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僕は就活生。

 

今、話を聴くべき人が目の前にいる

 

大手企業?

ベンチャー企業?

 

答えはNo。

彼女は、フリーランスという道を歩んでいる

 

「やっぱり大企業に行きたいですか?」

のっけから、そんな質問をぶつけられた

 

“働くとは、なにか”

“自分らしさとは、なにか”

 

彼女がサッカーを経験し、旅を経験し、

就職して2ヶ月で退社し、

フリーランスに至ったのはなぜか。

 

彼女の人生の、未知なる道を切り拓く

 

(話し手:八木 彩香、聴き手:木村 優志)

 

八木 彩香(やぎ あやか)

1991年生まれ。早稲田大学卒業。学生時代はサッカーに励み、U17日本代表候補に選出。早稲田大学時代には、女子サッカー部で副主将を務める。大学女子サッカー選手権優勝2回、準優勝1回の実績を持つ。大学在学中に、自転車一周の旅に出て、人が好きになる。大手上場企業を2ヶ月で退社し、現在は様々なメディアでフリーライターとして活動している。

 

 

 

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(大学女子サッカー選手権の集合写真。前列中央の背番号11が八木さん。)

 

ッカー部での経験、“思ったことは、ぶっこみますよ”

 

大学時代は、早稲田大学のサッカー部に所属し、週6日で練習に励んでいた。年に1回開催される大学女子サッカー選手権では、優勝を2回経験し、彼女が副キャプテンを務めたときには、準優勝を果たした。サッカー部のことを振り返る。

 

 

■大学時代は、サッカーをやっているときが一番楽しかったみたいですが、どのような環境で、どんなことを考えて過ごしていたのでしょうか。

 

八木:早稲田のサッカー部は、チームで見たときに、高校でトップを張っていた選手が入部してくるので、選手層はとても厚かったんです。そんな中で11人しかプレーができない。プライドが折れてしまう人もいますし、日本代表候補と言われている人でもスタメンが危ういときもありました。部員は40人いたのですが、40人全員を幸せにする方法はないんですよね。チームで戦っている以上、勝つことよりも楽しいを選んでしまうと、バランスが崩れますから、チームって難しいなという葛藤がありました。

 

 

■チームで動くのは難しいですよね。それでは、八木さんが副キャプテンとして何か行動に移したことはありますか。

 

八木:私は40人を幸せにしたいというタイプだったんですよね。しかし、勝たなければ意味がないので、勝つ方向をしっかりと意識はしていました。仲良しサークルではないので、自分が嫌われても39人がまとまれば、それでいいという覚悟は持っていましたね。それがチームにもしっかり伝わっていたので、真意で向き合えば人には伝わるんだなと。チームの中で、迷惑をかけていることに気づかないメンバーがいたときも、「今、チームで浮いているのわかっているの?」とみんなが言いづらそうにしていることも平気でぶっこんでいましたね。

 

 

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●“ッカーの道もあったけど、天井が見えたんですよね”

 

彼女は、体育の教師も目指していたそうだが、教育実習を経験し、自分には合わないことを悟り、就職活動することを決意。日本女子サッカーのトップリーグであるなでしこリーグへの道も目指せたと思うのだが。その当時のことを振り返る。

 

 

■まず、教育実習のことを聴いてもいいですか。教師になろうと思ったきっかけから、なぜ辞めるに至ったのか、経緯を聴かせてください。

 

八木:スポーツをずっとやっていたので、疑いもなく、体育の教師になるものだと思っていました。しかし、教育実習に行って感じたことは、私にとって職業にすることは難しいということを感じました。私は生徒と1対1で話すなら面白いと感じたのですが、1対40で生徒と向き合うのは、手が回らないということを悟り、教師になることを辞めました。生徒が全力で向かってくる中、一人一人と向き合っていたら、自分が潰れてしまうんですよね。子どもが好きで教えたい想いがあるのに、突き放すことが自分を守る方法ならば、それは絶対共存できないんです。

 

 

■なるほど。生徒が全力で向かってくるなか、自分が潰れないように生徒を突き放さなくてはいけないところに教師としての矛盾を感じたんですね。もう1つ気になるのが、八木さんであれば、なでしこリーグでサッカーを続けることもできたと思うのですが、その道を選ぶことはなかったのですか。

 

八木:それは周りからもよく言われるのですが、なでしこリーグでサッカーを続けようと思えば、声もかかっていたので、その道に進むこともできました。しかし、天井が見えたんですよね。

 

 

■天井が見えた、というと?

 

八木:なでしこリーグの中でも、トップレベルで活躍している人はいるのですが、自分でも手の届きそうな位置に来ていることを実感していたため、大学時代のサッカー経験を通して、これ以上面白いことってあるのかなと感じてしまったんです。そのときに他の世界にもっと楽しいことがあるんじゃないかと思い、広告やキャンペーンに面白みを感じ、迷いなく就職することを決めました。

 

 

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●“白いことがしたいというのは、サッカーにも広告にも当てはまっていたんです”

 

そして、彼女はマスコミ・広告を中心に就職活動を始める。ドライな媒体で、言葉に力を生んでいきたいという想いがあった。入社してから、退社にいたる経緯を追う。

 

 

■広告やキャンペーンに興味を持っていたとおっしゃっていましたが、なぜそこに興味を持ったんでしょうか。

 

八木:ナイキのCMが好きで、CMを作りたいという、学生にありがちな志望動機だったんですよね。私は、人に面白いと思わせたい気持ちが強く、短絡的な笑いではなく、この人面白いことをやっているなと思わせることが好きでした。それは、サッカーにも共通していて、「面白いプレーするね!」と言われることが好きで、試合中は股抜きばかり狙っていましたからね(笑)。

 

 

■人を惹き付けることがしたいという想いは、サッカーにも広告にも当てはまっていたんですね。

 

八木:その想い以外にもあります。例えば、直接人と会って話すと、その人のキャラクターやブランドを認識するじゃないですか。その人の魅力的な価値があって、その上に言葉に価値が生まれると思うんです。しかし、その言葉って、その人が抜けたときに、空になるのがすごく嫌だなと思っていて。その人が言わなくても、言葉に価値が乗るもの、それが広告やマスコミといった、誰が発信しているかではなく、発信していること自体に価値を見出せるということから広告を志望していましたね。

 

 

■結局ネット広告の会社に入り、2ヶ月で退社するに至るわけですが、そのあたりのことをお聴きしてもいいでしょうか。

 

八木:はい。私は営業をやっていたのですが、クライアントは主に飲食店でした。人と話すことが好きで、得意であったため、正直うまくいっちゃったんですよね。ただの自慢話にしかならないのですが、褒められることしかなく、2ヶ月に1個取ればいい契約も、配属1週間で取ってきたりもしました。そのときに、上司からお褒めの言葉もいただいたのですが、あまり嬉しくなかったんですよね。

 

 

■つまり、物足りなかったということでしょうか。

 

八木:はい。私は、サッカーで究極の喜びや感動を味わってしまったので、これが仕事の感動のMAXだったら、続けるのは難しいなと感じたんです。営業のやりがいを上司に聞いても、営業のゴールは契約であり、それが価値あるものなんですよね。会社の環境も悪くなかったですし、周りもいい人たちばかりでしたが、ここにいても自分が成長できなくて、やばいなと感じてました。そこでフリーランスとしてやっていくことを決意しました。

 

 

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●“底的に自分を深堀りし、他者と差別化せよ”

 

フリーランスとしての活動を追いながら、意識していること、今後の活動のこと、就活について思うことを“聴く”。

 

■結局入社2ヶ月で辞めて、企業に勤めず、フリーランスになることを選んだわけですが、なぜフリーランスなんですかね。

 

八木:入社2ヶ月で辞めた後は、企業に就職したいとは思わなかったんですよね。フリーランスでダメなら体育の教師でも、夜勤で働いてもいいし、死ぬことはないと思っていました。不安はなかったです。今の自分にできることを考えたときに、文章なら書けると思ったんですよね。大学時代に自転車の旅をしたときにBlogで発信していた経験があり、そのときに「一緒に旅をしている気分だった」、「毎朝電車の中で見るのが楽しみだから、終わらないで」といった言葉を頂き、言葉を発信して、反響をもらうことは嬉しいですし、人と繋がれると思ったんです。

 

 

■なるほどそういった経緯があったんですね。ライターの仕事自体は、どうやって決めているのでしょうか。

 

八木:お金が発生しなくても、やってよかったと思える仕事を今は引き受けていますね。経験を第一優先にし、仕事を決めています。会社にいたら会えないような人たちに会えて楽しいですし、やればやるほど、成果に繋がりますし、恵まれています。

 

 

■経験と興味は同じものですか?

 

八木:ほぼイコールですね。仕事に対してもこういうことがやりたいんですということを会社の人に対して提案します。そのような種を蒔いておいて、いざそのような仕事の案件が来たら声をかけてもらうようにしていただきました。だから、興味のあることは、口に出すようにしていますね。 

 

 

■文章を書くときには、どのようなことを意識しているのでしょうか。

 

八木:個人のBlogと仕事では違う面もありますが、身近な例に落とし込むことを意識しています。全然違う話をするにしても、例え話をしたほうがわかりやすいですし、共通点がない話に、人は興味を持てないんですよね。自分との共通点をいかに見出し、こっちにおいでというように餌を蒔きながら、ゴールまで導いていかないと、人はついてこないですから。

 

 

■今後どのようにフリーランスの人生を歩いていこうと考えていますか。

 

八木:24歳でフリーランスというと、珍しがられると思うのですが、今は若いから、元気があるから、仕事をもらえていると自覚しています。それが通用するのもあと2,3年で、それまでに結果を出さなくてはいけないと考えています。「八木さんに文章を書いてほしいんです」というポイントを作っていかないといけないですね。そこは模索中であり、難しく、面白いんですが、将来は選ばれる人間でいたいです。

 

 

■最後に、就活生へのアドバイスがあれば、お聴かせください。

 

八木:もっと自分を深掘りすべきだと思います。自己分析もいいのですが、もっと具体的なエピソードをかき集めるべきです。広告代理店のOBに言われたことなんですが、「とことん自分を差別化しろ」と。私は女子サッカーをやって、優勝しただけで差別化できていると思っていたのですが、それでは甘いと言われました。いくらでもかけ算して、差別化して、自分の価値を出すこと。私の場合だと、面白いということが根源にあり、それをアウトプットにしていたのが、サッカーであったり、エピソードは全部違うけど、共通していたのは“面白い”というものだった。過去にこういうエピソードがあり、私は面白いということに生きがいを感じ、ここの会社ならそういうものにたくさん出会えるといったように、一般論に落とし込んで、具体的に話せれば強いですね。

 

 

 

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はくなまたた

 

“なんとかなるさ”

という意味だそう。

 

なんでそんな自信を持っているんですか?

と聴いたら

 

自信があるというか、

やろうと思えばできることを

ただやっているだけなんですよね。

やりたいことがあるなら

やればいいだけです。

 

という答えが返ってきた。

 

人間いつか死ぬなんて考えたら

恐れることは何もないと思うんです

 

こう話していた彼女のことばが

とても印象的だった

 

なんだか人生って、面白いな

面白く生きようよ、もっと

 

そんなことを感じさせてくれる素敵な時間だった

 

 

Facebook…八木 彩香

Twitter…@___hachimo___

 

 

 

【インタビュー・文・写真…木村 優志,写真・協力…倉本涼子】