一位がいれば、最下位もいることを知ったから。

No.58

名前:岡田久美子
大学:立教大学社会学部2年(池袋キャンパス)
所属:陸上競技部
Twitter: @0ka93

 

 

陸上競技種目の一つである競歩日本代表として現在大活躍中の岡田久美子さん。立教大学スポーツ新聞の一面に大きく飾られる彼女の笑顔の背景についてお話を伺ってきた。


★競歩を始めたきっかけなどありましたら教えてください

私本当に運動音痴なんです。ボールも7mしか投げられないし鉄棒にもぶら下がれなくて…。でも唯一走るのだけは速かったんです。だから神様が私に「それだけでいいから頑張りなさい。」と言ってくれたものだと思ったから中学の時から陸上競技を始めました。中学時代は長距離をやっていたのですが、競歩がとても強い高校に入って強い先輩に囲まれて練習をしました。

ある時、顧問の先生が私の歩きを見て「世界を狙えるぞ」と言ったんです。まだ全然フォームもなってないし遅かったけど、一回歩きを観たときに全く教えてない中でも競歩としての形ができていたということで「ちょっとお前競歩やってみようか」と言われました。その一言が本当に嬉しかったんです。

それで、練習していって高校ではインターハイ二連覇、世界ジュニア8位を取ることができました。世界大会では、大学一年の時に銅メダルを取ることができました。

周りの皆に応援してもらったり、一位をとったら喜んでもらえるっていうのが凄く嬉しくて、それがあるから競歩をするのが今とても楽しいです。

 


★練習中つらい時に心の支えになるものなどありますか

 

皆、応援してくれてるというのはいつも心にとめてます。個人競技なので練習中一人になることが多いのですが、そういう時に、「いつかきっといいことがある」とか、「誰かが見てる、私がつらいんだって誰かが知っていてくれてる」っていう風に思って乗り越えます。

 

あと、高校の時からの先生が親子みたいな関係だから何でも言えるのはとても大きいです。私の事を本当に見ていてくれていて、私を見ただけで体重をミリ単位まで当てるんです。笑  

辛いのに色々言われたとき、体調悪かったりすると逆切れしちゃったりします。「体調悪いんですけど」とか「もう足痛いんですけど」とか。それが言えない環境だったらコミュニケーションも全然取れてないし信頼関係ができてないと思います。信頼があるから何でも言えて、自分の思ってることを我慢しないで伝えられるというのは大きな支えです。


★モチベーションを上げるためにやっていることは

 

 失敗した時の写真を見て思い出したり、メディアに「岡田不調」とか書かれたのを見て悔しいなと思って、気持ちを奮い立たせます。あと他の大学の先生から「岡田の歩きは良く無い」とか批判が結構あるんです。今まではいちいち傷ついてたんですけど、最近がそれも自分を奮い立たせるきっかけとして利用しています。

あと、試合終わった後に甘いもの食べまくります。笑

 

★今まで一番思い出に残っている試合は

 

 ユニバーシアードという先日、中国で行われた大学の世界大会です。20km走る試合で上手くいけば優勝できるということだったのですが、惨敗しました。ビリです。

4人脱落した中、私はなんとかゴールできたものの、その中で最下位。今まで高校からとんとん拍子で来てしまって、挫折ということは全く無かったんです。鼻を折られたって感じですね。そこで初めて「負ける」という実感をしました。

 周りからも慰めの言葉ばっかりかけてもらって、優しくしてもらって、それが逆に悔しかったです。皆私の応援に中国まで来てくれたのに本当に申し訳なくて。自分が負けた悲しさより、負けて、応援してくれた皆に申し訳ないという気持ちが一番強かったですね。

 その中でいつも教わっていた先生に「ここからがあなたのスタートですよ」と言われて。

今までのことを忘れて一からやり直すということで…いつも以上にすごく頑張ろうと思って心の支えになりました。そして、その試合によって“一位がいれば最下位もいる”ということを実感することができました。

★岡田さんは世界で活躍されていますが、世界を相手にする心持ちなどありますか

 

どこの国に行っても私は子供扱いされるんです。身長が低いから。子供扱いというか「小人…」みたいな。その中でもやってやるぞって思う気持ちはずっと持つようにしています。


世界大会まで来ると試合に対する緊張っていうより、運動会みたいな気持ちで臨むことが多いですね。一応代表なので、応援席に日本の国旗がたくさん並んでいるから、個人戦というよりは日本の団体っていう気持ちで、楽しくやろうという心持ちで試合に出てます。  


国体の方が皆に注目されるから緊張します。「勝って当たり前」とか思われたりして。プレッシャーを感じるときもあります。


あと、世界大会に出てるからこそ海外の凄い選手の走りを間近で見ることができるんです。ロシアの選手がとても強いんですけど、試合中に走りを見て、リズムとかフォームとか身体で感じたことを日本に帰ってから自分の走りに取り入れたりもします。



★試合始まる前、試合中何か考えることはありますか

 

 試合前はスタートラインに並んだ時に、数秒間今までの自分を思い出します。そこで「あれやってなかったな」とか「もっとやっておけばよかった」とか思ってしまうと、その試合では良い結果が出ないです。思い返した時に「やりきったな」と思えればいい結果が出ます。だから日々の練習もその時に後悔したくないから一日一日頑張って練習しています。

 走ってる時は基本的にはタイム計算しながら走ってます。苦しくなったら「ここで諦めていいのか」って自分に問いかけます。たまに終わったらあれ食べよとか考えてますね。最後一キロは速く終われ!って…笑


 

試合中、練習中の音楽は主にONE OK ROCKを聞いているという岡田さん。
現在のお気に入りは「キミシダイ列車」という曲。

 

「大事なコト忘れてないかい?

何かのせいにして逃げてはいないかい?

「過去の自分が今僕の土台となる」


という歌詞が支えになっているとのこと。

★最後に学生の方に伝えたいことを教えてください

今しかできない事を今、全力でやっていくのが一番だと思います。

 

ご飯にも気を使う岡田さん。スタバでは無脂肪乳を、昼食は和食を注文していました。

 

岡田さんにとって競歩を行う上で考える事の根本に、先生、応援してくれる周りの方々の存在がとても大きく関わっているのだと感じました。競歩とは確かに個人競技ですが、周りの人々とつながりが重要な支えになっているのではないでしょうか。

【制作…鈴木円香】