あの日 あの時 あの場所で……
片付け中に開いたが最後、「思い」は「出」てくる 溢れてくる

卒業アルバムって時間を忘れて見つめてしまいますよね


今回話を伺ったのは カメラマンの卵 手嶋桃子さん

 

ファッション誌の撮影でもなく、自然風景の撮影でもなく、

「学校行事」の撮影がしたい!

だから、カメラマンを目指している と 彼女は言います

 そのために

大の苦手だった勉強をして、大学へ編入したんだとか
Google Mapを使って就職活動を行ったんだとか

 

ひょんなことから「夢」を見つけた彼女が、それを叶えるまで。

その過程から垣間見える 生き方 とは ――

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 カメラマンを目指すなんて、考えてもいませんでした

 学歴のある両親に育てられたから、幼い頃から「勉強しろ勉強しろ」って、いつも右手にエンピツを握らされていたんです。でも、私は反発して「嫌だ!こっちの塗り絵する!」って言い張って猛反発して。終いには、左手でクレヨン持って絵を描くようになっていったらしく。今でも食事やスポーツの利き手は右手なのに、書く・描くことだけは左利き(笑)。

 当然、小中学校にあがっても、勉強は全く理解できないし、楽しくない。だって、“答え”が決まっているじゃないですか!ひとつの“答え”を求めて考えることも、その考え方を先生に否定されることも嫌で、もう五教科の成績は最悪でしたね。でも、お絵かきの延長線上で、美術は好きだった。自分のありのままを表現できる、それを認められる、それが良いなと思っていたんです。

 もうひとつ苦手だったのは、コミュニケーション(笑)。うちは転勤族で、幼稚園2つ、小学校3つ、中学校3つ通いました。だから、そもそも浅い友人関係しか築けない。クラスに数人いる、物静かでいつも同じメンバーで固まっているような、そういうグループに所属していることが多かったんです。でも、中学3年のときに、両親が家を買って、高校で初めて3年間同じ学校に通ったんです。

 私には「写真」がある

 高校では、大学進学を目指す人が多くないコースに入りました。卒業したら働くんだろうなーって思っていましたし、将来の夢も無かったですし。転校をしないと友人関係は濃くなるもので、デジカメを持つようになってからは、毎日友達を撮っていて。この頃からなんですよ!写真に「撮られること」が苦手じゃなくなったのは。それまでは、自分の顔があまり受け入れられなくて、写真に写るときはよく顔を隠していたんです。でも「写真のなかの私も、私なんだ」って感じるようになりました。

 3年になると、卒業アルバムの写真を撮りにカメラマンさんが学校に来るようになるじゃないですか。それが、無性に「良いなぁ」って思って!私は勉強が苦手、でも写真を撮ることはできる!って感じたんです。


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精華女子高校はマーチングバンドの実力が高いことで有名
画像は、手嶋さんが卒業制作として撮影したもの

短大、そして大学へ 写真を学んだ4年間

 それで、短大の写真科に2年間通ったんです。いろんな人と会話をするようになって、写真ってコミュニケーションだなって実感する機会が増えて、もっと専門的に学びたいって思うようになって。勉強をして、九州産業大学へ3年次編入。母親からは「まさかあなたが大学に行くなんて!」って驚かれました。

 編入した後は、やっぱり初めは戸惑いが大きかったです。「短大からの編入者は授業についていけなくなって学校に来なくなる」みたいな認識をされていたし、実際に過去にはそういう子が多かったらしくて、「どうせ消えるでしょ」って言われたこともありますよ。でも、習えば習うほど写真が好きになっていって。昔の私だったら、考えられないほど真面目に単位をとっていきました。友達もたくさんできて、良い先輩にも巡りあえて、今では「(退学せずに)残るとは思わなかった」って言われたりします(笑)
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大学内の作品展「ファクトリアル」出典作品 2015年9月 中国 上海にて撮影

 

「撮る」私、「撮られる」私

 もちろん、授業以外でも撮影をしています。就職して子供を産んでいる友達が、「桃子に子どもの写真を撮って欲しい」って声をかけてくれたり。私が撮った写真をアイコンにしてくれた友達がいて、その人の友達が「これ誰が撮ったの?」って気になったらしく会ったことも無いのに連絡を送ってきてくれて、その「友達の友達」を撮ることになったり。写真を通して、人とのつながりが出来ていくことがすっごく楽しい

 そうやって、いろんな方の写真を撮っていくなかで「撮るだけじゃ、被写体の気もちって分からないじゃん!」って気付いたんです。で、「撮られる」場面に出向いてみるようになりました。美容室のカットモデルをしたり、カメラマンの知り合いに撮ってもらったりしていると、やっぱりすごく緊張するし、表情が硬くなるんです。そこで大切なのは、会話ですね。自分自身が、カメラを向けられながらも緊張がほぐれた瞬間はどんな会話していたかなぁって考えられるのは、やっぱり撮られることで得られる気付きですよね。

13225033_526616724202597_1446736223_o好きな芸能人は?とカメラマンに問いかけられたときの一枚

 アルバムを撮る、ということ

 カメラマンにもいろいろあって、全国にある写真館の方は、ポスターとか雑誌の撮影をしたり、成人式や結婚式を撮ったり、自然や動物を撮ったり……様々な仕事をされています。なかでも私は、学校行事をたくさん撮りたいなって。もっと言うならば、母校の卒業アルバムを撮りたい。とっても小さな夢に聞こえるかもしれませんけど、それまで8回転校したなかで、初めて3年間通い通した高校だから、私にとっては思い入れが強いんです

 そういう夢があって、今年、学校行事のアルバムカメラマンのアルバイトをはじめました。ここでも、やってみて初めて分かることが多い。最近、小学校の入学式の集合写真を撮ったんですけど、秋になったら修学旅行の写真が撮れるんじゃないかって楽しみにしている。きっと、長崎の平和記念像を見つめる子どもたちとか、お土産を買う子どもたちとかを間近で撮影できるだろうなって。正直、小学生のころ「誰が修学旅行に付いてきて、写真を撮ってくれたか」なんて記憶にないじゃないですか。でも、写真そのものは残る。だから、ふとした瞬間に「このご飯美味しかったよね」とか「あの建物綺麗だったね」とか、私の撮った写真が、楽しい記憶を呼び覚ますきっかけになってほしい

 濃く、深い「夢」を抱いて

 今、仕事にも付いて行っている会社は、主にアルバム製作をしています。でも、芸術系の会社はリクナビやマイナビのような就活サイトにはあまり載っていません。まして、私のように「地元で学校アルバムの製作がしたい!」っていうような夢を仕事にするにはどうすればいいのか、検索しても見当たらないし、諦めるしかないと思う人もいるかもしれません。

 就職活動では、Google Mapで「写真」と入力してヒットした企業に、ひたすら電話をかけていきました。そうするなかで、求人票を出していなくても人材を求めている企業があったり、「まずは直接話してみましょう」と言われたりと、思わぬ出会いがありました。

 よく「大きな夢を持て」って言いますよね。でも、夢って「濃さ」や「深さ」のほうが大切で、それが「諦めないこと」へ繋がってくると思うんです。だから、まずは自分の夢を信じて。簡単に諦めずに、目指していってください!

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「好き」を追求する彼女の姿、いかがでしたでしょうか?

ここで <余談>をひとつ

これまで3連続で行った学生へのインタビュー
私としては それぞれ別々の場で出会った学生たち……だったのですが

前々回の記事に使用した写真には、手嶋さんが撮影したものが含まれていました
また、手嶋さんはシェアされた前回の記事を読み、当サイトに関心を抱いたそうです

「縁(エン)」という漢字は 衣服のふち飾りが語源

ひとつひとつの装飾が、実は一本の糸で繋がっているように
ひとつひとつの出会いも、どこかで繋がっているようです

インタビュー、文 馬田さとみ】