ネパール

2015年4月25日、ネパールの首都、カトマンズ付近で
マグニチュード7.8の大きな地震が起こりました。

首都カトマンズでは、歴史的な建造物や、寺院が
修復不可能な損傷を受けるなど、多くの建物が倒壊。

ネパールだけでなく、インドや、バングラデシュでも
揺れを観測した、この地震による被災者数は、
約800万人。

日本国内でも、募金活動を始めとする、
支援活動が行われています。

しかし、地震の被害に着目されがちですが、
ネパールはそれ以外にも問題を抱えていました。

それは、日本にも多く流入する「難民」の問題です。

世界で問題となる「難民」

ネパールデータ

「難民」とは、政治的迫害や人権侵害を逃れるために国境を越えて、他国に庇護を求める人々。

世界最貧国の1つとして数えられ、アジアでは、最も貧しい国とも呼ばれるネパールでも、1989年、宗教・民族の違いによる弾圧から、ネパール系ブータン人約10万6千人が、ネパールに逃れ、難民になるなど、問題となっているのです。

UNHCR(国連難民高等弁務官)を始めとする、さまざまな国連機関やNGOによる体制が整うなど、支援の動きが広まっていますが、まだまだ手は足りていません。

日本でも急増する難民者の数

難民認定者数

近年では、日本でも、難民が増加しています。ネパールからの難民申請者も増加しており、去年は国別で、最多の1293人を記録しました。

難民認定のためには、言葉の壁を乗り越え、役所の複雑な手続きを行う必要がありますが、海外から逃れてきた人々にとって、それは決して容易な道のりではありません。事実、行政の手続きには約3年、長い人であれば5年の時間がかかると言われています。

日本の難民申請数は、去年より、53%増加。しかし、申請が認められたのは、ロイターの調査によると、全体の0.2%だったそう。これは先進国と比較すると、最低の数字です。

映画の上映会を通じて難民問題に取り組む「p782 in Aichi」

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名古屋での難民申請者も増加し、その数は、東京に次いで、2番目。名古屋入国管理局では、2010年に70人、2011年に225人と、年々、増加の一途を辿っています。

名古屋の難民申請者も、全国の動きと同様、増加傾向を見せており、昨年は54人のネパール人が、名古屋で、申請を行いました。

そんな名古屋で、難民をテーマにした映画の上映会を通して、認知活動を広めるべく、精力的に動いているのが、名古屋市立大学4年の都築さん。

社会福祉士の母親の影響で、ソーシャルワーカーの勉強会に参加した際に、難民の問題を知り、勉強会やイベントに参加するようになったんだそう。

ネパール上映会2

 

「愛知県豊川市で、初めて、ネパール人の難民認定が行われました。その直後に、ネパールで大きな地震が起こって。
アジアのなかでも最貧国といわれるネパールは、難民を輩出している国でありながら、受け入れを行っている国でもある。難民の問題を考えるにあたって、重要な国です。」

多様な視点から、「震災」や「難民」について考える機会を作っていきたいと話す都築さん。さまざまな場所で、上映会を行うことで、問題の担い手を増やしていきたいと言います。

「東京や大阪であれば、NPOが(難民に関する)イベントの周知活動を行えば、集客も成立するのですが、名古屋はそうもいかない現状があります。

難しい問題が山積みだからこそ、自分たちの畑から出来ることを。大学生という立場を生かし、難民について知るきっかけを作りながら、認知活動を進めていきたいですね。」

愛知県内でも、難民を雇いたいという企業がいくつか表れてきているそう。現在、大学で経済を学んでいる都築さんは、将来、企業と難民のマッチングも行っていきたいと話します。

「名古屋は、近年の難民の増加率が激しい。でも、NPOが把握できている難民の数もほんの一握りなんです。見えていない部分で、苦しんでいる人たちがたくさんいる。

国際協力と聞くと、海外を意識する方が多いと思うんですけど、日本にもこういった問題があるということを知ってほしいなと思いますね。」

今後、日本各地で問題になり得る難民の問題

ネパール上映会1

今回の記事では、名古屋を中心に活動を行う団体を紹介しましたが、あなたの町にもこういった難民支援を行う団体がいるかもしれません。その存在について、知り、考えることで、普段の生活から、何か出来ることが見えてくるかも。

今後、日本各地で課題となり得る多文化共生の問題に対して、どう接していくのか、こういった地域の取り組みに参加することで、自分自身の意見を持つことから始めてみるのはいかがでしょうか。

都築さんが代表を務める「P782 in Aichi」は、
現在、愛知県を始めとする、東海地方で、
上映会を行う場所を探しています。

活動に興味を持たれた方、協力したいと感じた方は、
こちらから、ぜひ連絡してみてください!

【文章:江口 春斗】
【写真提供:都築 秀斗】