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トライアスロン

非常に過酷で有名なこのスポーツ…みな挑戦しようと簡単には思わないだろう。

しかし、これに挑戦しているある大学生がいる。

その大学生とは、早稲田大学の創造理工学部3年、西田吉和さんだ。

 

しかも彼は、先天性のアレルギーを持ち、体が弱いにも関わらずトライアスロンに挑んでいる。

どんな思いで彼は挑戦しているのか。トライアスロンに込めた思いを探った。

 

 

―生まれつきアレルギーをお持ちで、今でも卵や牛乳、そばが食べられないということですが…。

 

昔は、種類が今より多かったというわけではないですが、症状がもっとひどかったんです。体調によって、微量でも症状が出てしまったり…。程度は年々軽くなってきてはいるんですけど、完治はしないと思います。

 

―アレルギーで苦労したことってどんなことがありますか?

 

小学校の頃って遊び盛りじゃないですか。アウトドアな性格なので、外で遊ぶこととか結構多かったんですけど、症状が出てしまって遊べなかったり、活動できなかったり、つらい思いはありました。

今はもう慣れて食べられないものとかもわかっているので、その管理は別に苦労とはあまり思ってないです。他のものでいくらでも食べられますし。ただ、昔の食生活が偏っていたらもっとひ弱で、運動も苦手な人になっていたと思います。

 

         

昔から、食事の管理をしてくれたご両親には大変感謝しているという。

 

 

―ご両親に色々と苦労をかけてきて、今そのありがたみを感じているということですが、どのような点でありがたみを感じますか?

 

大学に入ってから寮で一人暮らしを始めましたが、両親が食事などのサポートをすごくしてくれていたんだというのはとても感じました。本当に一人暮らしをしなかったら感じなかったと思います。

 

 

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そして、彼はそんなご両親に自分の成長を見せようと、トライアスロンに挑戦することを決めたのである。

 

 

―なぜ、トライアスロンなのでしょう?

 

正直、ツールとしてはなんでも良かったって感じではあるんです。ただ、まず自分の知識の中で一番体力的にきついであろうものはトライアスロンだ、というのがありました。そして資金面も体力面もなんとかクリアできるレベルで、また達成感もでかい!ということで一番のツールとしてトライアスロンを設定したということです。

 

―体力的に一番きついですよね。体が弱いということを考えてもトライアスロンにしたと…?

 

そうですね。正直トライアスロンを走るか走れないかっていうのはいくらでもトレーニング次第でできるものだと思っています。弱かった過去があったというのも払しょくできますし。またそれを発信することによって同じ境遇の人たちにつないでいくということもできるんじゃないかと思いました。

 

 

―トライアスロンの魅力って何でしょうか?

 

3種目あるので全部が得意な人はあまりいないんですよ。その3つの苦手な部分をいかに克服できるかというところですかね。あとは応援してくれる人のありがたみとかも感じられて結構感動します。

 

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彼は、大学一年生の頃からすでにフルマラソンや自転車、そしてトライアスロンの大会に出場しており、出場した大会はすべて完走をしている。

 

そして今回挑戦しようとしているのが、今年6月にオーストラリアで開催される大会だ。しかしこの大会は今までの彼が出場したものとは大きく違う。

それはなんといってもその距離である。

この大会で走る距離はなんと200キロを超える。トライアスロンの中でも最長の、アイアンマンという競技で、通常のレース、51・2キロの4倍の距離に挑もうとしている。

 

 

―どのような大会なのですか?

 

世界的にも有名な大会で、完走したらアイアンマンを完走した人として認知度がアップする、プロも出場するような大会です。世界大会ともつながっているので、成績がよければ、年代別の世界大会に出られます。ただ年代別だと自分の年代は層がとても少ないんです。お金も時間もかかる富裕層がやるようなスポーツなので、実はトライアスロンは学生だと手を出しにくいんです。体力的にだけではなく、金銭的にも大変なんです。

 

 

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トレーニングは大会に合わせてやっていき、直前は週5くらいでトレーニングをするそうだ。

 

今は、その資金集めと、宣伝活動に力を入れているという。

 

 

 

―正直どれくらいかかるんですか?

 

出るだけで15万。その他機材、トレーニング代は別にまたかかります。

 

―そんなにかかるんですね…!

 

それで僕はお金がないのでスポンサーをつけて援助してもらっているんですね。

広報をやって下さっている化粧品系の会社と、資金面では飲料系、コンサル会社です。それはもう自分から踏み込んでいったっていう感じです。

 

 

この行動力こそが彼の挑戦を支えている。

 

そして、彼がトライアスロンに挑戦する中で一番大切にしていることは、情報発信である。

 

 

―なぜ発信力というのをとても大事にされているのでしょう?

 

自分の経験を発信して色んな人に見てもらうことによって、体力的に弱い、同じ境遇にいる人に影響を与えたいと思っています。体力的成長が可能であることを見せることで、その人も希望がもってくれたら、自分がその人に最大にできる貢献だなと。あとは同じ境遇ではない人にも挑戦に対するやりがいとかっていうのを発信したいんです。

 

―これからも同じ境遇を持っている人に対して伝えたいことをより詳しく教えて下さい。

 

同じような境遇と言っても度合は違うかもしれないです。

でもアレルギー持っていて、未来にあまり希望が持てないとか、今がそんなに楽しくないという人に向けて、ちょっとでも気持ちをわかる人が、体力的にももっと上を目指そうとしているということで、自分にもできるんだなということを知ってもらいたいです。

さらに他の人へ向けるなら、挑戦することはすごく楽しいし、挑戦するための行動とかたとえ失敗しても僕はやる気でいるので、そういうことをもっとみんながやったら面白いんじゃないかなと思います。互いに刺激しあえるというのが理想ですね。

 

 

この言葉から彼の前向きさが本当に伝わってきた。

挑戦することの大切さは、その人の境遇に関わらず皆が忘れてはならないことである。

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―これまでポジティブな感情や考えはずっと持たれていたんでしょうか?くじけそうなこととかはなかったですか?

 

そうですね、どちらかというと、症状とか出て運動できない時は正直もうあきらめるしかなかった。くじけるというより、活動できるときがあったのでそっちを本気で楽しむ、活動できるときには全力投球で楽しんでいたという感じですね。

 

そこでくじけたら終わる。おもしろくない。僕はおもしろさを求めて、人生を楽しむタイプなんだと思います。

 

 

―今後トライアスロンの経験をどうやって生かしていきたいでしょうか?

 

今トライアスロンは自分の経験を発信するためのツールなので、トライアスロンの完走が僕のゴールではないんです。あくまでトライアスロンは過程で、完走するために自分がどれだけ発信できるか、それが大学で最大にできることだと思っています。

それを将来に生かすのであれば、発信を超えた、“影響”を僕は求めているので、具体的には社会人になって、同じ境遇の人とかにどれだけ影響させられるかということを考えています。

 

 

 

”同じ境遇を持つ人に自分の経験を少しでも発信したい、挑戦することの大切さを伝えたい。“

 

そういう思いから、彼はトライアスロンに挑んでいるのである。

 

彼の“発信”により、何かをあきらめた人、前に進めない人が少しでも気持ちに変化があれば、それはすでに彼の言う“影響”を与えているのではないかと私は感じる。

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