たくさんの人でにぎわう新京極に潜む、cafeMATSUONTOKO。

ここで出すお料理は、肉・魚・卵・牛乳・はちみつ・砂糖を一切使用していない、

いわゆる”VEGAN(ヴィーガン)料理”。

 外とは対照的な落ち着いた店内で優しい料理を食べながら、ちょっと一休みしませんか。

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■ VEGANって、なに?

 

このお店の特徴は、なんといってもその料理。VEGAN料理と言われても、ピンと来ない人が多いと思う。そもそも、VEGANって?

 

日本語に訳すると、”完全菜食主義者”です。わかりやすく言うと、ベジタリアンの一種、といったところでしょうか。

日本ではあまり馴染みのないベジタリアンですが、国によってはそんなに珍しいものではありません。宗教上や健康志向、動物愛護思想など、理由はさまざまです。そのため、志向によって制限が異なるのですが、その中でもいちばん制限が多いのが、VEGAN。動物性の食品、つまり肉・魚・卵・牛乳・はちみつは一切口にしません。

 

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名物、VEGANバーガー!(HPより)

 

しかし、お店を経営する松尾さんは、VEGANでもベジタリアンでもないのだという。

 

このカフェがVEGAN料理を提供しているのは、僕の友達がVEGANだったからなんです。

昔から喫茶店を経営するのが夢だったのですが、「普通の喫茶店じゃつまらないよなぁ」と思い、VEGANカフェにしようと決めました。日本では菜食主義っていう思想自体が珍しく、新しい文化じゃないですか。いままでお客さんの中になかった概念が生まれるような、そんなカフェにしたかったんですよね。

 

古いものと新しいものの、共存

 

“新しい文化に触れる場所にしたい“という言葉には裏腹に、店内はアンティーク調の家具がズラリ。初めて来たとは思えない、懐かしいような気持ちにさせる。

 

天井を見てみてください。なんだか素敵でしょ?この店の工事をしていたとき、天井を剥がしたらこれが出てきたんです。飾らない感じの雰囲気が気に入って、この天井に合わせて家具もアンティーク調に揃えようと思って。お金がない中で安い家具を買い集めたので、椅子も全部同じ種類じゃなくて、バラバラなんです。

古い家具がある空間だからこそ、お客さんには新しい料理を楽しんでもらいたいと思っています。古いものにも新しいものにも、それぞれの”良さ”があるということを伝えたいですね。

 

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古いものと新しいものが共存する店内。その飾らない、暖かい雰囲気は、そのまま松尾さんの人柄を表しているように思えた。

 

■”繋がりから生まれた

 

このお店のコンセプトは“お客さん同士の出会いの場所”、そして“新しい発見に出会う場所”。松尾さんは、人の“繋がり”に対して特別な思いを抱いていた。

 

僕は、京都の山科という田舎で生まれ育ちました。山科は、町内での繋がりがとても深い地域です。行事を大事にしたり、年上の子が同じ町内の年下の子の面倒を見たり、近所のおっちゃんが他所の家の子どもを叱ったり…そんな環境で僕は幼少期を過ごしました。だから僕にとって”他人といっしょに何かをすること”は自然なことでしたね。

 

人との”繋がり”が当たり前の存在だった、山科での子供時代。そんな松尾さんが”繋がり”を意識するようになったのは、大学生の頃だという。

 

大学生って、なんだかんだでそれぞれの行動が別々じゃないですか。同じ教室で同じクラスで勉強する機会もないですし、いろいろな意味で環境が大きく変わったんですよね。

他人との時間の共有が減り、今まで当たり前だったものがそうではなくなっていく中で、徐々に”繋がり”の大切さに気づくようになりました。

 

このお店も、たくさんの”繋がり”から生まれた。

 

いまこうしてやっているカフェも、僕一人じゃ絶対にできませんでした。僕にはセンスもないし、料理ができるわけでもない。でも、自分ができないことは、人の力を借りればいいんだ、って気づいたんです。

たくさんの偶然の中でたくさんの繋がりができて、”café MATSUONTOKO”は生まれました。

 

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京都人の心を忘れずに

 

京野菜を使ったヘルシーなお料理は、このカフェが愛される理由のひとつだ。京都に生まれ育った松尾さんの京都人の心に触れた。

 

 

このカフェでVEGAN料理を出すことが決まった時、最初は反対されたんです。京都は他所者に厳しいから、こういう新しい文化は受け入れられないんじゃないか、って。

でも、だからこそ京都でお店を出したかったんです。いままで僕を育ててくれた京都に、京野菜を使ったお料理、という形で恩返しをしようと思って。

 

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そこで、京都を愛する松尾さんに「京都の良さはどこですか?」という質問をしてみた。答えは、「わからない」だった。

 

京都で生まれ育った僕ですが、そう言われるとうまく答えられません。ずっと京都にいるから、わからないんですよね(笑)。

だって、僕にとってはこれが普通なんです。京都が1番ちょうどいい。ただ、それだけです。

 

■松尾んとこ、行こか

 

一見なんて読むのかわからないcafeMATSUONTOKO。「カフェ、マ・ツ・オ・ン・ト・コ」と読んだ方が多いのではないか。もちろん私も、そのひとり。

 

わかりにくい名前ですよね、全部大文字だし(笑)。わざと、なんですけどね。

”マツオントコ(松尾んとこ)”は、関西弁で”松尾のところ”っていう意味。友達の家に行く時に、「○○んとこ行こか~」という風に、普段からよく使いますね。

「カフェに行こう」というより、「松尾んとこ行こ~」っていう感じで、友達に会いにいくような感覚で気軽に来てもらえるような場所にしたくて。

 

お店には、常連さんも多いという。これからの”マツオントコ”は何を目指しているのだろうか。

 

もっとお客さんと友達になりたいですね!友達って呼ぶのは失礼かもしれませんが…(笑)。

あとは、この場所が“お客さん同士の出会いの場所”になってくれたらいいなぁと思います。だからこの店では大きいテーブルをおいて、相席を勧めているんです。日本ではあまり馴染みがありませんし、もちろん二人用の席もありますよ!

“繋がり”で生まれたこの場所が、新たな“繋がり”を作り出せたら、すっごく面白いと思うんです。

 

未来の子供たちに自慢できるようなお店にしたいんですよ、そう言って笑う松尾さんは、すごくカッコよかった。

 

 

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環境にも、動物にも、カラダにも、ココロにも。

みんなに優しい、cafeMATSUONTOKO。

 

古き良きものに、新しい文化に、会いに来ませんか。

 

cafeMATSUONTOKOホームページ

 

【文・写真:山下紗代子】