「奈良きたまち」

近鉄奈良駅から徒歩5分のところにある奈良女子大学のあるエリアはそう呼ばれている。

「またきたくなるまち」

「よろこびのおおいまち」

そんな、きたまちエリアの入口に位置する旧交番所が

「きたまち案内所」として生まれ変わり、観光客と地域を繋ぐ入口となっている。

2012年7月、突如現れた案内所。

その誕生の裏側を少しだけ、ご紹介します。

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-No.288- 旧鍋屋交番と奈良きたまちの会事務局長 瀬渡比呂志さん

 

 きっかけは、奥さん

 

 

直接のきっかけは瀬渡さんの奥さん(奈良女子大学生活環境学部教授)が使われなくなっっていた鍋屋交番を大学で活用出来ないかと検討を始めたことだった。

当初関わっていなかった瀬渡さんは、妻の相談に応じて関わろうと思ったという。

なぜ関わろうと思ったのだろうか。

 

 

 

「地域に愛されてきた交番のこれからの活用方法を大学だけで考えていいのだろうかと思ったんです。」

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リノベーション前の旧鍋屋交番

素敵な出会い 

  

鍋屋交番は開設された1906年から閉鎖された2004年以降も地域の方にずっと愛され続けてきた。
そんな交番を地域のために活用するべきだと考えた瀬渡さん。 

彼は研究を行っていた女子大の教授や近隣地区の自治会長、奈良街道まちづくり研究会、交番を独自調査していた地元の建築家や観光ボランティア、そして交番の隣接住民など、交番に思いを寄せていた人たちと次々に出会うこととなる。 

「とても面白そうな、たくさんの知識を持ったメンバーと出会い、集まることができました。」

集まったメンバーで知恵を出し合い、今後の活動のおおまかなイメージを決めていった。
しかしそこで問題になったのが交番の所有だった。
交番の建物は奈良県警のもの、土地は国と奈良市と奈良女子大がほぼ三分の一づつ所有していたのだ。

そこで市が行っていた「市民企画事業」という、市民の発意で市民と市が共に事業を行うという企画に応募した。

「これからの計画を見据えて、奈良市に土地と建物を保有して欲しいとお願いしました。僕らで管理をするから、市は保有だけしてくれたらいい、ということを話したんです。

本来、まちづくりは市も責任の一旦を担うもの。
しかし瀬渡さんたちは全て市の負担とするのではなく、地域住民が管理することを提案した。

見事この企画が採択され、奈良女子大で行っていた交番のリノベーションに向けた検討の成果も活用しながら、瀬渡さんは地域住民と一緒に活用するプロジェクトを仲間と本格的に始動させた。

市民企画事業に採択されることで、観光案内の拠点や大学における研究活動の一環での使用、地域の活動に使用できる場でありたいという想いに、観光として使用したいという市の想いも加わった。

皆の持つ力を大切に

 

それぞれの希望を合わせ、それぞれが無理をしない範囲で協力することが大切だと話す瀬渡さん。
市が直接行う観光案内所とは違ったものにするために何を考えたのか。

「建物を活かすこと、地域の生活を守ることが一番大切だけれど、せっかくいろんな人が集まってくれたんだから、活動を通して培ってきた知識を発揮し、高める場所にしようと思ったんです。」

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きたまち案内所落成式の様子

 

そして2012年7月1日、旧鍋屋交番はきたまち案内所としてオープンを迎える。

 

「ここまで上手く事が運んでいて怖いくらいです。次々にいろんな方に関わってもらうことが増えて、活動の幅がどんどん広がっています。」

会ではこれまでもまち歩きやスケッチ大会、きたまち大見学会など、様々なイベントを開催してきたまちの魅力を伝えてきた。
今では地域住民だけでなくNHK奈良放送局や奈良女子大学の放送部や広報部とも関わりを持つようになっている。

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きたまち大見学会の様子。写っている建物は奈良女子大学の記念館

 

 これだけ短い期間の中でこれだけ活動の幅が広がったのは何故なのか、瀬渡さんに尋ねてみた。

 

「地域の方々と一緒に、と言いましたが、無理のない範囲で力や知恵を出しあっているからですね。
ここに住んでいる方々は、本当に個性的で魅力的な方ばかり。
何か伝えたいという思いがあったからこそ、こうやって協力して力を出し合っているのだと思います。」

 

一緒に活動をする人の喜ぶ姿を見ることが何より。
そんな瀬渡さんのもとに
、今日も素敵な発案者がやって来る。

 

案内所から始まる、新しい世界への入口。

あなたも奈良に来たら少しだけ、足を伸ばしてみてください。

「またきたくなるまち」

「よろこびのおおいまち」

 

奈良きたまちが、あなたをお待ちしています。

 

奈良きたまちの観光情報発信サイト

旧鍋屋交番と奈良きたまちの会(通称なべかつ)ブログ

 

【文・一部写真:市川陽菜】