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大学4年生、8月。
この時期に就職先が
決まっていないのは、割と焦る。

もちろん就職活動はしなきゃいけないし、卒業するために卒論も書かなきゃいけない。
お金は必要だからバイトに行く必要もある。
なにより、最後の大学生活なんだから遊ばなくっちゃ。

そんな状況下で彼女が出会ったのは『警察官』という仕事だった。

 

A巡査部長

就職浪人を1年間経て、無事試験に合格。大学を卒業後、6カ月間、全寮制の警察学校に通った。交番勤務を数年経験し、試験に合格の末、刑事へ。今は巡査部長として仕事をこなしている。

 

漠然としたものに振り回されたくない。

就職活動はちゃんとやってたけど、なんやろう・・・エントリーシートとかで落とされたり、適性試験でイエス・ノー、イエス・ノーって答えて、「はい、次来てください。」「もうダメです、さようなら。」って・・・そういうのがよくわからんくて。そんなわけのわからんものに振り回されてたら時間がもったいない!と思っててん。

運動が好きやからスポーツメーカーとかもいいなって思ってたけど、何千人も来て受かるのが4,5人ってそんな博打みたいなことでけへん!って思ってたし、説明会に行くのも都会に出なきゃいけないからお金も時間もかかるし、普通に効率悪いからね。

その時に同じ学科の男の子たちが地元の警察を受けるって話を聞いて、じゃあ自分も受けてみようかなって思ってん。プラス、公務員試験は勉強して受かったら次もう面接行けるから、気に入られる気に入られへんとか、向いてる向いてないとか、そういう漠然としたものに振り回されへんから。とりあえず勉強して点とって、面接行ったら自分のやりたいことをアピールできるやん?それやったらそうしようと思って。

なんで警察?って聞かれるとよくわからへんねんけど、今まで考えた中やったら、まぁ頑張り次第で出来るんやろうなって思ったからかなぁ。

でも試験受けようと思ったのが8月頃やったから、受けれたのが2県しかなくて、ちょこっとだけ勉強してんけどやっぱりあかんかった。まぁ、その時にこれ勉強したらできるなって思ったから、そこからが火がついて来年に向けて勉強始めたね。

 

警察には男手が必要。

女性警察官の志願者は多いが、採用人数はとても少ない。日本経済新聞の記事では、平成24年度の現役警察官の中で女性警察官は全体のわずか7%しかいないと記載されていた。Aさんに女性警察官の現状をうかがった。

被疑者が女の人の場合だと身体検査するのはやっぱり私たちしかできないし、被害者が女性で話を聞くことも女性警官がやった方がスムーズかな。基本的に同性相手するのは楽っちゃ楽なんかな。でも『女性警察官じゃないと出来ない仕事』って聞かれたら、それぐらいしかないなぁ。

女性だからという理由で蔑まれたり、見下されることはあるのだろうか。

うん、あると思う。あるけど、なんていうか・・・これは私が思ってるだけやけど、やっぱり男の人がいないと警察って絶対成り立たないと思うわけよ。

例えば男女比が逆だったら絶対無理。やっていかれへん。この男女の比率はしょうがないことやと思うし、やっぱり必要とされていることは男の人の方がいっぱいあるし、男の人が活躍できるんやって、絶対。

中には「女と仕事したくない」って人もいるわけよ。でもその人の気持ちもわかるよ?たとえば男同士やったら雑に扱っても別にいいし、なんかあったときにセクハラって言われる心配はないのよ。だから私はその人たちに考えを改めろ、なんて別に思わへん。そらそうやなって思ってる。

私自身、「女性だから、男性だから」とか考えることはないけど、ただ一応お金は男の人と同じだけもらってるから、そこらへんはやっぱり考えるよね。男の人がやってるのにやらないっていうわけにいかない。でも、できることとできないことがあるからお願いすることもあるし、その分違うところで頑張ったりとか・・・そういうのはあるかな。

今後、結婚や子供を産むとすれば刑事の仕事はどうするのだろうか。

いや、まぁ~・・・無理やね。今みたいなことできひん、絶対。

体力的にもそうやし、例えば呼び出しとかめったにないけど、日々そういう環境にいるわけよ。土日祝日もなんかあったら電話かかってくるし、対応しないとあかんねん。そういう中で生活するって家庭を持った時にだいぶ犠牲にするものが出てくるよね。

自分一人の話じゃなくなるから。今、自分一人やから自由にやってるけどね。

 

身の危険を感じたこと

Skijipic

それがね!ないのよぉ~!

よく聞かれるけど、特に危ない目に遭ったこととかないのよね。犬に噛まれたぐらいしか怪我もないしね~。

要はそんな危険な場所に一人で行かすことってないわけよ。そこもさ、男一人でできることと女一人でできることの違いよね.

無神経に男も女も一緒やー!って言って女一人でそんな危険な場所に行かせる人って適性をあんまりわかってない人やと思うわ。そんなん一人で行かせてさ、怪我でもして帰ってきたら大問題やで?はっきり言って。

犯人に手錠懸ける時も「こうこうこうであなたを逮捕します。何時何分逮捕。」って言って手錠カチャッて感じで、地味に終わるよ。地域のお巡りさんやったら現行犯逮捕とかして揉み合いとかもあるかもしれへんけど、ドラマみたいなんはないかな。

 

使える刑事になりたい。

刑事としての理想像を聞いてみた。

難しいね・・・なんやろ、もちろん対外的にも頼りになる刑事になりたいけど、それ以上にこいつ使えるなって警察内の人たちに思われたいっていうのはある。こいつやったら任せられる、とか。期待に応えられる刑事になりたいのよね。

もちろん根底には「市民のために」って気持ちがあるよ。いろんな事件扱っていると鬱陶しい人もいっぱいおるけど、中にはほんまに純粋に可哀想な被害者もいる。私はやっぱりそういう人たちのためにエネルギーを温存しておきたいわけよ。例えば酔っぱらいの喧嘩に全力注いでたらあほらしいやん?そういうのはあしらって必要なとこに力を注ぎたい。

刑事が接する人って普通の人は少ないからさ。だから仕事中に嫌なこと言われたりされたりすることはたくさんある。ほんまにムカつくけどね、そういうのはあしらって純粋な被害者のために働くよ。

 

もしも警察を辞めたら次はどんな仕事をしたいか聞くと、
意外にも『パン屋さん』という回答。
全然違う仕事をしたいのだそう。

でもパン屋では犬に噛まれることさえきっとないから
Aさんにとって刺激が足りないのでは?
と思ったことは内緒です。

文・原 優衣