「京都国際学生映画祭」

映画の上演やその審査、映画に関するイベントなどを手掛ける映画祭。京都には、学生が主体となって企画・運営を行う映画祭があります。その名も、京都国際学生映画祭。1997年に開催された京都映画祭の一部門として、学生が製作した映画の特集が組まれたことがきっかけでした。今回は、そんな京都国際学生映画の活動について、実行委員長の麋山宙信(びやまひろのぶ)さんに話を伺いました。

びやま

 

|京都に根差した映画祭を目指して 

 

京都国際学生映画祭は、関西圏の学生が中心となり、世界中から新しい映画作品の発掘をめざして日々活動しています。実行委員は25名。僕たちの活動は、簡単に言ってしまえば映画を上映すること。映画を製作する団体ではないので、映画製作に興味があるというスタッフは少ないですが、“映画というエンターテイメントそのものが好き”という気持ちは共通していますね。

 

映画を愛する実行委員たちがつくりあげる映画祭。
京都国際学生映画祭は、毎年コンセプトを決めて活動していますが
今年はどんなコンセプトになったのでしょうか?

 

長年続いているこの映画祭ですが、未だに京都内での知名度が低いところがあって。だから今年度は、「京都に根差した映画祭」というコンセプトのもと、学生たちが作った映画の上映会をおこなってきました。京都府内の大学、カフェ、映画館、お寺…など、場所を問わず多くの場所で開催することができたことは、大きな成果だと思います。

 

京都を舞台に、今では、日本最大の学生による国際映画祭へと発展をとげたこの映画祭。
しかし、実行委員長としての苦悩も少なくはなかったそうです。

 

この活動をしていて、一番楽しい瞬間はやはり本祭なのですが、そこに向けた準備のなかで、実行委員たちのモチベーションを保つのが、実行委員長としては苦労するところです。本祭とは、世界中の学生がつくった映画作品を上映しそのグランプリを決める、“学生映画”の世界大会のようなものです。僕は昨年も実行委員の一人として活動に携わっているので、本祭の楽しさは十分理解しています。だから、そこに向けて準備することは苦ではないのですが、今年は1年目の子たちが多いので…。実行委員のなかにはもちろん色々な性格の子がいるし、その子たちをまとめる立場としては難しい場面も多々ありましたね。

ただ、その苦労以上に、本祭期間の経験ってとても尊いことだと僕は思っています。毎日新しい映画を上映して、学生の映画監督の方もたくさんいて、皆で感想を言い合って。本当に貴重で、なかなか味わうことのできない時間だと思いますね。実行委員の皆にも、そんな本祭の楽しさを感じてもらえたらうれしいです。

 

会議

           会議の様子

|世界中の才能が、京都に集結する

本祭のためならどんな努力も苦ではないと語ってくれた麋山さん。
世界各国から出そろった優れた映画作品と、豪華な審査員方、それが本祭の魅力。

 

この映画祭は国際映画祭ですので、世界各国から映画作品をあつめなければいけません。ですが、海外の作品をそろえるのは、簡単なことではありません。僕たちは、その国々の映画製作学校などを調べて、英語の募集要項をお送りして、作品を送ってもらうというかたちをとっています。英語が得意な実行委員たちががんばってくれました。その結果、今年は200もの作品が出そろいました。これらすべての作品を、映画祭の期間内で観なければいけません。一次審査と二次審査までは僕たちで行い、グランプリの選定は最終審査員の方々にゆだねます。今年はアニメーション作家の木下小夜子さん、沖田修一監督などが最終審査員を担当してくれることになりました。

昨年の審査員

             昨年の審査員の方々

 

日本の映画と、海外の映画。
両者には、決定的な違いがあるといいます。

 

まず、国内外問わず全体を通して送られてくる作品が一番多いのは、大学で本格的に映画を学んでいる学生のものですね。彼らと、大学のサークル活動の一環である映画研究会などの作品にまず大きな開きがあって、その次に、日本と海外の間でも大きく差が開いていきます。海外の作品は、監督が学生でスッタフはプロがおこなっている場合がほとんどです。だから、間のとり方や絵作りなど、どうしても日本の学生がとる映画とは差が開いてしまうところがありますね。

しかし、今年度の映画祭で入選している実写の日本映画は、素晴らしかったですよ。映画に懸ける思いが飛びぬけていた3本が入選しました。いずれも、映画で何かを伝えたい、表現したいという強い気持ちが伝わってくる作品だと思います。

 

昨年の本祭              昨年の本祭の様子

 

|学生たちの、100%の“熱量”

 

本映画祭のキャッチコピー「その才能に誰よりも早く気付け」。
そこには、映画祭の実行委員長としての、深い思いがこめられていました。

 

僕がこの映画祭を通して一番伝えたいことは、入選した学生はもちろん、落選してしまった学生を含めて、すべての学生が100%の熱量で映画に取り組んでいるということです。日本のみならず、世界中の学生の熱い表現欲を感じることができるのは僕らの映画祭だけなので、そこを見ていただけたらと思います。

また、ここで上映される作品の監督の中には、将来の大物監督が紛れているかもしれません。この先いつか、ふらっと入った映画館で出会った作品が、あの日映画祭で観た監督の作品だったということもあり得るでしょう。そういった意味では、『未来の名監督を発見しよう』という目線で見るのも、楽しみ方の一つだと、僕は思います。

パンフレット
本祭は京都シネマにて

11月21~27日にかけて行われます。

世界中の、熱い学生の思いとこだわり
そして
実行委員の努力がつまった映画祭。

若き才能を一目見るために
ぜひ、足を運んでみてはいかがですか?

【文章・写真 橘京】