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国際保健に興味を持ち、活動を行い、

今は、大阪の釜ヶ崎に関わっている向原千夏さん。

    

彼女はどこに行っても、

柔らかく、人と空間を結びつけてくれます。

 

向原千夏

三重大学医学部医学科4年生。音楽と人と旅が大好きなサックス吹き。
大学1年の夏にカンボジアへ一人旅、また実習でエチオピアへ。
医療系団体合同新歓Mie-medi!立ち上げに関わる。

大学4年の夏にフィリピンでの医療実習を企画、台風災害後には募金活動を行う。
1月より休学中。

 

大阪の釜ヶ崎という地域をご存知だろうか。

大阪の西成地区に存在する釜ヶ崎と呼ばれる地域では、
「ホームレス」と呼ばれる人々が路上生活を送っている。

また、生活保護を受けている人々が多く暮らしており、福祉の街でもある

 

釜ヶ崎との出逢い

 

ある看護師さんが、毎年釜ヶ崎でスタディツアーをされてて、
それに参加したのがきっかけ。 

その看護師さんは、全国的な国際保健医療に興味のある学生のためのメーリスに
「こういうスタディツアーをしますよ」っていう案内を流してくれて。

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発展途上国への国際協力団体で、活動を行ってきた向原さん。

そんな彼女が日本のある街のスタディツアーに参加する。

どんな想いがあったのだろう。

 

 

私はもともと国際保健、発展途上国での医療に興味があった。

 

でも、アフリカやカンボジアを訪れるなかで、ふと「自分の国のことを全然知らないな」って感じることも多くなってきて、自分の国のことを、自分の足元を、ちゃんと知らなあかんっていう想いが芽生え始めた。

 

そんなときに、東日本大震災が起こった。

 

東北で震災があったのに、
そこを見ないというのはなんか自分のなかでしっくりこなかった。

まるで病気の家族が隣で寝ているのに遠くの人を助けにいくような感覚を抱いて。

 

その足元から、自分というものを見つめなおしていかないといけないって思った。

ちょうど日本の貧困問題を考えていきたいなって思ってた時、
その内容のメールが来た。

 

自分の国を、そして自分自身を見つめなおすきっかけをもらったと話す向原さん。

さまざまな偶然をきっかけに彼女は現地で、実際に「街」に触れた。

 

そこで彼女が感じたこと。

 

 

とにかく葛藤した。

暗い街のイメージを持った貧困と言われる場所、そして野宿の人がたくさんいる。

本当に貧しい地域、怖い、暗い、そういうイメージがあった。

 

でも、実際行ってみたら明るいところもあって、
人との繋がりもあって、温かい街やなあって。

 

そこには貧しい人たちを支援しようっていう温かい人たち、
貧困問題に関心を向ける温かい人たちが集まっていて。

  

個性豊かな人々によって彩られる「釜ヶ崎」という街。

そんな街を彼女は「器の広い街」と表現する。

 

どんな人でも受け入れてくれる。けっして排除しない。

 

どんな障がいがあっても、
金銭的な事情があっても、受け入れてくれる器のある街。

  

そんな魅力的なまちで、学びたい、もうちょっと、この町にいたいって思った。

 

しかし、気づきや学びが多い土地だからこそ、

従来抱いていた想いと新たなに芽生えた想いの間で葛藤もあったと言う。

 

今までは困ってる人や地域を手助けしたいっていう感覚が大きかった。

 

だけど、何のためにボランティアするのか、
深く向き合えてなかったところがあって。

 

ボランティアが好きだからやってきたんやけど、本当にそれは良いことなのか。
ほんとうにその人のためになっているのか。 

こういうことを丁寧に考える時間が取れてなかったのかなって。

 

考える糧をもらえる街。

 

めちゃめちゃ歴史の深い町。

 

だからこそ、社会的弱者に対するものだけを見ていても
その町に対する全体図は見えてこない。

 

人間関係や価値観の違いというのはほんとうに深くて、日々学ばせていただいてる。

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関心はもともと文系の方にあったと話す。

 

自ら望んで努力して医学の道に来たけど、
他のことも学びたいっていう未練というか欲望があって。

もっと、他の分野とか他の学問を知りたいと思った。

視野が狭くなってしまうことが嫌で、
広く見ておきたいっていう気持ちがあったから、
いろんなものを見て、
自分は医療の分野で一生懸命やろうってもう一回納得したかった。

 

 

視野を広げる理由は、将来に関係する。

 

人の健康っていろんなものが影響してると思うから。
将来、医療の分野で仕事をするために視野を広げておきたいっていうのはあった。

 

そんな彼女は1年生のときから活動的だったのだろうか。

 

興味を持ったものには1年生の時からがんがん取り組んできた。

受験がしんどかった分、それまでやりたくても我慢していたことが爆発した。

いろんな世界を知りたいというのが大きくて、
片手では数えられないぐらいいろんなことに取り組んだ。

 

その頃のモットーは、なんでもアンテナにひっかかったらやってみる。

やってみないと分からないから、
やる前に取捨選択せず、尻込みせずにまずは飛び込んでみる。

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その頃の自分を振り返る。

 

いつ死ぬか分からないから。

 

本当に今しかできないことを追い求めてた。明日死んでもいいように。

終末期医療への関心とも繋がってくるんだけど、

いつ死ぬか分からないからやりたいことやらないとって。

 

合わずに辞めたものもあれば、続いているのもある。

そうせずにはいられなかった。

 

そこには「医者」という職業に対する彼女の想いが表れている

 

医者という職業にこだわっていろんなことに取り組んだ。

人の気持ちの分かるお医者さんになりたいから。

 

人の気持ちを理解するためには、自分が、経験をしていないと理解できない。

完璧な共感は無理かもしれない。でも類似体験はできる。

だから、出来る限りの体験はすべてしたいっていう想いがあった。

 

 

たくさんの経験を得るためにアンテナを張り、さまざまなことに取り組んできた。

 

人と交わる中で、よく歩き、よく触れて、よく学んできたからこそ、

いろんな人にたくさんの気づきを頂いて、磨かれてきたと話す。

 

 

自己肯定感が低い方で、考えすぎてもがいたこともあったけど、

もがいているなかで、迷いはなくなってきたかな。
でも、それもいろんな人のおかげ。

 自分から生きようと思っていたのが、
人に生かされているなっていう感覚に変わってきた。

「自分で運命は変えられる」みたいな、
自分の選択次第で人生は切り開けるっていう想いだったけど、

それよりも人との出逢いやご縁のおかげで生きているって
思えるようになってから、楽になってきた。

 

 

そんな彼女は1月から1年の休学をする。

この1年をどのように過ごしていくのだろう。

 

丁寧に、生きていく。

 

海外から広い視野でものを見たいという想い、地元で学びたいっていう想い。

その2つで葛藤してる。 

 

だからこそ今は。

 

心の声を聴くときなのかなと思ってる。

一歩一歩、人との出会いを大切に、丁寧に生きていきたいな。

総じて今が楽しいと思えるように。そうすれば過去も肯定されていくと思うから。

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柔らかく、そして剛く。

 

彼女自身が、大切に、大切に時を刻んできたから。

 

 

彼女が寄り添う世界は素敵に見える。

 

 

それはきっとこれからも変わらず。

 

 

人と人を柔らかく、そして温かく繋いでいく。

 

 

向原千夏 
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【文章:江口春斗】

【写真:向原千夏】