、繋がりが薄いんじゃないかな…自分とも、周りとも。 

 

―― やっぱりなんですかね、自分の思いを口にすることで助けてくれる人が現れたりとか紹介して頂けたりとかしますよね。絶対自分のうちに秘めておくよりいいですよね。

 

絶対そうだと思いますよ。

 

だから、もっともっとみんな語っていったらいいと思う。自分のやりたいこととか自分がこうしていこうと思ってることとかを。

 

 

―― いまは語りあう場が少ない。

 

少ないと思う。語ろうって言うと、みんな「普段から喋ってるし」って言うんですけど、語る内容(質)が大事だと思っていて「昼飯なに食べたとか、昨日の飲み会がどうだったとかこの前のバラエティ番組がどうだった」とかじゃなくて、そういうのも大事なんだけど、自分は何したいのか・自分はこの日本についてどう思っているかとか、いわゆる真面目な話をじっくり語り合う場が大事なんじゃないかな、と思っています。 

 

 

成功するかしないかではなく、考え思い描いたことをまずやり遂げることが大切

 

―― たけさんは目指す日本の姿と世界の姿って違いますか。

 

ソ連とかアメリカで暮らしてきて思うのは、究極的にはどこの国に生まれてきたとしても、どこにいたとしても、みんなが幸せであって欲しいということ。誰もが幸せであれる世界を目指したい。

その中で日本はどういう役割があるのかなって思った時に、「和を尊ぶ」ことや「団結する」ことは得意な民族だと思うので、そういう部分で紛争が起きていたり価値観が分かり合えなくて争っている人達を繋いでいく・分かり合えるような場を作っていく役割を担っていけるのではないかと漠然と思ってきました。

日本は色んなものを受け入れてアレンジするのが得意ですよね。たとえば、クリスマスもバレンタインも自分の文化にしちゃっいましたし、漢字だって、色んな食文化もそうだと思います。世界広しと言えども、これほど色んなものを取り入れ、アレンジして独自発展できているのは日本くらいじゃないでしょうか。余談ですが、だから日本では何料理を食べても美味しい。現地で食べるより美味しいかもしれないくらいです(笑)それって、すごいことだと思います。そういう色んなものを受け入れ、良い部分を活かして融合する日本の力を国際舞台でも発揮できる様になったらいいなと思っています。

そして僕自身も、色んな人たちの良さや才能が発揮しあえて調和している世界を目指して、その一躍を担っていきたいと思っています。

最近の学生が話してくれたことで印象的なのが「日本には希望がない」「希望が持てない」ということ。みんな、それぞれにやってみたいことや思ってることはあるけれど、なんとなく社会に期待できないし、どうせ出来ないんだろうなぁ、と将来への明るい希望を持ちづらい部分があることを教えてもらいました。

そういう人が全員ではないにしろ、もっと希望をもてる国に、世界にしたいじゃないですか。前を向いて、生きていきたいじゃないですか。だって、それぞれに言い部分があるんだし、ステキな想いを秘めているんだから。

その為にも、「希望の火をどんどん灯していけるような場作りをしようよ!」ということでネクストリーダーズカフェ(Next Leaders Cafe 2012 -vol.001)を学生向けにやることにしましたし、それを継続的にやっていきたいと思っているわけです。

 

―― だからvol.1なんですね。三桁!笑

 

継続は力なりで、ずっと続く場にしていきたいと考えていますからね(笑)

今回のネクストリーダーズカフェはゴールではなく、スタートであって欲しいと思っています。ここでこれから語り合っていくことで、1人1人の考えや想いが混じり合い、化学反応が起き、ポジティブな変化が生まれていって欲しい。そして、1人1人がそれぞれの気づきや学びから、実現したい未来へ向けて何らかの行動を起こしていってもらえたら嬉しいですね。

そして、リーダーとは誰か特別なすごい人を指すのではなく、みんな1人1人が自分の人生に変化を生み出していくリーダーなんだと感じてもらえたら最高に嬉しいですね。

 

―― だから、リーダーズカフェもゆくゆくは学生団体以外の層とも行おうと思っているんですね。

 

そうです。vol.001以降は、学生団体の幹部以外の人にも声をかけていきたいと思っていますよ。

 

 

「みんな」と「すごいやつだけ」

 

―― たけさんが大学生に戻るとしたら…

 

今の自分の出来る能力のまま大学生に戻れるんだとしたら、同じことやってると思います。立場が大学生に変わるだけであって、出来ることが一緒ならやっぱりこういうリーダーズカフェみたいなものをやりたいし、自分が学生だから同じような仲間を集いに行くと思う。いろんな志を持ってる人たちに会いに全国津々浦々まで行きたいですね。

集めることができたら、みんなどう思ってるのかインタビューじゃないけど、聞いていきたいし、その人たちを集って「語ろうぜ」とか、「自分達がこの日本をどうするのか、ある意味覚悟をもって、これから社会に出てこうぜっ」って志を語り合いたい。「自分達が次の時代を担っていく」っていう気概を持って、その為にも「どう生きる?」「どんな世界を目指したい?」「何をしていくか?」といった働きかけをして行きたいと思いますね。1人1人、お互いの志、生きる情熱に火を灯し合いたいですね。そして、日本からも世界からも「何か日本の大学生がすごいことになっている」と思われるムーブメントを起こしたいかもですね(笑)

 

―― それでは、当時のまま大学生に戻るとすると…?笑

 

当時の自分は今だから客観的にみれるけど、自分だけで何かをしようとしていたから・・・恥ずかしい(笑)

 

―― 具体的には?

 

部活(理系のバスケ部)のキャプテンをやっていたんだけど、結果を出す為には、出来るやつが頑張らないといけないと思ってて、できないと思った人には自分の中で「出来ない」烙印を押して、ちゃんとじっくり彼らの話を聞けてなかったと思います。特に彼らの気持ちや心の声に。

だから、当時の自分には全国津々浦々回って「色んな人」と話すっていう発想よりも、「優秀な人たち」「できる人たち」で集めて語ろうと思うんじゃないですかね。

 

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今は本当にリアルな肌感覚をもって「色んな人にそれぞれ才能や良さがある」と感じられる部分が広がってきたけど、当時はその感覚の領域が今よりも狭かった。 

当時は「きっと、みんな1人1人に才能や良さはあるんだろな」と思いつつも、それがすぐに発揮されないとイライラしたり、待てなくなっちゃう。すぐ結果を出せない人にはどうしても寛容でいられなかったと思います。だから、振り返るととても恥ずかしいというか、もっとこうできたら良かったなぁ、と思う部分が多々あります。懺悔ですね(笑)

 

振り返ると、高校、大学生の頃から昔の寺子屋やパリのサロンとかがあったら良いなと思っていて、それが現在のライフデザインスクールとソーシャルデザインカフェのモデルになっています。

寺子屋は明治維新のときに次の時代を担っていく優秀な人材が育っていった場になり、パリのサロンはフランス革命の時に、いまあるようなカフェに芸術家とか色んな職業の人が集まって、様々なジャンルのことについて真剣に語り合う場になっていた。それこそ、「フランスどうする?」って語りあう場だったと聞いています。僕も現代の寺子屋やサロンみたいなのを創って、この国や世界を担っていく人たちをどんどん輩出したいし、共により良い社会へむけて行動したいと思っていましたね。

 

ただ当時はやっぱり、みんなで出来たらいいと思ってはいても、それを体現することが出来なかった。1人1人が活躍できたらいいとは思っていても、いざ試合で勝つとか、結果を出すということを考えてしまうと、ついつい優秀な人たちだけでやろうとしてしまい、出来ない人たちを置いてけぼりにしてしまうことも多々あった。だから、すごく葛藤していました。「何でキャプテンなんかやっているんだろう」とか「どうしたら、みんなで上手くできるのか」とか「何で分かり合えないんだろう」と色々悩んでました。そして、当時はそれを上手く自分自身、周りに素直に表現できなかったと思いますね。

まぁ、そういう葛藤経験を部活などでしてきて、揉まれたと思います。

 

部をまとめる時、自分が至らないから色々喧嘩したり摩擦が起きましたが、今なら懺悔と共に感謝もたくさんしています。色んなことを学ばせて頂けたと思います。特に、人と何かに取り組む時は、まず自分のキャラクターを知って、そのキャラクターをチームの為にどう活かしていけるかを考え、それを伝える。そして、周りの1人1人のキャラクターもよく知ろうとする。その為のコミュニケーションの質がとても大事だと段々と学んできましたし、お互いの理解、共感、絆が深まれば深まる程、それぞれの良さを活かし合える下地が、基盤が強く、揺るぎないものになっていくと分かる様になりました。

僕はまだまだ何かを成し遂げたとは到底思えないけれど、ここまでの道で失敗しながらちょっとずつ学んで、それを活かしながら何とかここまで辿り着いてきた感じだと思います。

 

―― 組織の繋がりを強くするため必要なのが、その人個人のキャラを知ってどう接したらいいのかを考えることなんですね。

 

そう、1人1人のことをもっと本当に知ってほしい。本当に1人として同じ人はいないし、それは皆それぞれ独自の良さを持っているということ。だから月並みな言い方をすると「その人の立場に立って、その人から見たら自分ってどう見えるのかな」とか「どうすればその人の良さを活かせるか」を考えられるような人になれたらステキですよね。学生団体の幹部をやったりしてマネージメントに関わっている人達は特にそうですね。そして、組織の中の1人1人が抱いている想いや考えを上手く、分かち合いながら、前へ進んでいけるといいですよね。 

 

―― 個性ってどうやって生まれてくると思いますか?

 

ひとつはもって生まれた性格で、もう一つは環境のなかで磨かれてくるものがあると思っています。

 

―― 途中,環境の変化などで個性も変わったりすると思いますか?

 

ありえると思いますよ。それこそ高校生の時、人間の性格について「nature」か「nurture」なのかを考察して書いてみたことがあるんです。つまり自然にもって生まれたものか、後天的に身につけたものかということですが、僕は両方影響あるんじゃないかなと思っています。持って生まれたキャラクターの資質、たとえば生来、明るくて人と関わることが大好きな人が、ネクラのように引きこもって「誰とも喋らなくて、誰にも会いません」という風にはなりにくいと思います。ただ、人と楽しくお喋りしたり、人と会うことは悪いことだと教えられて育つと、段々と誰とも喋らないようにして、本当に人に関わらなくなる可能性もある。これがnurtureの部分。

 

 

僕らは色んな、いくつかの才能や資質を持って生まれてきてると思いますが、どの部分が強く育つのか、どの部分を生活で活かしていくかは後天的にどのように育てられるか、どの様な環境に身を置くかによって左右されると思います。

 

大事だと感じるのは、自分のキャラクターをしっかりと捉え、その持っている良さを活かせる環境を見つけ、広げていくことではないでしょうか。変に自分にないものを身につけようとしても苦しいですからね。

 

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(インターン生の和泉くんとともに。写真右が小寺さん。)

 

 

生きとし生けるもの全てとの繋がり

 

――「繋がり」とはなにか?

 

人生を豊かにしてくれるものだと思いますね。どれくらい深い繋がりを多く持てるかが人生の豊かさを決めるんじゃないかなと思いますし、繋がりがない人はたぶんいないと思うけど、もしないんだとしたらすごくそれは孤独だし、絆が薄いと孤独を感じたりとか寂しさを感じたりとか、自己中心的になっちゃったりとか色んな弊害が出てくるものなんじゃないかと思っています。 

 

もっというと、これからの社会は繋がりが深くなっていかないとダメなんじゃないかな。人と人との繋がりもそうだし、国と国の繋がりもそうだし、もっと言うなら人と自然とのつながりも。環境、動物、変な言い方すれば生きとし生けるもの全てとの繋がりを感じられるような柔軟な感性を人がもっていけたら間違いなく平和になると思うし、幸せになるんじゃないかなと思っています。

 

 

自然の中で僕たちは生きているし、生かされている。だって地球がなかったら生きていけないわけだし、自然環境の色んなものがないと人間社会も成り立たないはずなんだけど、それを忘れちゃったのが今の人間なんじゃないかなと思います。多くの人は自分たちが自然を支配していると思っているけど、でも本来は自然のなかで生かされていて色んな食物連鎖のうちのひとつでしか人間はないんじゃないかと思うわけです。人間があまりにも暴走しちゃってるから地球環境に負荷がかかっているんだと思いますし、だからこそ自然との繋がりを取り戻すってのは人間にとってのひとつテーマなんじゃないでしょうか。

 

「自分の可能性を信じて欲しい」

 

 

―― 最後に学生へ、特に「Next Leaders Cafe 2012 -vol.001」に参加される学生に向けてたけさんから伝えたいことをお願します。

 

はい。1つは、「コミュニケーションの質が変われば人生の質が変わる。」ということですね。それは自分自身とのコミュニケーションの質が変われば自分の人生の質が変わるし、人とのコミュニケーションの質が変われば人との関係性の質が変わるっていう意味で伝えたいです。

 

だから、毎日の自分との会話の内容に注目して欲しいですし、周りの人たちのコミュニケーションの内容に気をつけてみて下さい。その会話の質が変われば、ガラッと色んなことが変化していくのを体感して、より質の高いコミュニケーションをしていって欲しいと思っています。

 

そして、もうひとつは「自分の可能性を信じて欲しい」ということ。

 

自分の可能性にチャレンジしていって欲しい。不可能だった思ってたことも努力すれば不可能じゃなかったんだなって思える日が絶対来るんじゃないかなって思います。だから、自分のことを、自分の可能性を過少評価しないで欲しいです。 

自分自身2006年に「一人一人が本当に幸せを感じられる世界を目指す」ということを理念に掲げた頃はリーマンショック前だったし、結構な拝金主義的な雰囲気が漂ってる時代で、そんなの無理でしょ、不可能だよ、と思われたり言われたこともありました。だけど、あれかれ数年経ち、段々と時代は1人1人の幸せや繋がりを大事にする方向に変わってきていると感じます。

 

僕たちの活動に参加したり、見てくれた人たちが「そうだよね。こういうのが大切だよね」って言ってくれる人も増えてきたし、そういうの目指して頑張ってる人達も増えてきた。僕は時代は絶対そっちの方向に進んでいるなって感じるわけです。なにもはぐくむだけで、「一人一人が本当に幸せな世界を作ろう」と思ってるわけではなく、はぐくむはその一団体として頑張る。同じ世界を目指している色んな人たち、団体と繋がって、それこそ一緒に、幸せな世界を目指していけたら嬉しい。それぞれに役割、フィールドがあるんです。だから、可能性にフタをせずに自分が良いという思う未来へむけて、それぞれ進んでいこうよ、協力しあっていこうよ、と思っていますし、その中の1つがリーダーズカフェなんです。 

 

【文・写真…長瀬晴信】