無題

入学式
ブランドスーツを身に纏った女子や、
髪を逆立てている男子の群れ。

そんな中、一人服装が全く違う人間を発見。

ブルーのダウンで防寒し、
ジーパンでスーツの人込みを闊歩する、
ショートヘアーの女の子。

そう、彼女こそが今回の主役、桝谷毬瑛だ。

 

私はその慣習に捉われない
彼女の姿に感動した。

入学して3年が過ぎ、
彼女はこれまた何事にも何者にも
捉われない大学生活を送っている。

大学一年生の夏に一か月、
大学二年生の秋から一年間、
インドネシアへ留学をした。

何故、インドネシア?
何故、英語ではなく、インドネシア語を勉強するの?
インドネシアの何に惹かれているのだろう。

今回は『インドネシア』を
キーワードに彼女の考え方や魅力に迫る。

 

谷 毬
甲南大学 マネジメント創造学部

高校では国際学校に通い、一年間イギリスへ留学。家族旅行や学校生活を通してグローバルに触れる。甲南大学マネジメント創造学部に入学後、大学一年生の夏に一か月、大学二年生の秋から一年間、インドネシア政府が提供する『ダルマシスワ』という留学プログラムに参加した。

 

ンドネシアとの出逢い

 

初めてインドネシアに行ったのは家族旅行!

 

幼稚園の時にバリ島に観光に行ってから、多いときは1年に3回、インドネシア行ってたんよ。

最初は治安のこととかわからなかったから、きれいなホテルに泊まって楽しんでたんやけど、うちの家族、そういうのが似合わんくて(笑)。お母さん、若いときバックパッカーで一年間インド放浪してたぐらいやもん。何回か行くうちに、バリの中でも好きな街を見つけていってん。

 

インドネシアってな、子供にとっては天国やねん!

 

日本では、公園ぐらいしか遊ぶところないけど、インドネシアでは、田んぼに入っても野原で寝転んでもいい。サッカーなんかどこででもできたもん。

 

人もめっちゃあったかいねん。

 

凧揚げしたいって言えば、「こういう凧がいいよ」って教えてくれて、糸張りを手伝ってくれたり、一緒に飛ばしてくれたりする。ほんまに、インドネシアには「楽しかった」って思い出がたくさんある。

 

子供の時の経験が「インドネシアが大好き!」って気持ちの原点やと思う。

『途上国の人を助けたい』んじゃなくて、『自分が楽しい』からインドネシアにいたいねん。

 

ンドネシアを熱望

 

とりあえずインドネシアの空気を嗅ぎたくて、大学1年生の夏に1か月インドネシアに行った!知り合いの仕事の手伝いって名目でね。

 

その人はインドネシアの北部でホテルを建設してんねんけど、北部って開発が進んでないド田舎やねん。知り合いが住んでいるのは南部だから、なかなか作業を見に行くことが出来なくて、インドネシア人が仕事をサボってないか心配してはったから「ちゃんと働いているか見張りをするので1か月住ませてください!」って申し出てん。

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もうその時は全部楽しかった!住むところは海に浮かぶヨットでも、シャワーの水は海水でも、トイレは海にしなあかんくても、全部楽しかった!

 

こんなふうに全てがプラスに思えることって今までなかったから、「これはほんまにインドネシアのことが好きやねんな」って気付いて、そしたら、これはもう何とかしてここに住みたい!って気持ちになってん。

 

ンドネシアへ移住?

 

その時、ちょうど家族ぐるみでお世話になっている人がインドネシアに住んでたから相談に行ったんよ。

 

「インドネシアに住みたいんです!インドネシアにいる時と日本にいる時の感情の高ぶりが全然違うくて、大学辞めようか悩んでいます。」って言うたら、その人に

 

「インドネシアと日本を同じ天秤で見ちゃいけないよ」って言われてん。

 

「日本は母国だから全てが普通だと思うのは当たり前。こっちは物価も安いし、観光の国だから日本と違って当たり前だよ。」って聞いて、ちょっと目が覚めた。

 

ンドネシアへ留学!

 

その時に薦めてもらったのが留学。

「インドネシア政府が行っている『ダルマシスワ』って留学プログラムがあるねんけど、それなら月2万円の奨学金がもらえるし、1年間インドネシアで生活できるから、いい機会だよ。」って教えてもらってん。

その人自身もそのプログラムに参加して、そのままインドネシアに住み続けてたから、自分もそこに参加してから決断しようと思ったんよ。

 

ンドネシアの親友

 

今までの人生で自分に『親友』はおらんかってん。

 

『何でも話せて、沈黙の時間が平気な人』っていうのがうちの『親友』の定義やねんけど、それまでは、仲良しな人はいても、その定義に合う人がいなかった。

でも、今回の留学では出逢ってん。

インドネシア人のAyuはその定義にぴったりはまってん!
Ayuといる時間が居心地良いし、楽しい気持ちでいれる。
「あぁ、これが親友か!」って気付いてん。

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真正面から喧嘩をすることもできてん。

 

Ayuはイスラム信者でうちは無宗教やねんけど、Ayuが「まりえがこっちの人と結婚したらイスラム教に入らなきゃね。」って言うてん。

その時、「なんでうちが相手にあわせなあかんねやろう」って思っちゃって喧嘩(笑)。

 

そういう場面では、割と引くタイプだったから、自分の意見を相手にぶつけることが出来たっていうのもやっぱり『親友』だからかなって思う。

 

今でもAyuとは朝から晩までラインしてる。
インドネシア語忘れるのが嫌やっていう理由もあるけど(笑)

 

ンドネシアの音

 

うちさ、インドネシア語を聞くと落ち着くんよね。

 

日本に帰ってきてから、無性にインドネシア語を聞きたくなって、YouTubeでインドネシア語の会話を聞いて心を落ち着かせてる(笑)。

一番、自分おかしいなって思うのは、イスラム教徒のモスクに巨大スピーカーがあって、そこからお祈りが1日3回鳴るねん。帰国してから、それが聞こえないことに違和感を感じちゃって、YouTubeで調べて聞いてた(笑)。

 

スマートフォンをインドネシアにたとえて話し出すまりえ。すいませんが、スマートフォンにしか見えませんでした。

スマートフォンをインドネシアにたとえて話し出すまりえ。すいませんが、スマートフォンにしか見えませんでした。

ンドネシアでの学び

 

身に着いたことは・・・何もしない時間の過ごし方かな。

 

ネットがほとんど繋がらなくて、YouTubeは20分待って3分しか見れないし、Facebookも更新されるのがすごく遅いし、とにかくネットで遊ばれへんねん!

日本ではつまらないと思ったら、ネットに逃げることができたけど、インドネシアでは逃げられないから、些細なことでも話すようになったんよね。そしたら口数が増えて、心を無にしてボーっとすることもできるようになった。

 

その時にさ、日本では『インプット生活』してたなって思ってん。

 

ネットが早くて、情報は探さなくても向こうから来てくれるやん。それってインプットしかないやんか。でも本当の意味でインプットできてなくて、探す時間が短縮されてるからアウトプットする時間はあるはずやのに、何も出来なくて心だけせかせかする。

 

インドネシアでは情報は探しに行かなきゃわからない。その生活って最初は怖いんだけど、だんだんと慣れてきて、むしろこういう生活の方がすごい効率的だった。

知りたい情報を得て、活かして、って繰り返しやもん。

私は日本みたいになんでも手に入る場所より、自分から手に入れる、舗装されていない道を歩く方が好きみたい。

 

NPO法人やボランティアの活動で
途上国に行く人はたくさんいるが、
「楽しいから、そこで生きたい。」
という女の子は非常に稀ではないだろうか。

どこでもいつでもなんでも分かる世界にはない
『楽しさ』を求める心が彼女を突き動かすのか。

それとも、
ほんとはインドネシア人の血が流れているのか・・・?

(文・写真 原優衣)