佐々木俊尚さん、津田大介さん・・・

 

つい先月に開設された彼のブログは、一発目から日本の著名ジャーナリストへの取材記事が並ぶ。

 

インターネットが繁栄する21世紀において、ジャーナリズムはどういうビジネスモデルで生き残ることができるか。

その答えを探す一環として、今日も彼はオトナ達に会いにいく。

 

日本で修行を積んだあとは、ウェブメディアの最前線・アメリカ東海岸に渡る。

その名も、「取材留学」

 

 

ジャーナリスト志望の東大生、大熊将八さん。

 

彼のように、自分の夢に向かって行動している人が、うらやましい。

 

自分のやりたいことって、何だろう。

 

どうしよう、僕たちの未来。

 

◆大熊将八(おおくま しょうや)

199254日生まれ。東京大学経済学部4年。日本のデジタル・ジャーナリズム関係者へ取材をしたり、ネット社会のこれからを考えたりするブログ『くまりんのビッグベア・ウォッチ』を20143月から開始。佐々木俊尚氏や津田大介氏に取材をするなど、精力的な活動をしている。20151月には、デジタル・ジャーナリズムの最前線である米国東海岸の新興ウェブメディアに「取材留学」をする予定。

普段は、社交ダンスをスポーツ化した競技ダンス部で活動する傍ら、エンジェル投資家・瀧本哲史氏のゼミで投資分析を実践した経験を活かし、デジタルメディアのこれからを分析している。

身長は192cm。好きな女性のタイプは「変な人」。

 

<大熊さんのブログ>

『くまりんのビッグベア・ウォッチ』 http://qumaruin.blog.jp/

 

「本当の」自分のやりたいことって?


最初から、ジャーナリズムに興味があったのですか。

小さい頃から興味がありましたが、進路として意識したのはかなり最近です。

大学入学当初は、ジャーナリズムよりもビジネスやITに興味を持っていて、投資家の瀧本哲史さんが主宰するゼミに入り、投資分析などを勉強していました。

就職活動でもなんとなくIT系の企業にインターンシップすることが多くて、そっちの方面に進むのかなと漠然と考えていました。

だけど、どこかに違和感を抱いていたんですね。

周りのノリに流されていただけじゃないのか。

「本当に」自分のやりたいことは違うのではないのか。

 

そこで、まさしく就活の“自己分析”みたいに自分の原体験ってなんだろうって考えながら過ごしてみると、

自分の20余年の人生で一貫して興味があるのは「何が世の中を変えていくのか」ということで、そしてそれを自分の言葉で表現していくのが得意なのだと気が付いたんです。

 

例えば、中学や高校の時は、「世の中を動かすのは政治だ!」と思っていて、私学への助成金を削減する自治体の動きに反対する学生団体の活動をしていました。(※大熊さんは私立高校に通っていた。)

その後、IT系に興味が移ったのは、勉強するうちに、政治よりも「ITの進歩」が世の中を変えているんじゃないかと思ったからです。

だから、IT企業で働くよりも、世の中を変え続けるITの姿を伝える立場(マスメディア)の方が好きなんですよね。

 

そこで、今まで勉強してきた投資分析という枠組みで、新聞業界とか出版業界を見てみると、まさしくIT化の煽りを受けて右肩下がりになっていました。しかし、ワシントン・ポスト紙がアマゾンに買収された例からわかるように、マスコミ業界は最先端のIT企業が進出を目論む一番ホットな分野であることも見えてきて、とてもわくわくしました。

 

その思いが、最終的に「取材留学」に繋がりました。

今考えている自分なりのジャーナリズムの将来ビジョンの仮説を、アメリカでメディアの地殻変動をこの肌で感じることで、より説得力の強いものにしたいと思います。

 

「取材留学」とは聞きなれない言葉ですが、アメリカに行って何をするんですか?

僕自身のブログ(http://qumaruin.blog.jp/archives/4730746.html)でも述べさせていただきましたが、ジャーナリズムの先進国・アメリカに行って、新興メディア企業や、伝統的大手メディアのデジタル部門など、様々な現地のジャーナリズム機関を訪問し、「デジタル時代のジャーナリズムにどういうビジョンを持っているのか」という質問をぶつけていく予定です。可能な限り、実際にその現場でインターンシップに挑戦し、内情を知りたいと考えています。いまは拙い英文メールで(笑)必死にアポイントをとっているところですが、意外にも多くの企業から良い返事をいただいています。

 

なぜ現地へ?

メディアの有り様が変化していく姿を、この肌で実感したいんです。確かに、ネットでもある程度の情報は得られるかもしれないけれども、生で見ることで、新興メディアの当事者たちの考えの深さや想いの熱さを直接知ることができる。それに、アメリカのデジタル・ジャーナリズムの最前線を現地から伝える日本人って、意外とほとんどいないんです。

需要は確かにあるのにそれに対して供給が少ない。そして自分にはできる。この3条件がそろっているから、とても価値のあることだと考えています。

 

その「取材留学」に行く前の修行として、ブログを書いているのですか。

その通りです。

取材留学をしたいでも未熟だから出国前に日本のジャーナリストとお話をして勉強したいその話をブログという形で他の人も読んでくれたら面白いのではないか

という順番ですね。

 

ブログ記事1発目が、日本を代表するITジャーナリストの佐々木俊尚氏でした。

当初は、取材留学のために単純にお話を聞くだけのつもりでしたが、話が盛り上がり、ブログを作ってこれを記事にしたら面白いのではないかと提案したところ、佐々木さんからも同意が得られたので、ブログを開設した、という経緯です。

 

学生という身分を有効活用する

佐々木さんには、どのようにアポを取ったのですか?

普通に、公開されているメールアドレス宛てに「相談をさせてください」と連絡しました。

学生は良い意味で社会人にナメてもらえる。 会社員だと「○○なメリットがあって○○円お支払いします。」って交渉しないと、物事を進めるのは難しいけれど、「学生です。ジャーナリズムに興味があります!」といえば、興味を持ってもらえる可能性がある。

とにかく実際にまずは熱意をぶつけてみることです。当然失敗もたくさんしますが、その中でいろんなテクニックも学べます。

 

行動的ですねえ・・・

津田大介さんの場合も、メールでお願いしました。

今後、他の取材したい方々で連絡がつかない場合は、講演会や講義に足を運んで、それの終わり際に直撃アポイントメントをすることも考えています。

↑Twitterでも有名なジャーナリスト津田大介さん()との一枚。

 

「取材留学」の準備として、日本人ジャーナリストから話を聞く他にも、英語の習得が必要だと思います。

今流行りのSkype英会話をやったり、僕の住む国際寮の留学生と会話をしたりして、ある程度の会話はできますが、ビジネスや議論をこなす水準にはまだ達していません。 

しかし、目標が定まってから勉強しやすくなりました。

ジャーナリズムの関連用語を重点的におさえよう、○○の話題に対応できるように○○の表現を使えるようにしよう、とか。

 

純ジャパ(帰国子女でもハーフでもない)が、何も目標なしに、「TOEIC900目指そう!」って漠然と勉強しても大変ですから、何か将来の明確な目標を掲げると、学習も捗るのではないでしょうか。

 

「取材留学」から帰ってきてからが最も重要だとお考えですが、どのような将来の展望を描いていますか。

自分の体験をより多くの人に伝えることで、「大熊っていう大学生が行けるなら、自分も海外に行って日本のジャーナリズムを変える答えを探しに行く!」って人が増えたり、僕の留学記を読んでくれたメディア関係者が僕に声をかけて下さって、彼らのノウハウと僕の経験を融合した真新しいメディアがスタートしたりしたら、とても面白いですね。

 

将来の進路の選択肢としては、経済誌の記者や編集者を考えています。

投資対象としてビジネスを調べるのが好きだという特技を活かせる場ですし、そこで思う存分に世の中の流れを追いたいです。もし必要とあらば、自分で興すのも手ですが。

 

「やりたいこと」を見つける方法

自分の軸を見つけて、行動しているのが、うらやましいです。

僕なんて「自分のやりたいこと」すら分からないですよ・・・どうしましょう。

自分の軸を見つけるのって、難しいですよね。

大学でやりたいことを探そうとしたら、それを支援するサークルや予備校、大学のプログラム等は見つけられると思います。でも、結局それらは”方法論”にすぎない。キッカケだけがたくさん与えられる状況です。

例えば、イノベーションを学ぶ授業があっても、イノベーションはあくまで手段でしかない。

「今まで変革が少なかったジャーナリズムにイノベーションを起こしたい」などの想いが先に存在して初めて、その講義をとても有益に受けることができると思います。

 

僕なりの答えとしては、

1、方法論を学ぶところで満足しない

2、常に自分の原体験を振り返る

かな。

僕自身、この答えに至るまで、色んなこと(IT業界へのインターンなど)をしました。

だから、やっぱり何かしら動き回って模索するのも大事なのかもしれないと思います。

 

就活の自己分析っぽくなってしまいますが、誰でも軸は何か持ってるはずだし、それは原体験に由来していることが多いと思う。そんな極端な体験でなくとも、昔なにかしていたことが今に繋がっているのではないか、と常に意識しながら模索すると、いつか「やりたいこと」というのが得られるのではないかなと思います。

 

ただ漠然と意識の高いことをやっているだけでは、「本当に」その人の満たしたいことは、満たされない気はします。

↑大熊さん(右)は、東大競技ダンス部でも精力的に活動している。

 

ニュースのファストフード化を食い止められるか

大熊さんがいま、個人的に注目しているウェブメディアは何ですか

Narratively (http://narrative.ly/ )ですね。webメディアなのに、長文の調査報道がメインだし、更新頻度もゆっくり。資金調達形式はクラウドファウンディング。異例づくしの革新的な取り組みをしていると言えます。

最近のwebメディアは、バイラルメディア※が全盛で、読者に早く短く簡潔に情報を摂取させるようなものが多いです。

そのような潮流の中で、Narrativelyが成功するかどうかが、今後の世界のオンラインジャーナリズムの方向性を変える可能性を秘めていると思います。

1歩深く踏み込んだニュースっていうのは、万人にはウケないけれど、必要としている人は確かに存在しますから。

このへんのお話は、僕が佐々木俊尚さんと対談しています。

(http://qumaruin.blog.jp/archives/4622088.html)

※バイラルメディア・・・2014年にアメリカを中心に急成長を遂げているウェブメディアのジャンル。動画や画像でニュースを伝え、twitterfacebookでの拡散を狙ったサイト。

日本では、家入一真氏らが立ち上げた「dropout」等がある。

 

これからもご活躍を期待しています!本日はありがとうございました!

ありがとうございます。僕は、まだ何もかも始めたばかりの素人です。

これから知識と取材力をつけていって、後悔しない取材留学にしたいと思います。

【執筆:吉田健一 協力:中村勇斗】