1484865_556542317765378_566353147_n

カメラマンの彼と、ライターの私
ツールは違えど、『伝えたい』という想いは同じだった 

出会って1年、お互いに走り抜けて

いつの間にか”クロ”は
立派なカメラマンになっていた

  

たくさん迷った、しんどいくらい叩かれた、人を信じられなかった…
そんな彼は、今、自信に満ちている

「自分の人生を、生きれるようになりました」

これが、今の黒髪祥です。

  

黒髪祥
福岡県うまれ。通称”クロ”。美学生図鑑、ミスキャンパス同志社2013、Pajacolleなど、関西、関東問わず学生カメラマン、写真家として活躍している。190センチの長身を活かし、自身もモデルとしてショーに出演するなどしている。現在は全国各地で写真展を開き、大阪にある太陽の塔にて学生で初めて展示も行った。

 

叩ききれないところまで行ってやろうと思いました

壁にぶち当たって、辞めようと思っても、戻ってこれるくらい覚悟を持っています。

 

関西に限らず関東でも知られる学生カメラマンの『クロ』
今年一年どんな変化があったのだろうか? 

 

自分がカメラに使われている状態だったので、まるっきり変わりましたね。写真を通して自分を表現するようになった。これが一番自分が変わった、自分の壁を壊した瞬間でした。

この1年、僕は意図して写真漬けの1年にしました。今月だけでも写真展を大阪で2本、東京で写真のイベントを1本開催していています。

『写真を見たらクロの写真って分かる!』と言われるのもその証拠だと思います。何か学生の間に極めたものも「写真です!」と胸を張って言えますね。

 

個人での活動が多くなり
周りの反応も時には辛いものがあったという

 

結構叩かれましたよ……(笑)。「クロ最近、調子に乗ってるよね。」ってめっちゃ言われてたみたいですし。でも、それも気にしていられないと思い始めました。

個人で写真展やったら当たってきたり、嫉妬というやつかなあと感じました……(笑)。人って、自分がブレブレだから叩く、自信がないから出る杭を打つんです。やー、醜い世界だなと思いました(笑)。

写真はカタチにしてなんぼなのに、そこに個性が出せなきゃ意味ないと思っています。ストーリーが無くたって、カメラに使われていたって、『カメラマンです』って誰でも名乗れちゃいますから。

 

「しんどかったですよ、ちょっとだけ。」
そう語る彼は、強い目をしていた

 

だからといって挫けたら相手の思うツボですし、叩ききれないところまで行ってやろうと思いました。太陽の塔での展示もしたのですが、それを成し遂げたのは学生初のことでしたし、結果としても残してきたと思います。それに、理解してくれる仲間もできましたから。

去年の自分ありきだからこそ、今こうして叩かれるんですけどね。自分のドライなところを使えるようになって強くなった気がします。

表現者って、同じような道を通るものだと思いました(笑)。迷走して、カベにぶち当たって、辞めようと思っても、結局こうして戻ってこれるくらい覚悟を持ってやっているんだなあ、って。

 1481167_556542347765375_2000232330_n

 

怖くて、Facebookに写真をあげられないんですよ

魅せることへの覚悟と想いを、詰め込んでいく。

 

『どう魅せてどう受け取ってもらえるか』
彼はそれを、遥かにこなしてきたという

 

僕と他のカメラマンの技術にめちゃくちゃ差があるわけではないですし、僕はすごく古いカメラでしかもフィルムで撮っているわけですから、そこで差が生まれているとは思いません。

だけどこの前、尊敬しているカメラマンさんにめちゃくちゃ褒めてもらえたんです。僕はその人の写真が好きで、本気でカメラを始めたというような存在だったので、評価されて本当に嬉しかったです。

うまいとか、きれいとかじゃなくて、『想いがあるね』って。それはセンスや技術より、相手に魅せることへの覚悟と想いからきているんだと思っています。

 

魅せることへの覚悟と想い
彼は、相当なこだわりを持って撮っている

 

だから最近Facebookに写真をあげられないんですよね、怖いんです。撮った写真が本当に『これだ!!』と思えて、はまって、魅せたいと思って、ストーリーがあると覚悟がないと人に見せられないです。その過程は成長したのかもしれませんね。

今でももちろん、カメラはコミュニケーション・対話のためのツールですし、それこそ人物を撮るときに、その人の想いの表現手段が写真であることは常に意識しています。

 1552930_556541587765451_1381441697_n

 

『黒髪祥』を演じなくなくて良くなったんです

人を信じるのが怖かった、だけど僕には居場所ができた。

 

クロはコミュニケーションを意識している
なのに、あまり感情を表に出さないのは何故だろう?

 

『いつか裏切られたらどうしよう』っていう不安が、僕の心の根本にあるんです。

実は、小学校でイジメにあっていたんです。ある男の子が入るために僕を悪者に仕立て上げて、それが広がって、いつの間にか小学校全体で干されました。

今でも親友の子たちが僕のことを救ってくれたのですが、それから少なからず、人を信じられなくなりましたね。本当の自分を明かせなくて、どこからで人を斜めから見てしまう。心の底から信頼して、裏切られるのが怖いんですよ。

 

人間関係に不安を抱いていたとはいえ、クロの顔はとても広い…
大学に入って人脈を広げたのはどうして?

 

単身で関西に来たので、大学に入ってもちろん友達はゼロで、とにかく知り合いを増やしたくて、がむしゃらだったんだと思います。

サークルに5つも入って、学生団体にも入って……だけど、みんなが僕に抱いたイメージに合わせるのに必死でした。そのイメージ通りに自分を合わせてしまって、僕らしい表現も、僕らしい心のうちを出せなくなっていましたね。

僕には表現手段が無くて、正直、何もできるものが無かったんです。

 

ずっと心を明かせなかったクロにも
今は居場所ができたように感じた

 

自分らしいポジションを見つけたのかもしれません。既存のコミュニティから一歩外に出て、その中で作られていた黒髪祥を演じなくなくて良くなったんです。同じステージで、同じ悩みを持つ人たちに出会った。『もう、頑張って作らなくていいんだな』って、楽になったんですね。

それが写真にも現れてきたのかもしれません。今まである意味複雑でしたし、悩みも多かったですし、それにここまで知ってくれる人も作らなかったですから。『心に訴えかける写真だよね』と言われるのは、そういうものかもしれません。

 

そうして心を開くことができたキッカケ
それは環境を整理を始めたことだった、という

 

所属していたいろんな団体やサークルを切っていったんです。それは嫌いになったわけじゃなくて、『個人でつき合えば良いや!』と思ったからなんですよね。

そうして個人で活動するとなると、全ての責任とプレッシャーを一人で背負わなくちゃいけなくて悩みますが、だけどそれで見える世界があったんですよね。

それから、組織で動いている人も、個人で動く人も…人を応援できるようになったんです。今までなら羨ましくて嫉妬したくなっていたヒトやモノも、『僕が思っている以上にツラい想いも努力もしてきたんだろうな』と、僕が個人で動いたからこそ気づいたことでしたね。そんな余裕ができました。

 1482264_556542267765383_324824891_n

 

まやかしの効かないフィルムで、海外と日本を繋げる人になりたい

作品を見て、判断して、欲している人と繋いでいく。

 

クロの大きな心境の変化から
どうして展示できるくらいの実力がついたのだろう?

 

1枚1枚の写真に時間をかけて想いをこめて撮るようになったからですね。フィルムで撮るようになって、これは36枚しか撮れないからこそ、36枚でストーリーを語らなければいけないんです。

だからこそ1枚1枚に本当に想いを込めて撮って、それを印刷して、はじめて写真になる。

そしてフィルムはアナログで、データではなくて、加工も何もしなくていい。『まやかしが効かない』これが写真のあるべき姿・原点であり、写真への考え方が180度変わりました。

デジタルが先行して、いいカメラを買えばきれいな写真がとれると思われている世の中で、だからこそ、学生でフィルムが広がったらもっともっと面白いのに、とは思いますね。今は写真加工をフィルム調にする人も増えてきたり、これからはフィルムの時代原点回帰すると感じています。

 

さまざまな活動を通して、感じてきたものもあるだろう
彼のやりがいとは、突き動かすモノとは

 

ある企業の編集長の人と話した時に、僕もクリエイターやアーティストと人を繋げることにやりがいを感じるんだろうなと思いました。作品を見て、判断して、欲している人と繋ぐ。その考え方にものすごく共感してしまったんです。

そこで僕は、海外に発信していきたいと思いました。今は日本の写真を海外に持っていく人が圧倒的に少ないんですよ。全然写真のテイスト、視点が違うし、イロの使い方も違う。それこそ京都の写真なんてすごく評価されるだろうなと感じているのですが……。

だから将来は自分がカメラマンとして発信するというか、それを”写真広告”として発信できればいいなとは思っています。クリエイターに近いプロデューサー、プランナーの立ち位置で、海外と日本を繋げる人になりたいと思っています。

 

夢を語る彼からは
今までになかった、力強さを感じた

 

この1年は変な傷のなめ合いじゃなくて、仲間意識もいらなくて、いい環境になったと思います。これからも、あと何回か大きな転機がくるとは思いますが、『若いころの苦労はお金を出してでも買え』といいますし、いっぱい苦労していこうと思います(笑)。

全員に分かってもらおうとも思いませんし、みんなに好かれようとも思わない。そんなことはしなくていいような、本当に心を許せる人をもっと大事にしていきたいと思っていますね。

 1508313_556541481098795_890415330_n

ひとりで動き出すには、ものすごく勇気がいる

迷いも、不安も、苦しみも
その壁を乗り越えた彼に怖いものはない 

表現者への一歩を、しっかりと刻んできた
その時間を聴くことができた時間だった

 

もう、何も、まやかしなんかじゃない

黒髪祥の切り取る世界は
地球のどこかで、誰かの心を動かしていくのだろう

 

Twitter:@kuroron822
Facebok:Sho Kurokami

 

【文:三宅瑶、写真:黒髪祥】