人々の行動に変革を起こすことが、デザイナーの仕事です。

 

No.38

 

名前:明石貴寛 (@AkashiTakahiro )

 

出身大学:東京造形大学 造形学部 美術学科 絵画専攻

 

 

 

今回は大学卒業後デザイナーとして活躍されている明石貴寛さん(以下、明石)にお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

★では、まず今やっている仕事の内容について教えてください。

 

 

 

明石:仕事内容は多岐に渡りますが、主に①イラストレーション②HPデザイン③広告制作の三つです。

私は現在医療コンサルタントの会社で仕事をさせて頂いているのですが、クライアント企業のイメージに合わせたHPのデザインを考えたり、クリニックのロゴマークやマスコットの制作、医者向け専門誌の広告制作に写真合成等など…様々な仕事に挑戦させて頂いています。

 

 

 

Lien:HP制作やマスコットのデザイン等、幅広いお仕事を手掛けていらっしゃるのですね。

 

 

 

明石:そうですね。上司や営業の方々から依頼されるお仕事で、達成できそうな案件のお仕事ならなんでも取り組みます。

 

開業支援の際には、あらゆる告知が必要となりますし、それだけ制作すべき仕事は多岐に渡るようです。

また現在グラフィックデザイナーを取り巻く状況として、新しいメディアであるインターネットの台頭を背景に発信する選択肢が増えた事も関係しているでしょう。

今は出版不況と言われネット広告の拡大に伴い雑誌や新聞などの紙媒体は縮小傾向にありますが、それでも情報を伝える手段として、これからも必要とされ続けると思いますし、それと平行してfacebook等のソーシャルメディアを活用した試みも活発化してきているため、自然と多くの種類の仕事をやるようになってきているのです。

 

 

 

 

(企画書イメージ)

 

 

 

 

 

★なるほど…。初歩的な質問かもしれませんが、デザイナーとは一体何なのでしょうか?

 

 

 

明石:逆にお聞きしますが、デザイナーのイメージってどんなものがありますか?

 

 

 

Lien:洋服、インテリア、広告などをデザインする人でしょうか?

 

 

 

明石:そう。つまり装飾的な事ですよね。

 

私はデザイナーの仕事とは、物の形を通じて人を惹きつける要素をいかに作り出すか…どれだけ美しく、格好良く、解り易く伝達するかを追求することだと考えています。

ですが更に言うとデザイナーの本質は「人々の行動に変革を起こすこと」にあるんです。

 

 

 

Lien:変革、というと?

 

 

 

明石:エポックメイキングというのかな。例えば最近の例で言うとappleの製品。音楽プレイヤーであるipodが発表される前と後では、のちに続くデザインの潮流が変わりました。ipod登場後はフラットなデザインの製品が多くなりましたよね。

 

各企業はその鮮麗されたシンプルなフォルムやインターフェイスに触発されたかのように、類似した製品を発売した。

その根底にはapple製品を見た消費者の「これは!」という新鮮な驚きから、購買意欲を掻き立てられ、意識改革が行われたのです。

そうした波及の結果ipodやスマートフォンの流行が始まり次第に音楽配信の仕組みを大きく変えていき、気付けば人々の生活様式までも大きく変えていた。

一概にデザイナーの偉業とは言えませんが、そうして人々の文化や経済活動に影響を与えることが出来るのがデザイナーの仕事なのではないのかなと考えています。

 

 

 

★学生時代と比べデザイナーの仕事のイメージにギャップはありましたか?

 

 

 

明石:大学時代に「将来はこうなるだろうな」と想像していたので実際はあまり無いですね。制作ツールはだいたい業界標準がありますし、ワークフローもクリエーター向けの雑誌などをよく読んでいたので、逆に本に書いてある通りでした。

 

強いて挙げるなら、社会に出て人は一人では生きていけないという事を改めて実感しました。

HP制作一つとっても営業・ディレクター・プログラマ・コーダー・デザイナー…色んな人を通して達成するわけです。1つの事を皆でやる。それが社会だった。

「1人で達成する」事が圧倒的に多かった絵画専攻の人間からすると軽いカルチャーショックでしたね。(笑)

 

 

 

★美術大学の絵画専攻からデザイナーを目指した経緯をお聞きしてもいいですか?

 

 

 

明石:私の進学した美術大学の絵画専攻は「アーティストの養成を主な目的とした」学術環境でした。油絵は基本的に真っ白なキャンバスとの1対1の対話なんです。そして自らが中心に立って、最終的には個人事業主として作品をブランド化して行かなければなならない。曖昧で明確な現代ARTの線引きと、個人と世界の関係の中でアーティストとして常に作品に輝きを磨き、更に断続的に活動していくために「誰に・何を・どうやって」思想を共有できるファンに作品を届けるか、画廊との関係の中で紡いで行く。

それは大学4年間では到底足りない問題であったし、現代ARTを現代ARTと認定する構造へ疑念を抱くようになり、市場原理として認識しやすいデザインと云う商業の世界に魅力を感じるようになりました。

 

 

 

★明石さんは大学生活をどのように過ごしたんですか?

 

 

 

明石:今与えられている課題を妥協せずにこなしていけば、長期的に自分にいい影響をもたらすと考えていたので、大学生活の7割は専攻である油絵をひたすら取り組んでいました。

 

油絵を専門に学ぶ環境はかなり特殊な空間ですし、実際アイデンティティーの形成として重要だと感じていました。

なにより制作する事が好きだったので苦しんだりもがいたりしながらも、放課後もまたいで絵画実験やら模写やらして作品制作をしていたのは、とても貴重な経験になっと思います。

あとの残りの時間にはHP制作ソフトDreamweaverや Fireworksを買ってHPを開設してみたり、映像部と云う部活動に参加して趣味で絵コンテ書いて、photoshop・Irastrater・Premiereなどの制作ソフトでショートアニメに挑戦したり、部員の実写映像制作のお手伝いなどもしてましたね。

今思えば、これらのおかげで絵画専攻がデザインのお仕事を目指せるきっかけになったのかもしれません。

 

 

 

 

(“女医”をテーマに明石さんが作成したキャラクター)

 

 

 

★デザイナー志望の学生に何かメッセージをお願いします。

 

 

明石:僕はまだ駆け出しなので、偉そうなことは言えません…(笑)

 

ですが一つ正しい助言ができるとしたら、学生時代は記憶の本棚を充実させる事に兎に角、勤めてください。

人間は物事を創造する時、自らの経験に即した情報を元に思考していきます。

流れの速い事で有名な業界です。どれだけ多く書籍をインデックスとして知っているかで、表現の幅が変わってくると思うのです。一つの囚われた観念にとりつかれて生きていくことは苦しい事なので、沢山の経験をして自分の核となる真理を探していって欲しいです。

私もその途中なので、一緒に充実した本屋さんにして行きましょう!

 

 

 

 

 

 

最後に「今後の目標は?」と聞くと「人々の生活に変革を起こすような製品に携わること」と力強く語ってくれた明石さん。

 

一つの質問に対し、インタビューでは書ききれないほど沢山の深い回答をして下さいました。

これも明石さんの言う“引き出しの多さ”なのでしょうか。

素敵なお話ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

【作成…明石華那】