長野さん

人と人が出逢い、会話し、新しいものを作り出す

最近は講演会でも参加者が質疑応答をするだけでなく、
参加者同士でテーマに合わせて意見交換を行う
ワークショップとセットになった場が増えています。 

その動きは都市圏だけ…と思いきやあらゆる地域で
行われているようです。

今回登場するのは、岡山で人と人が出逢う場づくり
「Dialogue for Okayama」主宰の長野紘貴さん。

場作りの魅力、込める想い、そしてその変遷を
お伺いしました。

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共通ビジョンを作り出す。

―「Dialogue」は日本語で「対話」という意味になりますが、対話の場づくりを始めたきっかけは?

以前、海士町で起業された株式会社巡の環の阿部裕志さんの講演会(ダイアログバー高松)に参加した際に、講演+ダイアログの2部構成に関心を持ったんです。

そのとき、阿部さんがお話されていたのは「島で起業する生き方」についての話で、海士町でされている活動を全国に広げ、社会を変えようとする生き方が純粋にかっこいいと感じたんですよね。

―最初は「対話」というよりは阿部さんの活動に関心を持たれて。

 もともと心理学を大学で学んでいたこともあって、対話に関心を持っていました。対話の関心が深まったのは阿部さんの講演会でしたね。それから関西で行われている社会起業などのイベントや対話の場をたくさん巡りました。

そして、自分が住んでいた岡山という土地を振り返った時に、そういった創造的に対話する場が見当たらなかった。だったら、自分で作ってみようと想い、そのことを何度も人に話しているうちに「やってみたい!面白いだろうな!」ってなっていったんですよ。

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―『Dialogue for Okayama』での場づくりを通して、社会貢献の分野で活躍される方々と岡山の人々が触れる場を実現されてきた長野さん。「1つ1つの出逢いを未来の行動へと結び付けたい」と語る。

参加者同士が対話の場をきっかけに繋がって、新しい行動やコミュニティが生まれることが理想ですね。

だからこそ1人1人が持っているコミュニティや価値観を引き出し、共有して、次の行動に結びつけていけるような場を作りたいと思っています。 

『対話』の定義は難しいです。対話とダイアログを使い分けています。ここでいうダイアログは、参加者同士の共通項を探すとか色々あるけど、「新しいもの」を作り出そうという感覚で対話を行っています。

ただ、あくまでも『ダイアログ』は手法の1つだと思っています。ダイアログは参加者が想いやビジョンを共有するための手法だと捉えていますね。対話はもっと深いです。

人と人が出逢うための場を作り出す手法としてのダイアログ。だからこそ、そのダイアログの延長線上に、生活への充足感や働くことへの生きがいを見出してもらえたら嬉しいですね。 

―これまでに関わりのなかった人たちが一堂に会し、それぞれの価値観を共有する。そんな場において、重要になるのは、場の空気を整える「ファシリテーター」という役割を持った人だ。長野さん自身が「ファシリテーター」として心がけている点はなんだろう。

「あり方」が一番大切です。安心して話せるように場をホールドすることを意識しています。それと場の構成をがちがちに固定するのではなく、緩く、参加者の反応を見ながら流動的に場のデザインを変えられるようにしています。

開始から終了までの時間をざっくりと決め、臨機応変に対応するやり方が自分には合っていますね。

また、僕は、対話の場において、ルールをあまり決めません。人によっては、「相手を尊重しましょう」とか「ポジティブにいきましょう」など、場の雰囲気を整えるようなルールを前もって、参加者に伝える方もいます。

もちろん人によってやり方は様々なのですが、僕はポジティブ(前向きに)に話すことが大事だと思っています。だから前向きな否定にも良さがあるのではないかと考えています。

「なぜ否定はだめなのか」などいつも疑問に感じていて、まだ「これだ!」と言える答えがないし、大切だと何となく感じているので、毎回使うルールは決めていません。

会話に制限を課すことへの気持ち悪さもありますし、あえて否定的、悲観的な言葉を出してもらうことで全体の士気があがり、当事者意識が強くなることもある。外枠をゆるく設定し、参加者がそのなかで、自由に考え、話す場は理想ですね。

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エネルギーを補充し、それぞれの持ち場へ。

―そんな長野さんが手がける活動のなかのひとつである『朝活』。大学生、会社員、大学関係、NPOなどそれぞれの持ち場へ出向く前に、1日の始まりを有意義に過ごす場が展開される。

やり方自体はシンプルで、決まりは朝7時から9時まで2時間、駅前のスタバに集まることだけ。最初は9時以降の仕事などの予定に合わせて、それまでの朝の2時間をどう使うか考えたところから始まりました。

毎回、決まった時間に人と話したり、仕事をしたりすることが日課になり、やりがいになっていきましたね。

また、僕自身の実感として『朝』に対話の場づくりを行うことは、仕事や学校に行く前にエネルギーを補充していく場として効果的だと感じます。

これまで、エネルギーを補充する場は、呑み会など『夜』に行われることが多かったですが、それを『夜』ではなく『朝』に行うことで、エネルギーを補充して元気な状態でそのまま仕事や学校に行けるようになる。

今までになかった気づきやアイデアが『朝活』での活動を通して表れ、仕事や学校で生かす方々も増えてきたように思いますね。

『朝活』はあるイベントがきっかけで大学時代の友人と2人で始めました。僕は7時ではなく7時半に行くときもありますし、8時に行くときもありますね。ゆるいと言えば、ゆるい。それが長続きする理由だったのかも。

―集まるといっても、ルールはゆるやかに。参加者が1つの場を共有し、全員で同じテーマについて話すこともあれば、机ごとにテーマが変わることも。聞けば、最近は長野さん自身も本を読んでいることが多いそう。長野さん、それで場が持つんですか?

『朝活』では、そもそもファシリテーターという場を促進させる人も決めていないんですよ。参加者が「これ話しましょう」って話題を持ってきてくれるときもありますし、席ごとで話題が違うときもあります。

そのスタイルは自由。僕も最近は本が好きで、ゆっくり読んでるときもありますしね。時間と場所を共有しているだけで、なんでも許される場なんですよ。

空気感としては、過ごしやすい空気だと思いますし、参加者同士の関係から行動が生まれることもあって嬉しい場になっています。

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応援したい人たちが偶然岡山にいた。

―ここで気になったのは『Dialogue for Okayama』に自然に入り込む岡山という名前。岡山という土地に何かこだわりがあってのことなのでしょうか。

当初は地元である岡山にこういった場がないというところから、こだわりを持って始めたところはありましたが、関西方面への移動のしやすさや今後の生活のことを考え、立地条件で岡山を選んだところもあります。

ただ、「岡山をなんとかしたい」という想いは、大学時代より執着というか、エネルギーは高まらなくなっていったように感じるかな。どちらかといえば、土地よりは人に対する想いが強くなったと感じます。

―場所というよりも人。当初の岡山という土地への想いが、場を重ねるうちに、出逢った人の魅力によって、人の力に焦点を当てるようになっていった。

「岡山の人」というよりは、単純に「頑張っている人」を応援したいという想いが強い。「応援したい人が偶然岡山にいた」という感じですね。

僕もたまたま岡山にいた。地元であることももちろん大きいですが、やっぱり僕は人の魅力を引き出したり、繋げたりすることにやりがいを感じますね。

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長野さんのお話いかがでしょうか。
あなたのそばにも関心や興味を深めてくれる対話の場がきっとあるはず。

初めての緊張感、話し始める不安。
その空気を温かく包む長野さん。

参加してみると、また新しい自分と出逢えるかも。
あなたのまちのわくわくする場は
どこにあるでしょうか。

【文章:江口 春斗】
【写真提供:長野 紘貴】