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あなたは田舎が好きですか? 

電車で通学、コンビニのご飯、都会の喧噪…
こんな毎日に、私たちは慣れすぎたのかもしれない 

「田舎に行きたい」

疲れを感じると、不思議と生まれるこの感情

  

そんなある日
地域おこしをする社会人に出会った

「”地域活性化”っていう言葉が、嫌いなんですよ。」

彼は、そう言い放った

 

西田有輝
大阪府出身。医療事務として働く傍ら、京都造形芸術大学で空間演出デザインを学んでいる。兵庫県佐用町にて「地域とひとをつなげるきっかけをつくる」を理念にした団体『VISIT』の代表・アートディレクションを行う。雑誌『VISCOM』を制作・販売し、ツアー企画も行っている。

 

 

田舎って、見方を変えればすごく素敵に見えるんです

『好き』と『使命』が、重なった。

  

「もともと田舎には全く興味がなかったんですよ。」
そう語る彼を変えたのは、一冊の本との出会いだった。

 

『コミュニティデザイン』という本を読んで、デザインを通して日本の地域を発信しているたくさんのものに気づいた、触れたことがきっかけでした。

”まちの主役は住民”という民間主導のまちづくりの事例を集めた本なのですが、というのも最近はデザイナーや建築家が過疎地域に入って社会貢献活動をすることが多いんです。

デザインという言葉の捉え方もそうですし、本来ならお金にならないことをビジネスにしていった新しい取り組みとして素敵だと感じました。

 

その中でも、どうして過疎地域なのだろうか?

 

僕自身がずっと大阪で育ってきて、あまり田舎の生活について考えたことがなかったんです。同じ国内なのに、同じ近畿なのに、それでも遠い存在で身近じゃなくて。

やけど僕自身が今まで興味のなかった田舎に初めて興味が持てたんです。『何もないと思っていた田舎にものすごい可能性があるんだ』って。

やから過疎地域というネガティブなイメージを覆すことのできる可能性をもつもの、問題を美しく解決するツールがデザインじゃないかと思ったんです。

 

こうして彼が言い出しっぺで
『VISIT』の活動を始めたのだという

 

『地域を考えることは日本の未来に目を向けることなんだ』と実感して、こうして自分が影響を受けたことを、デザインを通して誰かに伝える側に回りたくなったんです。

田舎って、見方を変えればすごく素敵に見えるんですよ。『自分たちのできる範囲で、できることをしたい』という想いで、地域に通いながら貢献できることを探していこうとなって始まりました。

だから僕ら、自治体から要請されたわけでもなく、勝手にやっちゃってるんですよ(笑)。

 

過疎地域の中でも、佐用町を選んだ理由も偶然だった

 

共同代表の子とインターネットで”過疎地”と検索したら出てきて、それに5年前に水害にあったことで名前だけは知っていたんです。

そうしていざ初めて訪れた日に、偶然たくさんの住人の方々と話すことができました。まちの課題などを直に聞くことができましたし、だからこそ佐用町で一生懸命にやっていこうと思いましたね。

それから今まで本当にコネ0からスタートして、通い続けて、話を聞いて、言葉を交わして関係を作ってきました。

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勝手にやって、だけど町に受け入れてもらって、雑誌を創っているんです。

インテリアとして、コミュニケーションツールとして。無関心から惹き込むために。

 

伝える手段は沢山ある
その中でも彼らが『雑誌』を選んだ理由とは

 

フリーペーパーも好きなのですが、よっぽど気に入らないと捨ててしまいますよね。雑誌は絶対捨てないですし、それはお金を出して買ったものは大切にしてもらえるからだと思っています。

それにデザインを通して発信すると、地域に関わることのイメージのハードルも下げることができますし、その活動がクリエイティブであることも伝えられます。アートやデザインが好きで、だけど田舎に興味のない昔の僕みたいな人をもっと巻き込みたいですから。

企画・デザイン・製本まで自分たちで行って、ネットやイベントで販売してはVISITの活動費に充てているカタチですね。

 

VISCOMを手にとってみると、まるで外国の雑誌や仕掛け絵本のようだった
部屋に飾りたくなるほどおしゃれなのだ

 

VISCOMに書いてあるのは、地域の何げない風景や人であったり、自分の生活でも活かせるような”アイディアのタネ”なんです。

今まで田舎に関心がなかったところから、部屋にVISICOMがあるだけで意識できるかもしれない。『なんかオシャレな雑誌を見てみたら田舎のこと書いてあった』というイメージです。

そして、あえて地図をのせていないんです。もし佐用町に来るキッカケになったとしたら、まちの人に「ここに行きたい」って聞いてほしいなって思って。インテリアとしての機能があって、コミュニケーションツールとしても使ってもらえる、わがままのつまった雑誌なんです。

 

何気ないことの魅力を引き出して、増幅できる
それが”デザインのずるいところ”らしい

 

例えばVISCOMを読んで、気にも留めなかったモノにいろんな想いがつまっていると知ったり、知識を入れてから手にとると、思い入れが強くなるんですよね。それができるのがデザインのチカラですし、何より正しく伝えることが大切なんです。

だからこそ誇大にすることはしていけないと思っています。僕たちは作り物にしたくないですし、まっすぐ正しく伝えることをしたい想いはぶれませんね。

まちの人にとっても、当たり前の風景が写真で切り取られて新しい視点が生まれたり、外の人には田舎に関心をもってほしいですし、結果的に”人と町をつなぐ起点”になれば嬉しいです。

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『視点をずらすこと』が『デザイン』なんです

今あるものをどう良くしていくか、今ないものからどう創っていくか。

 

「自分たちでお金を払ってでも、佐用町への貢献をしたかったんです。」
そう語る彼と、佐用町が教えてくれること

 

触れる機会がなかなか無い田舎のおじいさんやおばあさんに触れて、若者も考えが変わっていくんです。
メンバーには人生が変わって就活する事への考えが変わった子もいるんですよ(笑)。昔が良かったというわけはなくても価値観や体験に触れたら人として厚みが増えますよね。

すでにあるものを違った視点でみる、つまりは『すでにあるものの見方を変えて価値にする』ことをしているイメージです。

地域に住んで活動することはできなくても、都市部の人間が自分の空いた時間で、自分の好きな分野で地域に関わることができる。VISITがそういうプラットフォームを担いたいと思っています。

 

「ビジネスとデザインが似ていて、これも見方次第なんです。」と彼はいう
ゼロから価値を作っていきたい、その想いとは

 

例えば僕らは『おさようございます』という挨拶を作って、本気で広めたいと思っているんですよ(笑)。
よりよいコミュニケーションが生まれるかもしれませんし、なにより挨拶にお金はかかりません。それなら可能性の種をまく数は多いほうがいいですよね。

こんなことができるのは、自分たちがいつもくだらないことを考えているからだったり。僕らはとても適当でゆるいアイデアをよく出しますし、『あんまり町おこしとかやってなさそうな人たちがやっている』ということを魅せたいですね。

 

彼らのアイディアは、新しい風になる
それを『ギャップ』と呼んでいるようだ

 

普通にアピールしても巻き込めないカタいものだから、僕らがやるからこそ、普段田舎に興味のないような人たちを巻き込めると思っています。

だって、カタいものをカタいままでも仕方ないじゃないですか。だからギャップっていいですよね(笑)。何でも対比が強い方が調和しますし、人を惹きつけるんですよ。
お遊び抜きでしっかり伝えてらっしゃる方はたくさんいますが、僕たちみたいな人もいてもいいかなって思うんです。

伝え方でも、そこにアホらしさだったり、ぼくらはおもろがって楽しんでることで、いきいきしていることが何より与えられることなんじゃないか、と思っていますね。

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”地域活性化”っていう言葉が、嫌いなんですよ

『こうなったらいいよね』を、自分たちにできることで叶えていく。

 

『カタいものをカタく解決してもおもしろくない』
彼の想いは一貫していた

 

普通の人からすればアートもとっつきにくいですし、僕自身の過去のアートへの取り組みも、アートのとっつきにくさを軽減するためにハードルを下げるスタンスでしたから。
それに田舎もとっつきにくいものだからこそ合わさったら、それが”デザイン”になったら、ちょっと良くできると思うんです。

『課題解決しよう』とか、『佐用町に行こう』というより、今後も田舎は過疎化して都市も縮小することを見据えて視点を持っていきたいと思います。

自分の持っている能力で地域に関わっていくことが大事で、興味のあること、できることを地域につなげる新しいケースにしていきたいですね。

 

「”地域活性化”っていう言葉が嫌いなんですよ。」
そう言い放つ、彼の真意は?

 

まず決して「地域活性化」を否定したいわけではありません。ただ『活性化って何?』『元気にってどうなったら元気なの?』と思っちゃうんですよ。

やから僕らは『魅力をカタチにする』と言っています。『こうなったらいいよね』を考えていきたいですし、自分たちができる範囲できちんとやっている方が、一番いいと思うんですよね。

そうして佐用町でできたことなら、他の田舎でも応用できるかもしれないですし、もっと他にも同じような団体ができてほしいと思っています。
というのも、僕らは他の地域でやるつもりはないですから。僕、一途なんですよ(笑)。
それにまちのことをいい加減にやってしまったら、関わるまちに対して失礼だと思いますから。

 

最後に今後の展望を尋ねると、どんどん活動の種類も広げていきたいという

 

VISCOMも今は手段の1つですし、たとえばツアー企画なんかも行っていますね。

佐用町在住の方で、ワークショップやカフェを将来的にしたいという夢を持った、自給用の農園を持ってる若い夫婦の方々と出会ったんです。そこでVISITが集客をお手伝いするというカタチで、お茶摘み体験ワークショップを開きました。

このように町の人と連携してイベントをやっていきたいと思っていますし、来年の夏に大きなことやろうかな、なんて企んでいます!

そして佐用町の人たち自身にも『佐用町でこんなことできるんだ!』と気づいていってほしいですね。

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近年騒がれる農村の過疎化、人口減少
私たちには解決しなければいけない”課題”なのかもしれない 

だけど、そんなに肩肘を張らなくていい

求められているのは、僕らのアイディアだ 

 

さあ、田舎を楽しもう
町おこしを楽しもう 

もしかして今この瞬間から

あなたにできることがあるかもしれない

  

Twitter:@yuki_nsd
Facebook:Yuki Nishida

VISCOMの販売はこちら!→http://visit.thebase.in/ 

 

『VISIT』HP:http://www.v-i-s-i-t.jp(調整中)
Facebookページ:http://www.facebook.com/visitviscom

『VISCOM』プロモーションビデオ
http://vimeo.com/70987375

 

【文・写真:三宅瑶