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三重県鈴鹿市にある
600年以上続く
臨済宗東福寺派の龍光寺

 そこで副住職を勤める藤田賢州さん

僧としての夢
次世代の私達へのメッセージを
語ってくださった

 

 

修行の僧の生活

 

「禅宗は全てのものに佛性はそなわっているという考えのもとから
自力本願の宗教で、私達にとって『修行』はたいへん厳しいものでもあり
同時にたいへん大事なものでもあります。」

 私達の普段の生活から、かけ離れたものであった。

 

「まず、朝は三時に起きます。これは年中同じです。
 起きてから一時間ほどお経をよみ、軽いお粥をいただきます。
 そしてその後に日の出まで坐禅をくみ、日の出からみなさんのイメージにも
あるような雑巾がけ等の掃除をします。
 掃除が終わると托鉢に行きます。」

 托鉢とは古代インド宗教の出家者の修行形態の1つである。
信者の家々を巡り、生活に必要な最低限の食糧などを乞い
信者に功徳を積ませる修行のことである。

 

「托鉢から帰ってきたら、ここでやっとご飯です。
 メニューは毎日同じで一汁一菜の麦ご飯とみそ汁です。」

 このメニューは夕方の食事でも同じである。

 

「午後からは日替わりで内容が異なるのですが、主に掃除等をします。
 そして午後の作務が終わるとご飯を食べ、
また日の入りから夜九時ごろまで坐禅をくみます。
 一日は一応ここで終わりなのですが、
その後昔の習わしに従って外の縁側で夜坐という坐禅をくみます。
 これが一日の修行の流れですね。」

 この毎日の修行の中でも特別な一週間が年に七回ある。

 

「『摂心』(せっしん)と呼ばれるものなんですが
摂心中は一日中坐禅をくみます。
 もちろんトイレに行ったりご飯を食べたりはします。
 でもそれ以外は一日中坐禅をくんでいますね。
 摂心の中でも12月の1日から8日は臘八大摂心といい特に厳しくて
一週間ほぼ寝ないで坐禅をくみ続けるんです。

 藤田さんはこの修行の道に10年間身を置いていた。

 

 藤田さん3

 

僧という道

 

なぜ藤田さんは僧を目指したのだろう。

 

「私の親は僧侶ではなく大工でした。
 いわゆる在家の出身です。
 その父親が私の師匠と縁があり、そのご縁で出家をしました。」

 出家して仏門に入ることを『得度』ともいい、
すなわち僧侶として席をもつことである。
 得度をすると小僧という。

 

 

「私は僧侶になる、ならないは別にして
その師匠の弟子として花園大学に通っていました。
 そこで出会った『老師』がとても魅力的で僧侶を志すことを決めました。」

 臨済宗の老師とは全ての公案を終了して
師である老師に印可された人のこと。
公案をおえるのに早くて10年以上の修行がかかり、
もちろん妻帯も許されない。

 

 

 師でもあった先生方は常識にとらわれずに
この人のためには何をするのが一番かということを
常に考えている人が多かったですね。
とらわれない生き方というものを学びました。」

 

 

僧として夢

 

藤田さんの僧としての夢はなんなのだろう。

 

「私は師匠にひろってもらったと思ってるんです。
 もし、今、出家していなかったら
何に成って、何をしていたかわからないし
師匠のおかげで自分の可能性が広がったと思ってるんです。」

 師匠のおかげで今の自分がある。

 

「正直チャンスは平等じゃないと思うんですよ。
 私の可能性もチャンスも師匠にひろってもらったから出来たもので。
 その恩を今度は私が
次世代に返していきたいと思うんです。
 人が幸せに生きるのが宗教なんです。」

 自分の幸せには限界がある。
人の幸せをつくること
それが藤田さん自身の幸せでもある。

 

「お坊さんてすることが決まっていないんですよ。
 もちろん、お葬式等はありますけど
お葬儀や法事に限られた仕事が僧侶ではないんです。
 例えばタイでは、HIVの末期患者の最後をお寺で看取るんです。
 お寺は本来そういうもので、
困っている人を助けるための場所だったはずなんです。」

 昨今の僧侶のありかたについて疑問を抱いている。

 

「今のお坊さんて形式的になってきているんです。
 お葬式だけしてお金を稼いでそれで生活していくだけで
いいのかなって私は思うんです。」

 この疑問が藤田さんの夢に繋がる。

 

「だから私はこれからの僧侶を育てていきたいんですよ。
 資格を持っているだけじゃなくて
人々の悩みを聞き、心を育てられるような。
 また、そうやって世界のため、人のためのお坊さんを
育てていくことが自分を支えてくれた人たちと
次世代への
恩返しになると思うんです。」

 

藤田さん 

 

私たちにむけて

 

最後に私達に向けてメッセージをいただいた。

 

「ありきたりなことかも知れないけど
一回しかない人生を思いっきり楽しんで下さい。
 そのために今やっていること例えば、学校や仕事、遊びでも
何のためにやっているか全部考えて欲しい。
 そして常に何かに迷ったときは
ワクワクするほうの答えを出して欲しい。
 今自分たちがやっていることは必ず何かの財産になると思うし
最終的に困ったら弟子入りして下さい。笑」

 

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今あなたが夢中になっていることは何ですか?
それは何のためですか?

 一度きりの人生
常にワクワクしていよう

 

 【文・写真:酒井美佳】