田口さん表紙1

 

だんだん元気がなくなっていって、ボケが進んでいって。それが悲しくて見ていられなかったんです。 

きっかけは3人の大切な人。

―そう語るのは「80歳からの家庭教師」を進める大学4年生田口絵未花さん。
どうして「80歳から」だったんだろう?

 私の家族、そして周りの人がきっかけでした。最近亡くなったうちのおじいちゃん、
そして「80歳からの家庭教師」の生徒1号である私のおばあちゃん、
さらに近所でお茶会を開いてくれる近所のおばあちゃんの3人。

3人に共通していたのは80歳を過ぎて、趣味をする気力がないと言い始めてきたこと。
例えば、うちのおばあちゃんも趣味はありましたが、認知症になってから、
習い事に行きたくても、行き帰りの道が分からなくなってきて、家に帰れないということも増えてきました。

田口さん1

これは訪問型の習い事が必要だ。そこで、「私がどうにかしよう!」と。
当時、私は大学で「高齢者心理学」の授業を受けていて、
授業の中で心理学が高齢者とのコミュニケーションのなかで一番大事だとお話されていたんです。

あ、これだと。

そこから、80歳からの家庭教師が出来て、起業に至った訳です。

―「80歳の家庭教師」はどういう仕組みなんですか?
設定としては、先生が若者で、生徒が80歳前後の方。

週一回90分訪問型のモノ作りをするサービスです。月に2回っていうサービスも作っています。
作った物は商品として、展示会などを開いて販売をする予定です。

 ―「売る」という選択肢にこだわりはありましたか?

売るという行為が「人のために生きている」という感覚を生むと考えて。
最初は私のおばあちゃんに「売るよ」って言ったら、「私にはできない。」と弱気になっていました。
だけど、展示会や販売を目標にすることで、前向きにやる気を出していったんです。

もちろん今でも緊張はしているみたいですが。(笑)

「売る」だけではなく、さまざまな方から協力を頂いて、展示会をさせてもらい、販売も並行して進めて。
高齢者の方々に「人のために生きてる!」っていう生きがいを実感してもらおうと思っています。

田口さん2

年を重ねるたび、自分を好きになろう。

それぞれの想いも叶えたいんですよ。
うちの近所のお茶会をしてくれるおばあちゃんは
「名前も忘れてしまった京都の友達に逢いたい」とお話をしてくれました。

願いを叶えるために、その京都の友達のお名前をいろんな人の協力のもとで探って見つけたんです。
そして再会してもらう。そういったことも特別授業として行っていきます。

他にも、うちのおばあちゃんは「綺麗な景色を見て散歩したい。」、
「服が買いたいけれど、服のセンスが分からないから誰かと一緒に服を選びたい。」という想いがあります。

だからそれぞれの想いを叶えるための特別授業を月1の入れ替え授業としてやっていくつもりです。 

そして、生徒さんの良い部分がたくさん書かれたメッセージカードも作ります。
「認知症になると家族に迷惑をかけてしまって自分のことがほんとに嫌いになる。」

これは私のおばあちゃんの言葉です。

アカンと。だから、良いところを先生の若い人たちから報告してもらって、
手作りのメッセージカードをコルクボードとかに貼って、それを誕生日にプレゼントする。

年を重ねる度、自分のことをより好きになっていってほしいなっていう想いを込めています。

田口さん3

東海から社会を明るく。

―起業へのこだわり。
なぜ大学生活の延長線上、つまり学生団体ではダメだったのだろうか。

ボランティアという無償奉仕の形だと持続性がないと考えました。
学生ボランティアの場合、例えば平日アルバイト、土日にボランティアという形になる。
お金をもらうことで費やせる時間が増えればその分、幸せになる人も増える。
ならば、就職してボランティアという形で続けるのではなく、
今のラジオの仕事もやりながら、好きなことも仕事をしながら続けていくことがベストだと思いました。

―もともとなにかやろうとしたら一直線のタイプだった?

中学1年生のときに、憧れのラジオパーソナリティの方がいました。
その方は常に私を元気にしてくれる方で。
その方がラジオのなかでいじめの話題が出たときに、さらっと発言されたことがとても心に残る言葉でした。
そこから社会を良くしていかなきゃと思って、人権フォーラムに参加したりしたんですね。

その後、今度は自分がラジオパーソナリティになりたい、
自分も電波を通して社会を明るくしていきたいと思いました。

そこから高校、大学。
今は大学で心理学を学んでいますが、それを決めたのもリスナーさんの悩み相談に役立てるため。

なにか決めたら一直線というのはありました。でも、計画通りです。思い切りと冷静を両立しています。

―そんな計画的な彼女は本を出版した。 

田口さん6

私は今、女子大に通っていますが、周りの女子大生がめっちゃネガティブ。
「彼氏と別れて死にたい」、「単位落として鬱」、なかには引きこもる子もいました。

これはなんとかせなあかん、とポジティブ田口が立ち上がったんです。

―アクティブになってほしい。自分を好きになってほしい。
さまざまな角度から人々に勇気を与えようとする田口さん。

大きく言えば、世の中の人たち全員を幸せに。それぞれの人生、最高の人生だと思ってもらいたいですね。
若者、お年寄り、年齢関係なく東海から全国にポジティブを広めていきます。

田口さん4

 

年を重ねれば重ねるほど、
薄れていく記憶や思い出がある。

けれど、「人のために生きる」ことで、
その想い出は共有され、語り継がれていく。

「まだまだ元気でいてもらわないと困りますよ?」
おばあちゃん、おじいちゃん、いつまでもお元気で。

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【文章・写真:江口春斗