タイトル

 

 

 

「母校のキャリア支援をしてくれている先輩がいる」
そう耳にしたのは、二ヶ月近く前のことでした。

 そうして出逢ったのは、高校時代のバスケ部の先輩。

その背中は一回りも二回りも大きくなっていました。

 夢に向かって、
たった独りでも突っ走っていけるような。
そんなカッコよさはありません。

 なくても、いいんです。

 

 

【プロフィール】
立山 侑佐(たてやま ゆうすけ)
三重県津高校出身。大阪大学工学部応用理工学科4年生。4月からは大阪大学工学研究科ビジネスエンジニアリングを専攻。出身高校のキャリア支援活動団体「ConnecTSU」を発足しました。現在は本分である研究活動に専念しています。

 

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先輩、おひさしぶりです。

 
−−おひさしぶりです。いやあビックリしました。お元気でしたか?

げんきげんき(笑)
ほんとひさしぶりやな。なんでまた急に俺にインタビューなん?

−−「母校のキャリア支援してる人がいる」って聞いたら、なんと代表が立山くんだったんで。そりゃもう話を聞いてみやんとあかんやろと思いまして(笑)

なるほどなー(笑)
あんま大したこと出来てないけどなー。

−−いやいや「母校のために何かしてくれている人がいる」ってだけで嬉しかったですよ!
実際にどんなことをしてきたのか知りたいです!

「高校生と大学生を繋げたいなあ」っていうことを思って「ConnecTSU」っていう団体を友人と立ち上げました。そのキッカケは一昨年の同窓会で友人と話したことがキッカケ。その中で一番チカラを入れたのは文理選択のイベントやな。

地方の進学校で指導されるキャリア観ってすごい狭いよね。親とか教師とかの狭いコミュニティの中で「正解」とされているようなキャリア観があって。「有名大学行って、大企業入って」みたいな。

別にそれが悪いってわけじゃないんやけど、多分今の俺らがいる時代に即してないっていうか。しかもその中で無理やり夢とか目標を設定しようとして、苦しんでる高校生がすごくいっぱいいるやんか。

−−僕自身そうだった憶えがあります。選択肢そのものが極端に少ないんですよね。

そう!

で、その選択肢とか実態を伝えてあげられるのって俺ら大学生やと思うんさ。大学入ってからのギャップとか就活とかでいっぱい悩んだ人もいるしね。

だからFacebookを中心に津高校のOBに呼びかけて。そうやって動きだしたのが始まりでした。
まあ実際は、「津高に恩返ししたい」ってのが一番大きかったんやけど(笑)

−−なるほど。ConnecTSUの活動通じて、立山くん自身は高校生にどんなことを伝えようとしたんですか?

やっぱりさ、地方公立進学校のガイダンスとかって“成功者”の話ばっかりなんよね。「ひたすら勉強頑張って難関大受かった人」の話を聞いても「すごいな」とは思っても「なんかちゃうな」って違和感を持つ人もいるやん。そんな人に「大学入ってから別の大学に編入した」とか「今ほんとにやりたいことのために専門学校行く」とかのイメージを抱かせてあげたかったから。

「道は一本じゃないよ」「道はまっすぐじゃなくていいよ」って。

 

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大学生活は、いかがでしたか?

 
−−立山くん、高校時代からそんなにいっぱい考えてたんですか?

んなわけないやん(笑)

むしろ「一本道」タイプやったわ。大学選びも「とりあえず関西の有名大学!」みたいな。ほとんど何も考えずにプライドとイメージと妥当さで選んじゃってた。で、目標決めてからはひたすら勉強勉強!って感じ。

−−なら大学でいろいろあったんですね。

せやなあ。一回生のときに入った環境サークルで過ごした時間が一番大きかったと思う。複数のメンバーで、頭を使って一つのことに取り組むことの面白さを知った。

それ以降、俺工学部の勉強そっちのけで、結構いろんなイベントとか交流会とかに参加するようになっちゃって(笑)

社会問題とか国際問題について考えるサークルとか、リーダーシップ合宿とかの、面白そうなこと、興味を持てるようなことに身を投じてきた。

そんな風に大学生活過ごしているうちに、「なんで俺こんなに考えなしに、ここまで来ちゃったんやろ?」って壁にぶつかったんよね。自分のキャリアを見直す時期が来たって感じ。

−−なるほど。何が大きく変わりましたか?

そもそもキャリア観って、大きく分けて2つあると思っていて。夢や目標掲げてまっすぐグイグイ進んでいくのと、目の前のこと一つ一つを一生懸命頑張りながらなんとなく進みたい方向にピボットして進むのと。

で、自分の人生振り返ったり、他の人の話を聞いたりしながら、後者のほうが妥当だな、って思った。「今の自分」を作ってるのは後者のように思う。

目の前にある、好きなこと、興味のあることに本気で打ち込んだ日々が今の自分を作ってる。結果的にこれから進みたい方向に向かうための糧になってくれていると思う。

 

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てか、僕、立山くんのことあんまよく知らないんですよね。

 
−−ここまでの話聞いてる限りやと、1人でなんでもできちゃうんかなーって思っちゃうんですけど。それが高校時代の立山くんのイメージと違うんすよね(笑)

その通りやけど、なんか後輩のお前に言われるとムカつくな(笑)
まあ、ぶっちゃけ1人では俺、なんにもできやんと思ってるからなー。
自分のことひとりで追い込んでいくのとか苦手やし。

−−やっぱりそうなんですか?

そやで。「浪人時代が辛かった」ってよく聞くけど、俺さ、実は結構楽しかったんよね。同じ空間の中に共通の、でもそれぞれの目標を持った友人がいて。その友人たちと支えあいながら、一緒に勉強するのが。あいつらおらんかったら多分潰れてたなー。

環境サークルで取り組んだ屋上緑化のプロジェクトも最初は副班長の立場でリーダーを支える立場だったし、ConnecTSUももう一人の代表はじめメンバーのみんながおらんかったら実現しなかったと思う。

大学入ってからみんなを引っ張る立場になることも増えたけど、背中を見せて突っ走るというよりみんなを見守って支えることが俺には向いてるのかな、って。

俺にとって大事なのはいつも、隣でワクワクを共有しあえる仲間やねん。誰かと肩を組んでいたいし、しんどそうなリーダーがいたら肩を貸してあげたい。

誰かが隣にいてくれること、その人と一緒にワクワクを共有すること。それがモチベーションです。俺ひとりは、弱いよ。

 

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これから、どうするんですか?

 
−−立山くんがこれからどんなことに取り組んでいくのか、今になって興味が湧いてきました。

今まで湧いてなかったんかよ(笑)

まずは、自分の専門分野として「医療工学」っていうのを身につけようと思ってます。専門的な力がないと、誰かと協力するときに大きなパワーって生まれへんやんか。

と同時に、阪大の院生に向けたプログラムに参加しようと思ってる。文理の枠や研究者と事業家の枠を超えたリーダーを養成していくプログラム。色んな学問領域を仲間と一緒に組み合わせて、世の中を引っ張っていけるような力を付けようと。

−−それはなんでまた?

Mr.Childrenの『彩り』って曲知ってる?「僕のした単純作業が この世界を回り回って まだ見たことのない誰かの笑い声をつくっていく」っていう。あの曲めっちゃ好きでさ。

やっぱり俺はさ、誰かの力になっていたいんよね。自分の手で作ったものとか、工夫したもので色んな人を笑顔にしたい。医療工学に携わるのは今まで「笑顔」にすることが難しかった人のために何かしたいからだと思う。

それと同時に目の前の仲間の支えでもありたい。頑張ってる人の隣で自分の出来る事をしたい。

リーダーやってきた人間にしか、本当の意味で、誰かの支えになれないと思うから。
目の前の仲間を支えながら、世の中の人を笑顔にしていきたいなあ。

 

 

 

 

 

みんながみんな、夢や目標に向かって、
たった独りで走れるわけじゃないんですよね。

 僕らは、弱いです。 

だから、
目の前の誰かのために、頑張る。
隣の仲間を、支える。
その先に誰かの笑顔がある。 

カッコつけずにそう笑う立山くんは、
ちょっと憧れちゃうほど、魅力的でした。

 

 

 

【文・写真:藤本賢慈】