カホンとは、ペルーの港町で生まれた箱状の打楽器である。

叩く場所によって、スネアドラムやバスドラムやタムタムスに似た音を使い分ける事が出来、

最近ではドラムの代用品として利用される事も多くなった。

今では、→Pia-no-jaC←も利用し、サブの楽器として多くのドラマーやパーカショニストが

利用している。

 

 

今では世界中から発注が来るカホン(打楽器)職人である青沼さんは、元々「まちの電気屋さん」だった。

ある出会いを通して日本ではまだ浸透していないカホン職人への道を開くと、

気が付けば世界中から発注の依頼が来る、世界的メーカーとなっていた。

インタビュアーの僕も、中学生の頃から彼が作る楽器で演奏を続けてきた。

彼がカホンを作り続ける、その原動力に迫りたい。

 

 

 まちの電気屋さんが世界的楽器メーカーに転身

(世界中から製作・修理依頼のメールが届く。)

 

 

—–中学生1年の頃からArcoカホンを愛用させて頂いています。一番自分が演奏していて楽しいメーカーは勿論Arcoカホンです。これからも愛用させて頂くので、宜しくお願い致します。(笑)さて、何故カホンを作り始めたのですか?

 

昔、音響屋さんとまちの電気屋さんを営業していて、電気屋さんの仕事は好きだったんですけど、正直な話、経営が火の車でした。そんな時に音響の仕事をしていたら、とあるアーティストが四角い箱状の楽器を持って来てるんですよ。その楽器で演奏を始めたら、「こんな小さい箱が、なんて迫力があって様々な音を繰り出せるんだ!」と感動しちゃって、それがカホンとの出会いですね。

 

—–その後、電気屋さんを辞めて、カホン作りを自分の仕事にするってかなりの転機ですよね

 

そうだよね(笑)。元々僕はギター奏者で、カホンを作るのは面白くて、作るのは苦じゃなかったけど、多く作りすぎて収納スペースがないという問題に直面しました。すると、うちの妻が、「お父さんは演奏しないんだから、売っちゃったらどう?」って言い始めて、それがきっかけで売り始めたんだけど、結構な葛藤がありました。

 

—–葛藤ですか・・?

 

作るのは面白いし、作れば作るほど、楽器に自分の思いが吹き込まれるよね。そして、自分の欲求としては、「良い音が出る物をどんどん作りたい。」けど、販売するとなると、買う人の満足も保障しないといけないから、そこに責任を感じていました。もちろん、今も開業しているけど、「自分が満足するものを作りたい」という欲望と「売る人間としての責任」との葛藤は常に同時進行しています。でも、幸い商売になったんです。

 

—–それから海外から注文が来るくらいの世界的な楽器メーカーになりましたけど、何故その成功が収める事が出来たと感じましたか?

 

今考えれば、時期のお蔭だと思うなぁ。始めたのが14年前で、その当時、カホンって言葉をインターネットで検索すると4000件程度しかなかったんだよね。そのうちの8割か9割は、「スピー『カーホン』」か「ポ『カホン』タス」で(笑)そういう時期だったから、「カホン」という楽器をアップロードして売り出すって冒険だったんだよね。けど、→Pia-no-jaC←さんとかで有名になったお蔭で、ぼちぼちです。(笑)

 

 

青沼カホンの魅力

 

(工房が宮城県石巻市に有る事もあり、販売されている「震災復興カホン」。瓦礫の中にあった杉の間伐材をカホ二ストの全体重を支える大黒柱に利用している。)

 

—–Arcoカホンはスナッピー(スネアドラムの音が出る部分)のクリアな音と、バス(低音)の力強さが好きで愛用させて頂いています。カホン製作者から見たArcoカホンの良さってなんですか?

 

えー(笑)難しいな・・。 僕がいつもカホンを作ってて思うのは、プロが使ってもアマチュアが使っても、変わらない、良い音が出るカホンを作りたいって事かな。その使い心地の良さのバランスをいつも考えています。打楽器って不思議なもんで、例えばドラムとかプロが叩けば、一気にアマチュアとは違う音が出るんだよね。もう。ぜんっぜん違う。コンガとかボンゴも同じ。初心者がパカパカ叩けば音は出るけど、プロが叩けば、「本当に同じ楽器か!?」ってくらいに音が違う。でも、僕は、ある程度叩き方を知ってればプロアマ関係なしに、良い音が出る楽器を作りたいんだよね。

 

—–アマチュアのカホニストも増えているので、音がプロと変わらない事は一カホニストとして嬉しいです。青沼さんはカホンの制作のみならず、カホンを広めるワークショップも広く行われていますが、そこで気づいたカホンの魅力を教えてください。

 

ドラムセットの代わりになって、ストリートで演奏する時に面倒臭くないって事も第一にあるけど、第二にワークショップをやってて気づいたんだけど、ワークショップの参加者って西村君のような真面目な演奏家じゃなくて、楽器に触ったことのないような、本当に見るのも触るのも初めてって人が多くて、実際にワークショップで合奏なんかしてみると、演奏するハードルが低くて「僕でもできるんだ!」って思う事が出来るのがカホンの魅力だと思うんだよね。例えば、ギターなんて、バイオリンから見たら簡単そうに見えるけど、チューニングの問題もあるし、コードや指使いも演奏する上で最低限出来ないといけない事は沢山ある。けど、カホンはそういった物が一切存在しないよね。

 

—–僕も、小学校の時にカホンを見た瞬間に「これならいける」って思いました(笑)。カホニスト、パーカショニストを7年程続けて奥深さを感じましたけど。

 

確かにプロや、専門的な演奏家に言わせれば「奥深い」ってのは確かなんだけど、楽器を楽しんだり、演奏したりする部分で見れば、演奏するハードルが低い事がカホンの本当の魅力だよね。

 

—–これからカホンを扱う演奏家、今カホンを演奏している演奏家に向けて、カホン職人からの一言を頂けませんか。

 

今、アマチュアでもキック奏法(足を使って低音部を鳴らす奏法。プロが多く用い、難しい)を行う人がいるけど、足は手の何百倍もの力があるわけで、いくら強度のあるカホンでも、カホンが痛まないと言えば嘘になります。だから、手でやっていただきたいです。勿論、表現で利用したいって気持ちも分かるんですけどね(笑)

 

—–キック奏法でカホン数個壊しました(笑)

 

西村君の足の力はホント強いから大事にしてください(笑)。カホンが痛むから、作る人としては若干複雑な気持ちがあるんだよね。

 

 

職人「青沼義郎」