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「東北で面白い大学生といえばまず嶋田瑞生でしょう!」

インタビューをはじめたことを友人に話すと、開口一番に必ず言われた台詞だ。

Facebookを見てみると、まず彼の経歴には驚かされた。

現役の大学生ながら、2つの会社を経営する起業家。

運動神経抜群で頭脳明晰。おまけに、身長180センチのさわやか系イケメン。

 

「天はニ物を与えず」とよく言うけれど、天は彼にニ物も三物も与えたようだ。

 

 

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(提供:嶋田瑞生)

プロフィール

嶋田瑞生(しまだ・みずき)

1994年宮城県生まれ。東北大学経済学部経済学科3年生。2014年3月に「ビジネスゲーム」というボードゲームを用いて企業向けの研修を行う有限責任事業組合「baselabo.com」を起業。同年8月には、宮城県内のコンサルティング会社でか月働いた。

2015年2月に、靴磨きの会社「Uppers」を設立。2015年7月に正式オープンし、同年9月に正式登記予定。講演会やトークショーにゲスト出演の経験も多数。趣味はテニスとスキーと子ども浴。

Uppers公式ページ:http://uppers-h.com

有限事業責任組合baselabo.com Facebook:https://www.facebook.com/baselabocom?fref=ts

人のあたたかさにふれて

 

―嶋田君は大学に通いながら、様々な活動をしていますが、以前から好奇心旺盛に、なんでも取り組んでいたのですか。

 

僕には、少しでも多くの世界を知りたい。色んな人の考えに触れて、視野を広げたい、という思いが常にあるんです。

といっても、以前は決して活発な方ではありませんでした。実は、小学校高学年の時にクラスでいじめにあっていたんですよ。

学校に行くのがとても辛かった。そんな時、僕を支えてくれたのは当時週1回、通っていたアトリエ自遊楽校(注)での時間でした。

アトリエでは、「そのままの瑞生でいいんだよ。やりたいこと、なんでもやりなよ」と寄り添ってくれる先生や、共に活動をする仲間がいたからです。そうした支えもあり、いじめを乗り越えることができました。

 

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(注)アトリエ自遊学校は、「遊び+美術」=「あそびじゅつ」をコンセプトに、子どもの表現力や想像力を育てるワークショップを運営している習い事教室である。机上の勉強というよりは、ミュージカルや料理教室といった実践的なことを行う。嶋田君は4歳から小学6年生まで通っていた。

 

 

始まりはなんてことない、日常からだった

 私たちは遠くのものに目を向けるあまり、身近なものを見逃しがちだ。日常にこそチャンスはごろごろ転がっているのに。

 

―アトリエ自遊楽校の経験が原点となっているのですね。大学1年生の冬に起業したとお聞きしましたが、そこに至ったきっかけは何でしょうか? 

大学1年生の前期に受けていた一般教養の講義ですね。その講義では、「実生活に生かせる法律」をテーマに、毎週自主レポートを課されていたのですが、元々文章を書いたり、何か一つのことを追求するのが好きだったので、毎回がっつり書いて提出していました。

 そうしているうちに、僕はレポートの成績優秀者として、授業中に名前を呼ばれるようになったんです。

僕の他に、もう一人、成績優秀者がいて、互いに意識しあう良きライバルのような関係になりました。後に、有限事業責任組合「baselabo.com(ベースラボドットコム)」という会社を共同経営することになる友人です。

そして、その講義の担当をしていたのが、baselabo.comで扱うビジネスゲームを最初に考案した人でした。僕たちがあまりにもレポートを頑張るので、先生が僕たちのことを気に入って研究室やビジネスゲームのイベントに招待してくれるようになったんです(笑)そこからですね。

 

―面白い出会いですね!baselabo.comはビジネスゲームを扱う会社とお聞きしましたが、ビジネスゲームとは何か、どのようにビジネスとして扱っているのかを教えて下さい。

 baselabo.comで扱うビジネスゲームは、木で出来たボードとコマを使うアナログのボードゲームです。経済の知識が全くない人でも楽しく遊びながら会計、経済、経営の知識を身につけることができます。遊びとはいえ、実際のビジネスに生かせる要素が詰まっています。

 

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(提供:有限事業責任組合baselabo.com)

もっと有効活用できる方法はないかと考えていた時、ゲームの開発をしていた先生が、他大学へ移籍のため、ビジネスゲームの第一線から退くことが決定したんです。

僕は、ビジネスゲームを世の中でもっと伝える必要性を感じ2014年3月に、会社設立をしました。

―ちなみに、嶋田くんはbaselabo.comでどのような仕事をしているのですか。

 baselabo.comは有限責任事業組合という区分の会社です。働いている人は全員「組合員」と名乗らなければならない決まりが法律でありますので、肩書上は組合員ですが、実質はCFO(最高財務責任者)の仕事を主に行っています。会計や、信用取引といった「財」にまつわることであれば、何でもやります。とはいえ、組合員が2人しかいないので、もちろん営業や広報もやりますよ!

 

―実際に、ビジネスゲームはどういったところからニーズがあるのですか。          

 「baselabo.com」の主なターゲット層は、経営学や会計学を大学で学ばなかったビジネスマンです。僕たちは、ボードゲームを使って、ビジネスの知識をつけるための社員研修をします。今まで、経済産業省管轄・中小企業庁の業務を受けたり、様々な業種の会社に伺い、ビジネスゲームを用いた研修を行ってきました。

社会人だけでなく、学生向けのイベントも開いており、2014年夏にはタイの大学でビジネスゲームの運用を行いました。

 

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【認知度は徐々に高まっており、最近では自身が在籍する東北大学で、授業を受け持った】(提供:有限事業責任組合baselabo.com)

 

―起業してみて、どんなところにやりがいを感じましたか。

 企業に対して取引を行うB to B(Business to Business)の事業なので様々な会社に行き、多くの社会人の方と接することが出来ます。社会の一部を垣間見られるので、「いろんな世界を見たい」と考えている僕にはうってつけの環境なんですよ。

最近、設立した「Uppers」は、直接消費者を相手にするB to C(Business to Consumer)なので、それもまた違った良さがあります。

 

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【ゲームとはいえ、内容は実際のビジネスに近い体験ができる。原価計算の記入などに悪戦苦闘しながらも勝利した時の達成感はひとしおだ】

(提供:有限事業責任組合baselabo.com)

大切なことは全て、ひとから学んだ

 

嶋田くんの周囲には必ず素敵な「ひと」がいる。彼は、与えられるものにあぐらをかくことなく、還元していく姿勢を崩さない。

自分に自信をもちながらも、謙虚さを忘れない姿が人を惹きつけるのだろう

―先ほど、「Uppers」と言われましたが、嶋田くんが大学2年生の時に設立した営利団体ですね。具体的にどのような会社でしょうか。

 「Uppers(アッパーズ)」は2015年2月に結成した靴磨きのサービスをする営利団体です。9月の設立登記をめざし、開業資金はクラウドファンディングで調達しました。代表である僕の仕事は、営業から経理、人材管理など多岐に渡ります。現在在籍する20名を超えるスタッフは、全員大学生であることが大きな特徴です。

 

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【Uppersでは随時、靴磨きの技術向上のための研修を行っている。メンバーのモチベーションは非常に高く、それぞれが個人的にも練習を重ねている】(提供:Uppers)

主に「居酒屋店頭での営業」、「ビジネスホテルでの靴磨きサービス」といった2つの形態で営業しており、1足あたり600円から2500円の幅広い価格帯でサービスを承っています。

今後は、宅配サービスや企業の福利厚生システムへの組み込み、イベントや法人会への出張を予定しています。

 

―「Uppers」の大きな特徴の一つとして、スタッフ全員が大学生ということが挙げられます。大学生に限定する理由を教えて下さい。

 大学生が、大人と真剣勝負できる場を作りたいと思ったからです。

Uppersでは、学生が自分自身で交渉をしたうえで靴を磨かせてもらうことになる、まさに飛び込み営業。1対1で対峙しなくてはなりません。

 

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(提供:Uppers)

というのも、僕が大学生活を送っていて感じたことがあったからこういった形態にしたんです。ほとんどの人が「何か面白いことやりたい」とは言うものの、考えるだけで、行動しないんですよ。僕の感覚では100人中99人は実際に行動しないですね。

やりたいならやればいいんじゃない、って思うんです。でも実際は、何かと言い訳をつけて尻込みしますよね。「僕には無理」って感じで。それでは、もったいないと感じました。

 僕自身、アトリエ自遊楽校でやりたいことに対して、背中を押してもらったり、最初の起業では、周囲の人にたくさんアドバイスをいただいた経験から、今度は僕がその役割を担いたいと考えたんです。

 

―動かなければ何も始まらないというのは分かりますが、いざ行動する段階になってくると、目標を達成するためにはどんなことをすればよいかを具体化できず、困っている学生も少なくないと思います。

 そうですね。自分で考え行動に移し、何かを成し遂げることができる人は少ないです。

「起業する」や「ビジネスをする」といったゼロから何かを生み出すことは、簡単にはできません。でも、靴磨きなら練習すれば、誰でもできます。「できない」と言い訳することが出来ない環境なんです。

  

―「誰でも比較的簡単にできるような仕事」は靴磨き以外にもあると思います。数ある選択肢の中、あえて靴磨きを選んだ理由は何ですか。 

初めて起業した時、僕はビジネスに関して、右も左もわからない状態でした。そんな時、アドバイスをくれた社会人の方や、2年の時にしていたインターン先の社長には、経営に関する知識から心構えまで、本当に色々なことを教えてもらったし、経験させてもらったんです。

何かの形で恩返ししたい、と考えていた時、思い浮かんだのは革靴を履いたビジネスマンの姿でした。

靴磨きって、昔は駅前等の路上等で頻繁に見られましたが、今はほとんど見なくなりましたよね。裏を返してみると、既存のビジネスだからこそ、きちんとやれば息を吹き返すことは可能なんじゃないかな、って。

それに、靴を磨かれて嫌な人ってまずいないですよね。目の前で靴が綺麗になっていくのを見て、お客さんは笑顔になり、僕たちも幸せになることができます。

 

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(提供:Uppers)

靴磨きの所要時間は10分から15分程度。その間、社会人の先輩方と面と向かって話せる環境を独り占めできるんです。どうすれば、心地よい場作りを行えるかについて試行錯誤するでしょう。

 

靴磨きを通し人生の先輩と接することで、多くのことを学べます。また、靴を磨かれる大人も、本気で取り組む学生と触れることで、活気づいていくという相乗効果があります。この経験を通し、仙台の大学生が自立自走していくことができたら、他の地域の学生にもいい影響を与えられるのではないかな、と思っています。

 

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―Uppersは学生が自分自身の可能性を探り、見つけていくという「気づき」の場でもあるんですね。

僕以外の、Uppersメンバーは、営業から広報、マーケティングまで、一般的な学生アルバイトよりも、かなり大きな権限が与えられます。
 
自分の夢を叶えるには、実現のために必要なスキルを身につけたり、自分自身を言葉で表現しなければならない。そういったことを学べる環境をUppersでは提供しています。自己実現へのステップとして機能させていきたいんですよね。

ゆくゆくは100人を超える規模の団体にして、仙台の「何かしたい!」と思う学生の「登竜門」的な場にしていくつもりです。

7月下旬から、仙台市国分町の居酒屋で毎日営業しますので、よろしくお願いします!

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