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「塾をはじめたきっかけは、

挫折をしたこと。」

 

そう語るのは、現在24歳になる塾長。

愛媛県松山市、人影少ない商店街に学習塾はあります。

大学4年生で立ち上げて、はや4年目。

塾長の孕石さんは、生徒の他愛ない話から悩み事にも 熱心に耳を傾けます。

生徒自身が『自分と向き合う』ことを 大切にしているからです。

ここに通ってくる子どもたちは言います。

「ここだったら何でも話せる」  

 

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学歴コンプレックス、

この欲求どうしたらいい?

 

高校は、静岡県にある進学校に通っていました。
大学受験は、ものづくりに興味があったので、
材料学を学べるところがいいなあと思いました。

しかし、第一志望に落ちたのです。
次に受ける大学を考えた時に、愛媛県の大学にしました。
担任の先生が「道後温泉いいよ」と勧めてくれたので。
今思うと本当に何も考えていなかったです…笑

愛媛大学工学部に入学してから 学歴コンプレックスを抱えていました。
授業も全く物足らなかったし、こんな自分が嫌でした。

1年生からずっと図書館で引きこもり、
国家公務員や弁理士の勉強もしました。
ひどい話だと、大学の研究室に「早く研究させてくれ!」と、
のり込んだり 「早期卒業をさせて欲しい!」と直談判したこともあります。
かなりアクティブでした。笑

その衝動は、どこかで自分を認めて欲しかったのです。

今まで僕は、
勉強という評価軸しかありませんでした。

しかし、大学は、さまざま価値観で溢れています。
その環境を受け入れられず、当時の僕は戸惑っていました。

しだいに、消化しきれないこの欲求を学外で探しました。
学術系のコンテストに応募をしたり、交流会に参加したり、
とにかく自分の居場所を見つけたかったのです。

そんなことをしていると、
cvgキャンパスベンチャーグランプリという
コンテストに入賞しました。
自分を認められた気分になりとても嬉しかったです。
これがきっかけで起業に興味を持ちました  

 

間との出会い


僕は、大学2年生で就職活動をしていました。

その時に、何にも言えることがなかったため、
学生団体を立ち上げることにしたのです。

団体の目的は、コミュニティカフェを作ること。

活動は、資金不足を解消するために

「学生プロジェクト研究」という大学の制度を活用しました。
これは教職員に、自分たちのプロジェクトを発表し、
学長裁量経費で支援をしてくれる制度です。

そこで、支援は得られたものの大学側から、 ある条件が出されます。
それは、福祉を掛け合わせたものにすること。

僕たちは、「子ども」に焦点を当てることにしました。
しかし、子どもについて知識がないため、

民間の学童保育園で勉強をさせてもらいました。
毎週、通っていくうちに、 イベント企画や一部経営などもしました。  

 

一体、自分って何者?!


次第に学童保育園の経営者と金銭トラブルになり、

仲たがいすることになりました。

僕はすべて嫌になり、
学童保育園の仕事を全部投げ出し、逃げたのです。
いったん静岡県に帰り、ひたすら涙しました。
なにしろ子どもたちに何も言わず逃げ出したことが、 一番辛かったです。

実家に帰っている間、人生を振り返りました。

今まで何をしてきたのか?

必死に考えました…

あることに気づきました。

僕… 中学、高校、大学、進路選択や人生の決断の時、
自分で決めたことがなかったのです。

全部誰かに決めてもらっていました。

だから、うまくいかなった時は、 すべて人のせいにしていました

その時に、分かったのです。

『自分と向き合っている、この時間が大切だ』ということを。

「これ伝えなきゃ!」とすぐに思いました。
伝えるには、どうしたらいいのだろう…
そう考えるていると、塾を作ることに辿りついたのです。  

 

塾、始めました。


それから愛媛県に戻り、

商店街のテナントをかりて起業する準備を始めました。

生徒集めに関しては、 家庭教師でアルバイトをしていたから、
その子たちを自分の塾に呼ぶことにしました。

運営方法にも一工夫あります。
塾がやっていない間は、 この場所をテナントとして貸しています。

現在、後輩が朝塾をやっていますし、
昼は、パソコン教室も開かれています。
ときには、友人たちが集まって、 パーティー場になったりすることも…笑
そういう意味では、 さまざまなコミュニティが、ここにはあります

塾をやっていくうちに、いろいろありました。
肺に穴が開いて入院した時は、どうしようかと思いました。
基本は一人で教えているので、 僕が倒れたら、塾は機能しなくなります。
改めて、自営業の大変さを痛感しました。

しかし、自分が選んだ道って案外苦しいことでも、
不思議と乗り越えれるのです。

 

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日本の学校教育に異議あり!!


持論だけど、今の学校教育は、間違っています。
宿題など、やらせる勉強に違和感を覚えるのです。

そもそも、なんで勉強を嫌いになるのでしょうか?
教え方が下手だから?

僕は、勉強の教え方は、コーヒーの飲ませ方だと思ってます。

コップにコーヒーがあるとします。
先生が、無理やりコップを生徒の口元に持っていき、
飲ませようとしたらどうなりますか?
生徒はびっくりし、コーヒーを溢れかえらせます。

その行為は、恐怖感を植え付けられトラウマになるでしょう。
要領のいい子なら、きれいに飲み干すことができます。
また、生徒の口にゆっくりとコーヒーを流し込める先生は、
教え方がうまかったりします。

僕は、はじめコップにコーヒーを入れるだけにします。
飲むか飲まないかは、生徒次第。

もっと甘くして欲しいと言うならば、
その子が飲みやすいように砂糖を入れます。
それが、僕の役目。

そうしていると生徒自身、自分の好みがわかってきます。
「先生、もっと砂糖頂戴、ミルク頂戴!」 自分で調節して、
主体的にコーヒーを
飲み干すことができるようになります。
こういう子どもたちが、もっと増えてほしいです。

本来、このことは、学校でやるべきです。
勉強をする意味や目的が分かっていて、
もっと高度な知識が欲しい人が、学習塾に通うはずです。

しかし、残念ながら学校では公教育が、 ほとんどできていない状況です。
だから僕の塾は、勉強の知識だけを教えるのではなく、
学校が行うべき公教育をやっています。

 
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やりたいことがたくさん!

その際、方位磁石は必需品?!


この学習塾は、やりたいことのひとつです。
今のところ事業拡大も考えていません。

やりたいことは、他にもたくさんあります。
例えば、高齢者の無縁社会を無くすこともやりたいです。

僕は、ビジョンなどはもっていなくて、 あまり目的志向じゃないです。 

人生の目標を山とし、 その過程を山登りに例えられるけれど、
僕にとっての山登りは、頂上目指して必死に登ることではないです。

僕の登り方は、方位磁石を持って、
どういう方向に進むべきか、信念をもって登ることです。
目的、目標もあるけれど、それはあてにしてなくて、
これじゃなきゃだめっていう考えもしません。

今ある思いを大切に、着実に、形としていきたいです。

そうすると、気付いたときには 結構大きい山を登っていたりします。

そういう考え方もありじゃない?

 

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「今ある思いを大切にする」

これって意外と、難しい。

目的志向は、大事だと思います。

しかし時に、目的にとらわれ過ぎて

苦しい思いをしたことはないですか?

だからこそ、自分と向き合う時間は必要です。

そんな当たり前のことをこの塾では、

教えてくれます。

 (文・写真:藤田智子)