山口さん

山口涼
滋賀県大津市出身。
名古屋大学工学部機械航空工学科所属。
TEDxNagoyaU Co-Founder&Organizer。

 

TEDx
TEDの精神である
「ideas worth spreading」 のもとに世界各地で発足しているコミュニティー。

TEDxのイベントは各地のスピーカーによる講演と
TEDTalksのビデオの上映によって構成。

参加者が個々にディスカッションを通してアイデアを共有し、
横のつながりを広げていく場でもあり、
世界中の都市でTEDxイベントが実施されている。

 

 

TEDxをやりたいと思ったのは大学2年生の2012年9月でした。

でも、名古屋でやるには話が大きすぎると考えて、一端保留に。

そんなとき、大学のある職員さんから
この後TEDxNagoyaUにも関わることになる友人を通して、

「ちょっとやらないか」と話を頂いたんですね。

 

「じゃあやりましょう」となったのが2012年12月。

 

まずTEDxUTokyo(東京大学:現在はTEDxTodaiとして開催)という
日本で初めて大学生としてTEDxを立ち上げた方に話を聞きにいきました。

そこでライセンスやルール、開催までの流れの話を聞かせてもらって、
2月にライセンスをアメリカの本部に申請したんですが全然返信が返ってこなかった。

 

結果的にライセンスがとれたのが5月中旬。

その間にいろんなことも進めていて、もともと7月に開催する予定でしたが、
5月の時点でライセンスが下りてなかったので諦め、11月24日に開催することになりました。

ライセンスを申請している間にも、
運営メンバーを集めて、スピーカーの候補や協賛先を考えて。

 

メンバーが分担して他のTEDxに観客やボランティアとして参加することで、
当日のイメージを膨らませていきました。

 

 

流れを聞くと非常にスムーズに聞こえる。
しかし、そこには彼が培ってきた繋がりがあった。

 

TEDxに取り組む前、大学祭の実行委員をしていました。

実はTEDxで、僕と大学の間で話を通してくれた子も
大学祭実行委員時代の仲間でした。

 

彼から「TEDxやらない?」って相談が僕に来たんですよ。

ちょうどそのとき、僕が学生団体をしていたこともあって、声をかけてきてくれて。

 

 学祭においてもいくつもの経験をされたと言う。

学祭では2年生のときに模擬店の統括をしていました。
ただ、3年生までできるのですが、僕は2年生で辞めましたね。

というのは、大学のイベントで歴史がある分、閉鎖的で、
まずは今までのことを続けてやっていくっていう空気に物足りなさを感じたからです。

変えたいなと思う部分があって、変えるための努力をしても、
大学から提示されているルールに阻まれてどうにもならないところが多くて。

だから、自分がそこにいる意味を見いだせなかった。

 

そこで、一歩出て、自分でやってみようと。

 

そこで山口さんが始めたのがインタビュー団体だった。

 

2年生の5月から考え始めて、6月の学祭が終わった瞬間に、
一気にスタートを切りました。

自分が知らない魅力的な人がたくさんいるんじゃないかと思って、
その人たちに話を聞きたいと思ったんですね。

 そして、僕のような知らない人たちにその魅力を知ってもらうために
インタビューをして記事として発信するという形を選択しました。

 

1年ほど続けて、彼はTED×NagoyaUに実行委員長として関わるようになる

 

約1年間でいろんな人の話を聞きました。

それと同時に、『記事にして発信する』ということの重要度が
自分の中で下がっていきました。

それが2013年の2月、3月ぐらい。
もうTEDxは立ち上がって、始まっていましたね。

 

切り替えたタイミングになったTEDxNagoyaU
しかし、彼は「最初から最後まで上手くいかなかった」と話す。

 

まずライセンスを取るということは苦労しました。

 また、名古屋大学、特に僕が所属している理系では当然研究活動が第一ですから、そこでTEDxを開催することは難しかったですね。

TEDxは一般的に行われる学会とは違って特定の分野に的を絞って話をする場所ではありません。

そんなイベントに対して、教授の方々からは
「課題を設定せずにやってなにが生まれるの?」と言われたこともありました。

 

「分野を特定しないからこそ、普段は交わることのないアイデアが交わる場になるかもしれない、そこにやる価値がある」というスタンスの僕たちが学校を巻き込んでいくのは難しかったですね。

 

それでも助けられた部分もあったと言う。

今回、物事が進んでいくきっかけとなったのは、総長で、彼は寛容な人でした。

「じゃあやってみな」っていう感覚で押し出してくれたので、助けられたと感じています。

 

そんな彼は名古屋でやるという意味を彼はどう捉えていたのだろう。
その理由は2つあると言う。

 

1つは自分が名大生だったから。
違う大学に通っていたらそこでやっていたかもしれないですね。

 

もう1つは、僕が滋賀県出身で、地方から入ってきたところがきっかけ。

名古屋は経済的にも発展していて、日本でも大都市と呼ばれるにも関わらず、
情報が入ってくるのが遅い。

情報が東京に入ってきたら首都圏で広まって、
大阪・京都っていう関西圏で広まっていくのに名古屋では広まっていかない。
名古屋が飛ばされているところに違和感を感じていたんですね。

 

僕がTEDxをやりたいと思った時点で名古屋はやってなかったし、
結果的にTEDxMeieki(2013年9月7日開催)が先にやったけど、
名大でやってみたら面白いなっていう想いはありました。

 

 

名古屋にないものをしたかったと語る山口さん。
そこには彼自身の想いも表れている。

 

僕は面白いなって思ったことに対して、のめりこんでいく。

新しさ、どれだけ人を巻き込めるかっていうところに尽きます。

 

そういう意味で、TEDxを名古屋でやって、
名古屋になかった新しい面白さを持ち込んでくるというのは面白いなと。

 

 

面白いことに全力。

 

安定すると飽きちゃうタイプで。

新しいことをやるときには難しいことの方が多いと思うけど、
難しいことがあるうちはそこに夢中でいられる。

ただ、安定してきて「去年のようにやればいいよ」っていう感じになると飽きる。

だから、新しいことは頑張れるし、情熱を燃やせる部分かなと感じてます。

 

 

彼の軸にあるのは面白いこと。
しかし、取り組むひとつひとつは綿密に進めていく。

 

決断は早いです。
やるかやらないか迷ってるときってやらない理由を探していることが多い。

そのやらない時間がすごく無駄に感じる。
だから考えてからやるまでの時間はすごい短い。

時間は無限じゃないし、大学生活は4年しかない。でも、面白いことは溢れている。

だからこそ、選択しないといけない。
そのときに、スピードを持って考えなければいけない。

 

 

そんな彼は理系だ。
勉強と活動の両立となれば大変だったのではないだろうか。

 

学生団体や課外活動をしてるから単位が取れない、成績が悪いっていう人もたまに聞く。

でも、自分のなかでそれは言い訳にしたくなかった。

まず目の前の勉強をする。
だから勉強との両立がしんどかったっていう思いはないかな。

 

そこには感謝と意志が隠されていた。

 

まずは、親が学費を払ってくれてるということ。

 

そして東大で話を聞きにいったときに逢った彼が、
いろんな課外活動をしながら、趣味で論文も書いちゃう人だった。
その上成績も抜群。
これは本物やなって。

 

だから学生団体に入って、「みんな外に出ようよ」とか言うのはいいけど、
それを言いながら留年してたら説得力がない。だから最低限のことはやらないといけない。

 

 

それは彼の意識にも結びつく。

 

僕は学生団体っていう意識を持ちたくなかったし、

学生を言い訳にして欲しくないと思っていたから、仲間にはその点で話もしてきた。

 

例えば、企業訪問に行くときも、ちょっとした気遣いが大切。

当日中のお礼の挨拶、迅速な返信、事後フォローの訪問。

社会人なら必須だけど、学生だとできてない団体もあるんじゃないかと思う。

 

丁寧なひとつひとつの対応が後に続いていく繋がりに結びつくと捉えています。

 

それはTED×NagoyaUの演出の細部にも表れている。

 

今回、特にこだわったのはどのようにしてTEDx独特のプレミア感を出すかでした。

TEDxのイメージカラーでもある赤や黒の絨毯を敷く、招待状を1人1人に郵送する。

僕たちの本気が伝わるように細かく細かく雰囲気作りを凝らしていきました。

 

「何事も戦略的に進めていくのが重要なんです」と話す山口さん。

招待状の郵送を例に話をしてくれた。

 

TEDxNagoyaUの参加者には、事前にチケットと招待状を郵送しました。

 

あえて郵送という方法を選んだ背景には、

「プレミア感」を出すため以外にもう一つ理由があった。

 

もし、誰かが郵送で送られてきた封筒や招待状の写真をSNSに掲載すれば、

それがTEDxNagoyaUの宣伝に繋がる。

 

自分たちからばかり発信するのではなく、参加者も発信しやすくなる仕組み、

流れを作ることで少しかもしれないが僕らからの広報じゃ届かないところにも広報をできる。

あくまで一例ですが、

あらゆる決定に対して理由や戦略を持たせるという部分は意識しましたね。

 

山口さん1

自分のやりたい、面白いに正直に。

 

 

しかし、そこには責任と綿密な気配りが兼ね備えられている。

 

目の前のひとつひとつに全力を費やすその姿が、

人を巻き込み、想いを動かし、ムーブメントを起こす。

 

 

 

「面白い」に取り組み続ける彼の歩みは止まらない。

 

【文章&写真1枚目:江口 春斗】

【写真2枚目:小畑 弘介 】