“お人好し、涙もろい、イッチョかみ…

おまけにお酒と女性に目がなくて、なんでも笑いに変えてしまう。

そんな大阪巷の魔法使い「おっちゃん」。

貴方もなってはみませんか? 「おっさん化ツアー」。“


そんなアットホームな宣伝文句に心ひかれ、思わずインタビューを依頼。

私がもらった笑いに満ちた時間、

皆さんにも少し、おすそわけします。

 

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増渕鮎美(あゆみさん)
Off the Street Japan代表。神奈川県出身、大阪大学卒。大学院生のときにホームレスのおっちゃんと出会い、当団体設立に至る。現在は東京に住みながら大阪に通う。

 澤本昇(愛称・武蔵さん)
30年間警備員を勤めるも、片目の失明により自ら辞職。不法な肉体労働に従事したことがきっかけでホームレス生活を始める。ビッグイシュー販売経験もあり。現在は生活保護を受給しつつ、当団体やほかの団体のスタッフをしている。講演会に登壇して話をすることも。

 芦田理沙(理沙さん)
Off the street Japan 副代表。関西外国語大学2年生。インタビューに同行していただきました。

 

Off the Street Japanとは?

ホームレス経験のある人たちが中心となり、ホームレス問題から社会を見る『大阪ホームレスガイドツアー』事業を行っているNPO任意団体(2012年6月創設)。英語を学ぶ学生が通訳となり、外国人観光客の案内も行っている。
 

ビッグイシューとは?

1991年にロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊した雑誌。その大きな特徴はホームレスの人が道で販売していること。1冊300円で販売し、160円が販売者の収益になる。「救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業」。(HPより引用)
詳しくはビッグイシューHPへ。http://www.bigissue.jp/index.html

 

  

ホームレスは不幸?でも心の家がない「ホープレス」の人は…


スタッフの武蔵さんは話題豊かでとても物知り。
ホームレス時代の身の上話、社会のウラ側、大阪の色んな顔…
聞けば聞くほどおもしろい話ばかり。
私の知らない世界がそこにはあふれていた。
隣では代表のあゆみさんが穏やかに微笑んでいた。

 
―武蔵さん、とても人生経験豊富でいらっしゃいますよね! 

あゆみさん:ホームレスを経験してる方って、いい意味で人と違うんですよね。武蔵さんのほかにももと弁護士さん、古本屋の店長さんとか…本当に面白い人ばっかり!


武蔵さん:
なんでそんなに色んな人種が多いかっていうと、ホームレスになってる人は有名高校、有名大学のレールの上に乗らず、色んな道を選んで知ってるからなんよ。
それがうまくいってないからもがいているんだけど、もがきながら裏も表も見てきたんだよね。


あゆみさん:
「ホームレス」ってただ「家をなくした人」っていう意味で、
状態を表してるだけなんですよね。
でも人って記号で他人を見ちゃうんですよ。
「ホームレス」とか、「障碍者」とか、「母子家庭の子」とか。

社会が発展していく中で多様性は必要不可欠だと思うんですけど、
そんな風にラべリングしていくのはそこから遠ざかっていく一方だと思っていて。

私たちは、気づかれていないけど本当は色んな才能を持っている、
そんな多彩な人たちの魅力を発信していけたらいいね、って話してます。


武蔵さん:
ビッグイシューを創設した佐野修二という人が、こんなことを言っていた。
「ホームレスは家がないというけれどそうじゃない。彼らは“ホープレス(hopeless)”だ、希望をなくしている。
私は希望を与えるためにビッグイシューを作ったんだ」と。

ホープレスの人は日本中にいる。ホームレスじゃなくても、心の家がない人はたくさんいる。
そんな人たちを救える方法はないかなと思う。
 


あゆみさん:
とりあえずコミュニケーションだと思うんですよね。
Off the Street Japanも、そこを大切にしています。

ホームレスを経験してこれから社会に旅立とうとしている人たちと普通の人の接点だとか、
ツアーに参加する人同士の接点だとか、大学生スタッフと参加者の方の接点だったりとか。

「つながり」っていうのが社会を救うと、私は思っています。


武蔵さん:
つながりを増やすことが一番の目的やからね。


あゆみさん:
そうですね、大阪から日本を元気にできたらいいなと思っています。

 

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2012年12月 マレーシアからのお客様

 

 

 

過酷な生活―ホームレスという視点


ホームレスの生活って、実際どんな風なんだろう?
想像しえないハードで懸命な日常が、そこにはありました


―家を失うということ、考えたことないのですが、大変な思いたくさんされたんじゃないでしょうか。


 
武蔵さん: うん、でも俺は、経験して良かったと思ってる。
ホームレスになってからは人をたくさん見れるようになった。
語弊があるかもしれんけど、「下」から見れるから色んな顔が見れるから。

以前警備の仕事をやってた時も、ホームレスをたくさん見たけど、仕事場で追い出したことがある。
正直言ってね、「なんやこのおっさんら、仕事もせえへんで。昼間っからだらだらして。何してんねん。」って思ってた。

でもホームレスになったおかげで、
彼らがなぜそういうことをしているのか、せざるをえないのかっていうのが分かってきたんや。
それから人に親切にしようっていう考えがでてきたんよね。
自分がつらいから人にやさしくなれるんよ。

ホームレスのおっちゃんらは、一見昼間っからごろごろしてるように見えるかもしれんけど、
実際は夜2時ごろ起きだして朝の9時ぐらいまで、缶拾いとか段ボール拾いをして換金しに行く。
それから炊き出しでご飯食べて、仲間と情報交換。それからやっと仮眠する。
仮眠してるところを我々が見るからだらだらしてるように見える。

彼らにとっては皆が動いている時間が「夜」だから、お酒も飲むんよ。
でもそんなん知らん我々は、嫌な顔を彼らに向ける。
でも、彼らは一生懸命生きているんよ。


 

―確かに知りませんでした…豊かな生活をしている者には見えない世界ですね。

 
武蔵さん:そうやね。
毎日怖い思いもしてるんよ。
ホームレスの方が高校生に襲撃されて亡くなった事件、ニュースになってたけど、
軽いのだったらみんないくらでもやられてます。

自分も缶ビールなげつけられたことがあるし、おしっこかけられたこともある。
そのときは本当に情けなかったなあ。着替えもない冬、こごえながら朝を待った。
靴の中にも入ってきたけど、代えがないから洗えないしそのまま2週間過ごしました。

人間て、実はいくらでも悪く、残酷になれるんよね。 

 
あゆみさん:でも一つのきっかけでよいように大きく変わることができるのもまた人間ですよね。

私の母は高校教師だったんですけど、すごく熱血漢で、
問題児にもあきらめず最後まで話しかけて、改心させてました。

そういう姿をそばで見てきたから、
人間はきっかけさえあればいくらでも変われるんだと信じてるんです。

私たちもそういうきっかけ作りをてきたらいいな、って。

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「おっちゃんと街歩きツアー」ことのはじまり

 
―でも、どんな経緯があってこんなユニークな集まりができたんでしょうか?
全く接点がないように思えるのですが…


 
あゆみさん:ホームレスのおっちゃんたちと出会ってから、立ち上げまでは2年ぐらいありました。

私は大阪大学で国際政策を専攻してましたが、
その頃は自分なりの社会の見方ってなんだろろうなと考えてた時期でした。

当時ドキュメンタリーを撮ってたんですが
前からよくビッグイシューを買っているし…と
その時路上で販売をしていた野口(元ホームレスの方で、現在は当団体スタッフ)に唐突に声をかけました。

もちろん初対面だったんですが、
「こういうこと考えてて、こういうことしたいんですけど」って話しかけたら、
野口も「おおいいじゃん」って賛同してくれて、
とんとん拍子に話が進みました。それが始まりだったんです。


理沙さん:
わたしも偶然の出会いでした。
ビッグイシューを販売している武蔵さんを道でみかけたとき、思わず近づいていました。
すーっと引き寄せられるように…。(笑)

この団体の存在を知って、
「面白そう!」と思って飛び込み、今に至っています。

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左からあゆみさん、武蔵さん、理沙さん

 

―道端の出会いが始まりなんて、いまどき珍しいですよね…素敵です!


あゆみさん:
そうなんです。お互い人見知りしない性格だからか
最初から打ち解けてすぐに仲が良くなって、
一緒に色んな所に出かけました。

大学院に所属してる2年間のうちに、
みんなでいろんなこと考えて、夜回りもして。ホームレス経験者の人たちと話すようになって。
みんなおもっしろいんです、ほんとに!
こんな人たちがもっと社会にでたらいいのにって、ずっと考えてました。

それに、もともと大阪出身ではないんですが、
2年間大阪に住んで、すっごい大阪好きになったんですよ!
人との距離感が近くて、居心地が良くて、食べ物はおいしいし。

世界で一番好きなこの場所で、
武蔵君と野口君と一緒に何かやりたいなと思って。

そのときにぱっと思い浮かんだのが、
二人に色んな所に連れて行ってもらったときのこと。
二人ともいろんなことを知ってて、ガイドもしてくれたなって思い出したんです。
じゃあ試しにやってみよっか!で、今に至ります。
ほんとにささいなきっかけですよね(笑)。

 

 ―いろんな顔を持つ濃い町大阪!確かに魅力的です。
ツアーの中で参加者の方々に特に伝えたいことなどありますか? 


あゆみさん:
とにかく楽しんでもらうっていうことでしょうか。


武蔵さん:
あと今の状況を知ってもらう。
とにかく見てほしいし、何らかの形で得たものを自分の中にとどめてほしいですね。


あゆみさん:
生の姿を見てほしい、これです。
各町の、実はこういう面もあるんですよ、っていうのを伝えたい。
そしてつながりを提供でききたら、
お客さんがつながり探しに遊びに来てくれたら…って思います。

 

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お花見ツアーの様子 

 

武蔵さん:ツアーで知り合ったお客さんに相談されることもあるんよ。
もちろんツアーではお仕事としてお金をいただくんだけれども、
稼ぎよりもそこから始まる関係の方が大事なんよね。
お金にならんけど、心の栄養にはいくらでもなるから。


あゆみさん:
「自分たちが楽しむ」のが一番なので、
自分たちが面白いと思えるような企画をやろうって今まで活動してきてますね。
だからあんまり深いこと考えてないです正直(笑)。

ただこう思うんです、幸せな人が増えれば幸せの輪はもっと広がるって。
町を歩きながらいろんな新しい視点に出会って、
楽しい気持ち、明るい気持ちになってくれたら、とてもいいですよね。

街歩きって例えば景気を良くすることに直接は結びつかないかもしれないけれど、

元気なこのまち、大阪からエネルギーを発信していきたいです。

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本当は面白い話、もっといっぱいありました。

とてもとても、こんな文字数では伝えきれない!

気になるでしょう、皆さん。

 

だから、ゆかいなおっちゃんたちにぜひ会いに行ってみてください。

そのオープンであったかい底抜けの笑顔に、

きっとあなたも確かな“ホーム”を感じるはずです。

 

オフザストリートジャパン Facebookページ:https://www.facebook.com/OffTheStreetJapan

 
※スタッフも随時募集中。会議は月2回梅田にて。学生、社会人問いません。
おもろいおっちゃん達とツアーを作りあげていきませんか?
気になった方は下記連絡先まで。

mail: off.the.street.japan@gmail.com

写真:市川陽菜、文:福良碧