「政治」=「敷居が高い」

 このイメージを根本から覆してくれたのは一人の大学生

市民と政治の壁をなくすために僕らができること

それはまず、一人の若者を議員にすることから始まる

 

 議員インターンシップで若者と政治を繋ぐ

 I-CASとは具体的にどんな活動をしている団体?

I-CASは学生が中心となって若者に議員インターンシップを提供している運営団体です。議員インターンシップをやっている団体って実はI-CASを含めて5団体近くあるんですよ。最大手はドットジェイピーさんで、今は独り勝ちみたいな状況です。でもそんな中でI-CASには他とは違う最大の特長があるんです。それは、受け入れ先議員を地方議会議員に絞っている事です。

 

―地方議会議員に特化する理由は?

地方議会議員の下でのインターンシップというと、みんなどこかの田舎に飛ばされるんじゃないかと思い込んでいるんですよ。でも実際は、東京都議会議員など首都圏の議員を中心に活動を行っています。逆に、国会議員の方はとてつもなく忙しいので、インターン生は議員さんと常に一緒に行動することが難しいんですよ。だから多くの場合は、秘書の方が面倒を見るので、秘書インターンシップになってしまうという話を聞くことがあります。国会議員の下でのインターンシップは、やはりやることが難しい。国の課題だと急にレベルの高い話になってしまって身近でなくなるから、政治に対して親近感が湧きにくいんですよね。一方で、地方議会議員インターンシップだと、町のごみ問題、自転車の整備、小学校の統廃合、福祉の問題など誰にとっても身近な問題を扱うので、興味がない人でもとっつきやすいです。また、地元の方への挨拶回りやチラシ配りを行うなど、本当に政治家さながらの体験ができます。

 

―どんな人をターゲットに?

基本的に選考は行っておらず、だれでも参加できます。ただI-CAS って、政治に興味がない人にこそ参加してもらいたいと思ってるんです。政治との距離感を縮めてもらうっていうのが目的なので。だから大学生と言わず、義務教育を終えた高校生から参加できます。実際、高校生の参加者に来ていただいたこともありますし、社会人の方でも政治を勉強し直したいという理由で来ていただいたこともあります。

 

―インターン生と議員の相性が合わないなんてこともあるのでは。

インターンシップが始まる前に、マッチングフェアというのを行っていて、参加議員とインターン生が一度全員集まります。そこで直接話をして、インターン生にどの議員にするか決めてもらいます。お互い人間ですから、どうしても合う合わないはあるんですよ。その後90パーセントぐらいのインターン生が第一希望の議員の下で二か月間インターンシップを行うことができます。それぞれ議員によってやることが異なるので、例えば政策立案をさせてくれる方もいれば、就活塾のようなプログラムをしてくださる方など、そこでも色々とバリエーションがあっておもしろいですよ。運営側で勝手に割り振ったりすることなく、インターン生の希望通りの議員の下でインターンできるのがうちの強みです。

                                                                         (写真:マッチングフェアの様子)

 

―テレビや新聞などでしか議員を知らない人にとっては、悪いイメージは拭いきれないものです。実際の議員に対する参加者の声はどうなんですか?

やはり印象は変わるとよく聞きますね。例えば、仕事を終えた議員さんがインターン生を一緒に飲みに連れて行ったりしてくれるんですよ。受け入れ議員は若い方が多いので、参加した学生とも年が近くて、親しみやすいんでしょうね。自分の学生時代の話や、恋愛の話、就職の話など、為になるお話してくださる議員さんもいますよ。そういう話をしてくれたらやっぱり親しみ持ちますよね、「ああ案外自分たちと近いんだな」って。だから、インターンを終えた参加者に聞いてみると、「いい意味で議員さんは普通の方が多くて親しみやすかったです」なんて声をいただくことも多くて、僕らとしても嬉しいですね。あと、意外と多いのは、「人見知りが治りました」って声を聞きます。議員さんの周りには様々な職種の方がいらっしゃるので、刺激を受けつつ、段々と社交的になれます。

 

―山内さん自身も議員インターンシップに参加したんですか?

はい、参加しました。はじめ僕は悪いイメージはなかったのですが、「なんとなく距離はあるのかな」とは思っていました。参加したのは大学1年生の冬で、つい数か月前のことです。東京都中野区の政策を調べて新しい事を提案していくというプログラムに、他のインターン生と合同で参加しました。「学生が調べたことなんて受け入れてくれないだろう」と思っていたのですが、実際は凄く真剣に考えてくださって、本気でぶつかってきてくれるが故に、凄く怖い質問をするんですよ(笑)でもその分やりがいもあったし、将来社会に出たら経験することになる、ギュッと凝縮した体験がインターンシップの中で学べたかなと思います。何より議員さんが対等に接してくださるのが嬉しかったですね。

 

―その後今度はインターンシップを運営する側に回ろうと思った理由は?

僕がここに入ったのは10月なので、厳密にいえばスタッフになってからインターンシップに参加したんです。ただ、もともと政治に興味があったのでこういう活動はしたいとは思っていました。昔から僕は政治に興味があったタイプなんですけど、周りの友人はやっぱり興味がない訳ですよ。でも、高校の時に、自分が政治に興味があることを周りの友人は知っていたので、政治的な事件があったとき聞いてきてくれたんです、「どう思うか」って。だから政治に興味を持つ人が一人でも増えれば、「あいつが政治に詳しいから、俺もちょっと興味持ってもみよう」とか、「あいつはこの事件どう思ってんだろう」とか、少しは考えてくれると思ったんですよね。そういうことから、誰かが政治に興味を持つきっかけを作りたいと思ったんです。

 

―いつから政治に興味が?

中学3年生くらいからでしょうか。中学校の行事で新潟に農村体験に行ったんです。そこがあまりに寂れていて、「どうにかしないとな」という想いが生まれました。それから、高校生になって学校行事で沖縄に平和学習をしに行きました。実行委員長になり、先生方のご厚意で自分なりの意見を述べる機会を様々な場面で頂きました。それを見たり聞いたりした同級生がまた意見を求めに来てくれる。そんなことの繰り返しで、それまであまり興味のなかった国際問題のことも考え始め、自然とニュースも見たり、自分なりに興味も持つようになりました。最近では、大学一年生の時のゼミが社会保障だったので、その関連で、増税と社会保障の絡みあった問題が気になっていますね。ただ、NPO法人の代表という立場上、政治的な発言っていうのはしないようにはしています(笑)

 

―将来、議員を目指しているのですか?

議員というか、政治の道に携わりたいなとは考えていますね。行政関係とか。単に議員になりたいと思っても、それまでやっていた仕事も辞めなければならないし、お金もかかるし、政局の傾きも気にしていなくてはならないので、やはり大変な職業です。とはいうものの、やはりこういう活動をしていると自分も携わりたいという気持ちは生まれます。僕は大学では法学部で、大学入学当初は法律家になりたいと思っていました。ただ、法律家って何か起きてから解決する仕事じゃないですか。それよりも何か起きる前に未然に防ぐ制度をつくる仕事がしたいと思って、今は政治の道を選びました。

 

―I-CASの目標は「市民と政治の壁をなくすこと」ですが、達成できたと思う瞬間は?

毎年夏と冬にインターンシップを行うのですが、終わった後に“印象が変わった”とか、“身近に感じるようになった”と言われると、個人レベルですけど達成できたなと思えます。インターンシップを通して政治に興味を持つ学生の姿を見て、「自分も政治に興味を持ってみようかな」と、いろんな方が思ってくれるのが理想です。

 

―議員インターンシップに応募する人自体、政治に興味がある人が多いと思うのですが、そのあたりの問題はどう考えますか?

そうですね。応募してくださる方で多いのは公務員志望です。行政を議員の視点から見てみたいというのをよく聞きます。元から政治に興味あった方も多いんですけど、嬉しいことに、「そろそろ政治に興味を持たなきゃいけないな」と思っていて、たまたま僕らのサイトにたどり着いて応募してくれた方もいます。あとは、就活の話題作りの方もしばしば(笑)別に何のきっかけでもいいんですよ。参加してくれたら必ずいいものにするんで。

 

―そこまでして若者に興味を持たせたいと思う源は何でしょう?

「そもそも若者がなぜ政治に興味を持たなくてはいけないのか」とよく聞かれるんです。確かに、今は政治に接する機会があまりに少ないし、実際興味持たなくても生きていける。でも税金を納めるようになったり、家庭を持ったり、子供を養うようになった時に、どうしても政治に触れますよね。そこでやっと考え始めるのでは遅い。その頃には、仕事やら子育てやらで忙しくて考える暇なんてないのです。だからこそ、時間のある学生の夏休みに、議員さんと共に行動して共に考えるべきだと僕は思うんです。

 

―今の日本では政治に対する若者離れは深刻です。若者の投票率も下がっていますよね。

もちろんこういう活動をして投票率も上がればそれはそれでいいんです。でも投票に行ってくださいねっていう呼びかけをしたいわけではないんですよ。投票に行くまでに、政治とはどんなものなのか知ってもらいたいんです。若者離れも無理ないです。今僕らの周りに政治と関わるきっかけなんてどこにもないんだから。じゃあ自分で新聞読みますかニュース見ますかといっても歪んだ見方でしか伝わらない。一番手っ取り早いのは、現場に出向いて議員さんと触れ合うことです。僕らはその機会を提供するだけで、結果として投票率が上がってくれれば、それに越したことはないです。

 

―団体は15年目迎え、山内さんが代表になられましたが、ズバリ今年から挑戦したいことは?

すでに色々と動いておりまして、杉並区長ネット模擬選挙など、他団体と協力して外部のイベントを共催したり、政策コンテストの企画などを始めました。あと、今年から政治色を薄めていきたいと思っています。ポスターなんかでも、政治色が強いと興味がある人しか見てもらえないんです。それじゃあ意味ないと思って。15年目ということでポスターだけじゃなくロゴマークも変えてみました(笑)今までのI-CASの殻を破って沢山のことに挑戦していきたいです。地方議会議員に特化している点はうちの最大の強みなので、もっと上手くPRしていくことが課題です。比較的少人数の大学など、他団体が入り込めていないところを開拓中です。さらに、I-NOTE(アイノート)というI-CASオリジナルSNSを導入しました。インターン生同士、OB・OGやスタッフとのつながりを通してよりインターンシップを充実したものにしてもらいたいです。

 

―それでは最後に、政治に関心のない人にこそ伝えたいメッセージをどうぞ。

時間があるならば、まず参加してもらいたいです。現場を見れば絶対に自分の中で何かが変わるはず。テレビや新聞から見えることは、誰かが言い換えた話で、それだけで真実とは異なってしまう。だからこそ、自分の目で確かめることはすごく重要なんです。学べることは決して政治だけではないですよ。

【執筆:笠間結衣 協力:吉田健一】

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