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きっと、この世界には
誰にも知られずに眠っている価値がたくさんある 

 

あなたは、NPOに興味がありますか?
団体名を挙げられる人も、まだまだ少ないだろう 

NPO業界や、海外ボランティアに関わる人なら
知らないはずはないウェブメディア

テントセン、greenz.jp 、トジョウエンジン

まさにそこで、知られざる価値を発信すべく
ライターそして編集を行っている『学生』がいた

  

よほどバリバリ系なのだろう、と思いきや
「こそこそと努力するのが好きなんですよ…」 

謙虚さの塊のような、そんな彼の裏側には

静かに燃える情熱があった

 

佐藤慶一
新潟県佐渡市生まれ。地方出身であることや海外ボランティアの経験からNPO業界や地方の情報発信に問題意識を持ち、さまざまなウェブメディアでライター・編集として活躍する。出版社にてビジネスメディアの編集をしながら、個人では NPO/NGO などの情報発信支援をしている。

『テントセン』http://www.tentosen.org/
『トジョウエンジン』http://eedu.jp/blog/
『greenz.jp』http://greenz.jp/

 

 

価値があるのに、伝わっていないものが勿体ないんです

 

ーー大学生でありながら編集・ライターとして活躍していますが、そういったことに関わるようになったキッカケは何ですか? 

まずは大学3年生の時に、”ほしい未来”をつくるためのヒントを発信するウェブマガジン”greenz.jp”を知って、そこがインターン募集をしていたのを見つけたんですよね。それで応募したのですが、落とされたんです…(笑)。

そこから記事を毎日のように読むようになって、”社会的問題を解決するとともに新しい価値を生み出す”という理念に共感して、僕も発信したいと思うようになったんです。そうして個人でブログを書き始めた、それがライターとしての第一歩だったのかもしれません。

 

ーーブログがきっかけだったのですね。そこには何か想いがあったのですか? 

海外のサイトから事例を拾ってきたり、『greenz.jpが拾わないようなネタを早く書いてやるよ…っ!』みたいな感情でしたね(笑)。そんなテーマでブログを書き続けていたら、3ヶ月くらい経って周りの人たちがgreenz.jpの関係者と繋いでくくれるようになったんです。そうして次のインターン募集で見事に合格できました。一回インターン選考に落ちているという話はあまりしたことがないので、さらっとインターン受かったと思われているかもしれないですね…。

だけど、それまで何かを発信する経験も無かったわけですし、ブログをやったからこそ誰かのリアクションがあるということが実感できました。発信することの面白さや可能性を感じてgreenz.jpに入れたので、今思えば落ちて良かったのかもしれませんね。

 

ーーさまざまな媒体に関わる中で、慶一さんの根底にあるものが気になります。

そうですね、それは”人や団体が価値を生み出しているにも関わらず伝わっていないものを広げたい”という想いでかもしれません。

自分たちが価値ある活動をしていると思っていても、知られなければ、認められなければあまり意味がありません。活動が知られることで誰かが応援したくなったり、何かアクションを起こしたくなったり、そうなってほしいと思っています。

その手段がライティングだったり、ウェブマガジンだったりするわけで、大手メディアは取り上げないものを、何かの価値をより適切なカタチで多くの人に届けたいですよね。僕らライターは、入り口を創る役割です。
記事を読んでくれたNPOの方々が連絡をくれますし、必要としている人がいるのだと実感したからこそ、読みたい人に届くように頑張りたい、と思いましたね。

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NPO業界のボトルネックは、情報発信にあるんですよね

 

ーー慶一さんの記事は海外の情報が多くありますが、やはり海外と日本の差があるのですか?

海外と比べて日本は遅れていますね。海外には素敵な情報が沢山あるのに日本では見られていませんし。

海外のNPOはTwitterでも何百万フォロワーを抱えていたり、有名人を巻き込んだり、デジタルなキャンペーンも多くしています。それにウェブページを見てもデザインやテクノロジーも駆使していて、素敵な見栄えになっているんです。

一方、日本の NPO・NGO では、人的なリソースが足りないこともあり、 トレンドをつかんで魅せていくことになかなか注力できていません。

 

ーーなるほど。日本のNPO業界はどうしてそんなに無頓着なのですか?

情報発信ができていないのに、”なんとかなってしまっている”ことがまずいんですよ。寄付や助成金に依存してしまって、毎年やりくりしていても給料が低かったり…去年できた活動を今年はできない、なんてことが現実にあるからこそ危機感を持っています。

そもそもの情報が少ない業界だからこそ、自分たちで情報を生んでいかなければダメなんですよね。どの団体でも情報発信に悩んでいて、情報発信の大切さも認識しているのに、理由をつけてやろうとしないんです。

だから結局、活動が認知されない、ファンが増えない、寄付が集まらなかったり…そのボトルネックは情報発信にあるんです。だからこそ、一つのやり方として『途上国のイメージを豊かにする』というテーマのもとで、新しい情報発信の流れを創っていきたいと思ったんですよね。

 

ーーそこで関わり始めたのが”トジョウエンジン”だったのですか?

そうですね。トジョウエンジンのもとにある、映像授業を通して途上国 の教育支援を行なうNGO”e-Education(イーエデュケーション)”のメンバーとも共感するもので、『今まで情報発信が機能していなかったからこそ、NPOの情報発信モデルを創ろう!』と始めたんです。
そうしてNPO団体自体にはまだ珍しいウェブマガジンを自分たちで創ろうとなり、僕は”トジョウエンジン”編集長として招集されました。

このウェブメディアで取り上げているものは、途上国の問題解決に向かうグッドアイディアと絶景や文化などを伝えるワンダーライフ、あとは活動報告のレポートやビジネス系の情報提供など、触れやすいコンテンツを提供してきました。

 

ーーそういえば私の友人が、いつの間にやらトジョウエンジンのライターになっていたような…… 

そう、僕が声をかけたんですよ。僕たちはライターと読者の関係性ではなく、トジョウエンジンを好きで読んでくれている人を、発信者に変えていきたいと思っているんです。自動的に情報を得て満足しているだけではもったいないですし、収集者から発信者に、自分の興味関心を言葉にしていけるライターさんを増やしたいと思っています。

そうして最初は団体内でやりくりしていたんですが、いまではライターも30人に増え、当初から掲げていた『1年で1000本の記事を出す』という目標は達成しました。
周囲から『そんなに記事書いてどうするの?』『無謀だ』なんて言われていましたが、こうして証明できたと思いますし、これまでどれだけ途上国の情報を発信できていなかったのか学べて良かったですね。

 

NPO業界にある既存の常識を、若い人から変えていきたいと思っています

 

ーー大きな結果を出してきた一方で、何か課題も見つかったのではないですか?

それはどのように寄付が集まるか、イベントに参加してくれるかだとか、読者をどうアクションに繋げていくかということが課題ですね。

トジョウエンジンがなかったらこのような情報発信モデルになりうることは分からなかったですし、この活動に否定的な人も説得できるような数字を示せるようなメディアでありたいですね。そこで数字でしっかり成果を出せるウェブメディアになれば、他の団体も真似しやすいですから。

そして非営利メディアなので、どうやったら長く続けられるのだろうという悩みでもあり模索し続けていますね。途上国というキーワードで集まってくれる人は沢山いるので、トジョウエンジンというメディアに集められなかったら失敗ですし、より多くの人を巻き込める媒体に成長していきたいです。

 

ーー先駆者としてのプレッシャーは、大きなものがありますよね。

はい、自分の力不足を感じました…。だからこそ今ウェブ編集者として働いてみて、先輩編集者の方や、仕事で関わる方々から話を聞いて、僕自身の興味の幅が明らかに広がりました。

それにこれからの編集者というのはITやデータ、デザインやビジュアルもできることを求められていることを実感しました。ITをうまく使いこなせれば、今発信できていないものもうまく発信していける、そんな貢献ができるツールだとは感じましたね。将来はこのスキルをNPO業界に還元したいと思っています。

 

ーーやはり、将来的にも本腰を入れていきたいものなんですね。 

そうですね。現状の NPO/NGOなどでは活動で沢山のデータを持っているのですが、そういうデータをビジュアルに落とし込んだり、流行っているようなデザインを取り入れられていないんです。
『NPO業界でコレが常識だからいいよね』では底上げされないですし、デザインできる人や、ITを使いこなせる人がNPOに居ても良いと思うんですよ。

必要性が分かっているのにできていないからこそ、NPO業界にある既存の常識を若い人から変えていきたい。ウェブマガジンやSNSをツールとして活用し、レベルを上げたスタンダードを創りたいんです。
今は情報発信の優先度が低いからこそ、情報発信の重要性について声を大にして言いたい…ところなんですけどね…(笑)。

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苦手なことを得意にすることが好きなんです

 

ーーそこ、控えめなんですね(笑)。慶一さんはとても柔らかいイメージですが、”静かな情熱”が感じられますよね。それを言葉にするなら何なのでしょうね。

『怒りまでいかない悔しさ』があるんですよね。例えば、NPO業界はもっと情報発信しなきゃいけないと分かっているのにやらないことは、怒らないといけないようなことだと思うんです。

だけど怒りだと感情が前に出ちゃってうまくいかないものですし、ちょっと悔しいくらいだと動けませんし、ちょうどいい真ん中の『怒りまでいかない悔しさ』というポジションに、いつもいるのかもしれませんね。

 

ーーたしかに、とても負けず嫌いな面が見え隠れしますよね。 

そうなんです。昔から何かと負けず嫌いで、だけど性格がシャイなので前に出るタイプではないんですよ。いつもはもっと静かで、今よりも小声ですし(笑)。

大学も英語学科なのですが、入学した時に受けたTOEICが500点くらいで、点数でクラス分けされた中でもクラス内で下の方だと分かって悔しかったんですよね…。
そうして負けず嫌いを発揮して、毎日ニューヨークタイムズを読みあさるという修行みたいなことをしていたら、1年生の終わりには900点近く取れたんです(笑)。

 

ーー恐るべし爆発力ですね(笑)。慶一さんのような感情と行動のバランスは今まで見たことないです! 

潜っている間には「やってやるぞ!!」と思っているのですが、もとがシャイな性格のままなので、問題意識や悔しさばかりが大きく膨れあがっていくんですよね。だから『静かだけど奥に持っているものがあるよね』とよく言われるのかもしれません。

苦手なことを得意にすることが好きなんですよね。得意をもっと得意にするより、苦手を得意にすることが楽しいんです。
そのお陰で英語を読むのも聞くのも好きになりましたし、その頃は全く想像していなかった道を行きましたし、編集・ライターとして活動でも、海外の記事を読めるので結果的には役に立っていると実感していますね。

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僕には、挫折する才能があるんだと思っています

 

ーー苦手なことを得意にするなんて、普通なら苦行ですよ…。そのモチベーションは何なのですか?

できるようになったら世界が広がると思っていましたし、結果的に良かったことの多い人生だからなんですかね。greenz.jpインターンに落ちたことだったり、一度挫折があるとより負けず嫌いが強くなる気がします。僕には挫折する才能があるんだと思いますよ(笑)。

もともと器用にスムーズに生きれるタイプではないですし、ところどころ挫折だったり打ちのめされる人生なんですよね。これからもあると思うと怖いですが。順調にいっていると、『そろそろ挫折くるんじゃないかな、ヤバいな…』と思っちゃいますね(笑)。

だからこそこそ動いて、成果や結果のなかで見せたいんですよね。人目につかず、自分一人でこそこそと努力している、潜ってる期間が長いタイプなんですね。

 

ーー表に出ずとも作り上げていくところが、そういう意味でも慶一さんは、まさに編集者なのかもしれませんね。

そうかもしれませんね。そして意外と、そういう潜っている時期が好きなんですよ。トジョウエンジンも、潜っている状態かもしれませんし、潜る覚悟はできています(笑)。しばらく出てこないですよ(笑)。

特にNPO業界には現在5万団体近くもあって、数ばかり増えて、ほとんどが知られないのが勿体ないんですよ。すごくかっこいいウェブデザインだったり、SNS運用うまかったら、活動を多くの人に伝えられる時代ですし、だからこそ情報発信の重要性を訴え続けていきたいですね。

 

 

英語力、編集経験、メディア知識…
その時は意識していなかった、点と点が線になる 

そこには人目につかず、並々ならない努力があった

  

「これからも自分の今まで得てきたモノで、
いろんなかけ算をしていきたいなと思っています。」

ほら、またやわらかい言葉で、カッコいいことを言うんですから

それが佐藤慶一の魅力なのだろう 

 

彼が地中から出てきたとき
そこにはどんな明るい世界が広がっているのだろうか 

 

彼の静かな情熱が、今日も誰かを突き動かしている

  

Twitter:@k_sato_oo 
Facebook:佐藤慶一(Sato Keiichi)

 

 

【インタビュー:田中嘉三宅瑶、編集:三宅瑶