”水俣病大学”が現在開講中だという。

日本の環境問題を象徴する出来事として知られている水俣病事件。

公式確認からもうすぐ60年を迎える水俣病の講座を”今”開いているのはなぜなのか?

水俣病大学を運営するNPO法人の理事長、畠山武道さんお話を伺った。

これこれ

水俣病大学とは、一体どのような取り組みなのでしょうか?

水俣病大学は認定NPO法人水俣フォーラム主催(立教大学後援)の水俣病専門講座です。
大学の授業と同じように90分×30回の講義形式をとっています。

どのような講義が行われるのでしょうか?

医学・化学・歴史・社会・政治・法学・表現など
幅広い学問分野の講義が行われます。水俣病を様々な角度から学問として見つめ直す事で全体像を
理解することが出来ます。

水俣病はすでに解決したと考えている方も多いと思います。なぜ水俣病について学ぶ講座を開いているのでしょうか?

水俣病から学べることはまだたくさん残っていると思うからです。

日本は多くの人を苦しめた公害を深く反省し、原因究明・技術開発・被害者補償に真剣に取り組んできました。その結果、“公害先進国”から諸外国に公害防止技術を売り込むほどの“公害対策先進国”へ成長することが出来ました。

一方、水俣病に関しては病気発生のメカニズム・水銀の行方・被害者の数など未だに不明な点がたくさんあります。にもかかわらず、 国は問題解明に取り組もうとせず、むしろ患者数を少なく見せようとしています。

もし水俣の教訓を将来に活かすつもりがあるのならば、 患者さんが減って関心が薄れてきている今こそ水俣病を学び直す意義があると思います。

なぜ、大学と同じような講義形式を選んだのでしょうか?

これまでは水俣病に関するパネル・実物展示等を行う”水俣展”を通して全国13万人以上の方々に水俣病の事をお伝えしてきました。

しかし、水俣展は数日間しか開催されないので、水俣病を学問としてお伝えするには適しません。そこで、少人数の講義形式を選びました。
  
水俣病大学には、水俣病を総合的に学べる場を作るという狙いもあります。水俣病に関する研究・調査は各研究者・ジャーナリストが個別に行っている場合が多く、九州以外では水俣病の全体像を学べる場がほとんどありませんでした。 

環境法学者としても著名な畠山さんが活動に参加なさった経緯を教えて下さい。

水俣展に足を運んだことがきっかけでした。水俣展の写真には心に強く訴えかける何かがあって、その迫力に驚きました。それから、「何かお役に立てる事があれば」という思いで当法人の支援を始めました。

活動で印象に残っている事を教えてください。

水俣展や講演会にいらっしゃった方から「来てよかった!」と多くの反響があった事です。中には、「お手伝いできることはありませんか?」と運営を手伝ってくれる若者もいます。 こうした反響があると、水俣病の事をまだよく知らない方のためにも続ける価値があるなと思います。

 最後に活動への思いを聞かせて下さい。

水俣病を客観的に伝えていく事が私たちの使命だと思っています。 水俣病に関して正確で全体的な知識を持ち、家庭・職場・学校など様々な場所で語り継いでくれる人が増えてくれると嬉しいです。

水俣病大学の講座はどなたでも聴講生として講義を受ける事が可能です。(有料) 「ちょっと聴いてみるか」くらいの気軽な気持ちでいらっしゃってください。大歓迎です。

水俣病大学 http://minamata-daigaku.blogspot.jp/

【執筆:中村勇斗 写真:市原ひかり】

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(インタビュー後撮影、左から市原、畠山理事長、中村)