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今、目の前に1枚の紙があります
あなたはどんな絵を描きますか? 

その絵は、紙を”はみ出して”いますか?

 

高校卒業後に渡米し
美大でも芸大でもない4年制大学でデザインを学んでいる

そんな彼が語る
飛び出さなければ分からなかった、日本とアメリカの大きな違い 

そして自分がありたいデザイナーの姿とは

 

三橋智樹
京都府うまれ。インターナショナルスクールを卒業後、デザインを学ぶべくアメリカのブラッドリー大学へ入学。現在はグラフィックデザイナーとしてアメリカで活動する傍ら、神戸大学広告研究会の活動に海外から参加して広告作成に関わっている。

 

 デザインを学ぼうと思った時に、日本は美大・芸大しか選択肢がないんです

『これを学びました!』と言えないのは、もったいない。

 

ーーアメリカの大学でデザインを学んでいるとのことですが、珍しいですよね。アメリカへ行った理由は何ですか?

僕はもともとインターナショナルスクールの出身なんです。僕のいた当時、インターナショナルスクールは日本で高校として認可されていなかったので、高校認定試験のために勉強しなくちゃいけなくて。

僕、それが嫌だったんです(笑)。一方でアメリカは論文くらいだったので、アメリカの大学に進学することを決めました。

それに大学でデザインを学ぼうと思った時に、日本は美大・芸大しか選択肢がないんですよね。僕の親としても、ビジネスも学んでほしいとのことだったので、美術専攻でも副専攻でマーケティングを学べるアメリカの大学を選びました。

 

ーーアメリカの大学は幅広く自分から選べるカリキュラムになっているんですね。

日本は大学進学の選択で文系理系に別れますが、アメリカではビジネスや物理など、学科で決めていくんです。だから「大学で何を勉強してた?」と聞かれたら、○○学だよと答えます。それが僕にとってはグラフィックデザインです。

日本では専門学校、院生、美大芸大しか○○を学んだと言わないですし、もったいないとは思いますね。とはいえ僕は今でも心配ですよ。美大や芸大の人とも違いますし、この先デザイナーになるとしても自信ないですし。

 

ーー日本の尺度で考えたら、美大や芸大生と比較して不安になってしまいますよね。

とはいえ僕はアメリカの大学に進学するという選択肢は間違っていなかったと思いますよ。今はこうして、デザインというやりたいことを見つけて勉強できていますし、経験を積んで、繫がりを作って仕事もらえていますから。

だけど、あの頃の僕が日本にいたら、周りに流されていたとは思いますね。アメリカは一個でも単位を落としたら留年するような、勉強せざるをえない環境ですから。

それに『アメリカの大学に行っている』って、インパクト強いですからね。たいしたことなくても(笑)。

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『大学もカメラの道でいこう!』と思っていたんです

熱中できるもののなかった僕は、デザインに出会いました。

 

ーーそもそも、どうしてデザインの道を志すようになったのですか?

大学進学のことも考えていた頃に、高校の卒業アルバムを自分たちで制作する機会があったんです。そこで初めてデザインに関わりました。もともとデザインに出会う前は『大学もカメラの道でいこう!』と思っていたのですが、まあ、親に猛反対されました(笑)。

初めてデザインに触れて、それがものすごく楽しくて。なんだか、ひらめいた瞬間がスッキリして好きなんです。おもしろいことを思いついた瞬間が、わくわくするんですよ。そうしてデザインへと切り替わっていきましたね。

 

ーーそれだけ、デザインに魅了されてしまったんですね。

僕はもともとスポーツ一筋の人間で、全ての優先順位がスポーツにあったのですが、今では完全にデザインにもっていかれてますね。デザインは今までの人生で、唯一続いているものなんです。

逃げなのかもしれませんが、僕にとってスポーツは、やればなんとかなってしまうものでした。スポーツに関して努力してこなかったですし、ある程度できたら満足してしまう。振り返ると、全てのスポーツがそうでしたね。

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相手が『当てはまる!』と思う、意味のあるおもしろいものを作りたい

日本の広告だったら考えないことを、アメリカで学んだから。

 

ーーともき君は4年生ですが、就職の方も決まっているんですか?

実はまだ就活を始めたばっかりで……そういえば就職できる歳なんですよね(笑)。

日本は12月1日に就活解禁がありますが、アメリカはそういう風習がなくて、就活のそわそわ感がないんですよ。「就活どう?」なんて話にならなくて、「今週飲む?」みたいなかんじですよ(笑)。まあ、みんな密かにやってるんだろうなとは思いますけどね。

日本が好きだから日本に帰ってきたい気持ちはあるのですが、とにかく就職先は広告の制作会社とは決めています。

 

ーー就活事情も違うんですね(笑)。デザインの中でも、広告業界を考えるようになったキッカケは何ですか?

広告を意識し始めたのは、神戸大学の広告研究会に関わり始めてからですね。それまでは何も考えずに、デザインが好きで学んでいたのですが、『勉強しているけど、これがやりたいのかなあ』といつも思っていたんですよね。

でもいざ広告制作に触れて、広告に惹かれていったのは、人のためになるからなんですよね。目的が自己表現ではなくて、誰かの問題解決のお手伝いができる。そういう”意味のあるもの”を作りたいんです。依頼者の想いと違うものを作っても意味は無いですし、相手が思っているものに『当てはまる!』というものを、意味の中でよりおもしろいものを作るのが楽しいですから。

 

ーー今もこうして広告依頼を受けているのも、”人のため”がモチベーションなんですね。

そうですね。ただ、広告研究会で伝えることに関わっているからこそ『伝えたい』と思いますが、本心からいうとまだ人のためにやっている気はしないんですよね。もちろん人のためにはやっているのですが、個人的な満足の方が大きい気がしています。

それは僕には常に、発想もおもしろいことを取り入れたいという想いがあるからなんだと思います。

 

ーーそれは何から影響を受けたのだと思いますか?

日本から出たことは大きかったですね。アメリカの看板と日本の看板は違うんですよ。日本の看板はもちろん設けられた枠に収まるのですが、アメリカの看板は枠からはみ出てるんですよ(笑)。看板をはみ出すことなんて、日本の広告だったら考えないことですよね。

それに大学の教授が『俺をおもしろいと思わせてみろ!』といってくる、普通のものを作らないデザインの授業があるような環境ですし(笑)。縦に開いたり、さいころのように組み立てるパンフレットを作ることもありました。

こうしてアメリカベースのデザインを学んでいるからこそ、今後に活かしていきたいですね。

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デザインの中でアートを見せたい、クリエイティブなものを創りたい

自分を我慢しない、誰かの想いを無視しない。ストーリーで見せていく。

 

ーーアメリカで学んできたからこそ、自己表現も取り入れたデザインを意識するのかもしれませんね。

そうですね、認められたい想いはあるんですよね。美大芸大生に勝てるかも分からないし、やり続けるしかない。自分に自信をつけたいんです。

トップデザイナーになりたくても、1番が見えない、終わりが見えないものなんです。だからこそ、いろんなものを見ていこうと思っています。はたから見れば僕は相当ストイックだと言われますが、これが普通だと思うんですよね。

 

ーー周りの方からも、ともき君はとてもストイックだとお聞きします。そのこだわりはどこからきているのですか?

自分の納得していないものを世の中に出したくないんですよ。納得するまで作り上げたいですし、世に出して恥ずかしくないと思えるくらいまで、せめて自分の中でも納得のいくものを作りたいですよね。

だから時間の許す限り最後までやり切りたいんです。やっていくうちにオンリーワンを見つけていけば良いですから。僕はどうしてか、デザインの作業だったら徹夜できますし。それこそ人のためになろうと思っているのかもしれませんね。

 

ーーやはり心のどこかでは、いつも人のためという想いがあるんですね。

デザインの中でアートを見せたい、クリエイティブなものを創りたい。それは、広告というものを知ってしまったからこそ、余計思うんでしょうね。そのモノが売れるというのは、商品が生まれた背景を知っているうえで消費者に届けなければいけない。

例えばイベントの広告制作だったら、チケットやパンフレットを見て行動をしているところまで想像できるか。そういったストーリー性を大切にして、創っていきたいですね。 

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デザインに答えはない、デザイナーにゴールはない

『好き』という想いだけでは貫けないと知っている
彼の強さを感じた 

それでも誰かの『!』を創りたい
だから彼は不安と戦いながら、ひたむきに向き合うのだ 

これからも彼は悩み、考えていく

そうして描き続けるのだろう 
ひとりでも多くの、心を動かすために

 

Facebook:Tomoki Mitsuhashi

HP:http://tomokimitsuhashi.com

【文・写真:三宅瑶