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福田葉一(Fukuda Youichi)
長崎県出身。東京大学教育学部4年。
高校生360人と大学生100人をつなぐイベントを2013年、和泉高校で行う。(詳しくはこちら。)

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さまざまな団体に所属していた福田さん。しかも、そのほとんどが人を支援する系統の団体だ。そのような団体に多数所属した目的は何なのだろうか。

 

「うーん…。楽しいから、という理由じゃ、だめかな(笑)。
たまにこういう質問を受けるけれど、僕はいろんな人と接したり、頭使うことが楽しいと思ってやってるんだ。

”意識高い”のかなんなのかどっちでもいいけど。」
考えることが好きだと言う福田さん。
Teach for Japanを通して、教育について考えるようになり、学部選択時に教育学部を選んだ。(東大では3年時に学部選択を行う。)

「教育学部に入ろうと思ったのは、教育を統計という定量的・定性的観点で分析して、
それを踏まえた僕の意見を伝えられるようになりたいなと思ったからなんだよね。」

教育と論理的に向き合おうとしている福田さん。
私が今まで会ってきた、熱意を持って教育に携わろうとしている人とはちょっと違うようだ。

「あー…。僕、情熱系じゃないんだよね(笑)。
人のために何かしようと思うような人間じゃないからさ。
本当に、どうしたら人が楽しくなるかを考えることが好きなだけだよ。」

彼は楽しくなる方法を考えて実行に移し、分析・検証を行うのだ。

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多様な価値観を認める
それは福田さんが大切にしていることのひとつだ。

「僕は皆が変えたいものを変えられるような場所を用意しようと思ったんだよね。」
彼はそう思い、高校生と大学生の対話の場を作った。

そんな彼には1つ、大きな後悔がある。

「僕はさ、高校生のうちにもっといろんな人と話しておけばよかったなって後悔してるんだ。」
そのきっかけを与えてくれたのは、中学の時に付き合っていた彼女だった。
「彼女とは別れてからも仲良くしていたからさ、東大に合格したことを報告したんだけどね…」


それで、高校生活では何を学んできたの?

彼女から返ってきた言葉は意外なものだった。
「…正直、返す言葉が無かった。
高校は楽しかったし、勉強も頑張ったよ。
それでも、自信を持って彼女に語れるものは無かったんだ。」
いろんな人と話をして、多様な価値観を知り、認める。
そのことの大切さに気づかされた瞬間だったという。
「だから、大学生にも高校生にも、日頃会ってない人に会ってもらいたいと思ったんだ。
新しい価値観を知って、葛藤して欲しい
そして数年後でいいから、
『ああ、あの人たちが言ってたこと分かるな』
って思ってくれたらいいなって。
そう思うんだ。」

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多様な価値観を認める。それは、先生の価値観も例外ではない。

「僕は、教育のシステムを変えたい。
先生になるべく依存しない、
且つ先生の個性が生きるような教育システムとは何かを考えたいんだ。」
「イベントは、できるだけ調整役(ファシリテーター)に依存しない場にしようと心掛けた。
僕の代わりに誰が話しても同じ成果が出るようにね。
話す内容に関しては、もう各自にお任せ。
自由に話してもらった。
正直、そういった場は創りきれなかったけど、ファシリテーターを育成するだけでなく、
ファシリテーターに依存しない場創りも同時にしていかなくちゃいけないと思ってる。」
先生という立場になる人が個性を発揮できる場づくりをする。
まるで、先生を見守る先生だ。

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「僕は、教育に携わる人の地位をあげたいんだ
教育って、定量的・定性的な結果が見えにくいから、目標や課題設定がとても難しいんだよね。
例えばコミュニケーション能力とかいう謎なものを伸ばそうと考えたとするでしょ。
でもそんなもの、どうやって測ったらいいのか分からない。
それでも、何とかしなきゃ、
ともがき苦しみながら前に進んでいるのが教育に携わる人の現状なんだよね。」
そう話す彼の表情は真剣そのものだ。

「定量的・定性的な結果が見えにくいと、キャリアの可能性も狭いんだ。
検証されているわけじゃないけど教師と営業マンでは、後者の方が圧倒的に転職しやすい気がする。
それがとても悔しいんだよね。」

この現状を脱するには、何か方法は無いのか。

「先生たちの努力を数値化、つまり見える化する努力は必要だと思う。
そのために、まずは数値目標の設定することが大切なんじゃないかな。
先生は仮説目標を検証し、達成するための方法を考え、解消していく。
そしてそれを他者が評価し、さらに検証していくことはまだまだできると思っているんだ。
トライ&エラーの積み重ねが定量的な形となって、可視化できれば伝わりやすいよね。」

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「先生のキャリア形成がスムーズにできるような方法を見つけたい。」
そんな彼の目標は、教育人がそれぞれの持つ教育理念を掲げ、堂々と生活できる仕組みをつくることだ。
「これまで、いろんな教育思想を持った人たちと会ってきた。
でも、せっかく良い理念を持っていても、それを掲げて生活するには課題が多いんだよね。
だから僕が、その人たちが堂々と教育に携われる環境をつくりたいんだ。」

 

多様な価値観を認め合える社会に。
1人1人が自分らしく在る社会に。

まずは、教育のシステムから変えていこう。

 【文:市川陽菜 写真:福田・市川】