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「けーてん」の愛称で呼ばれる男、鈴木啓展。
彼は『教育』にとても熱い想いを抱いていることで仙台のその界隈で有名だ。

衝撃的なエピソードをひとつ紹介しよう。 
すやすや寝ているなと思ったら彼はおもむろに顔を上げ、
「えっ教員採用…!?」と言葉を漏らしたのだ。
(そのとき誰も教員採用の話はしていなかった。)
 

 

鈴木啓展(すずき ひろのぶ)
宮城県出身・宮城県在住。ALL東北教育フェスタ代表。

教員を目指し大学に入学するも、1年次に参加した教育実習で学校教育の実情を知り、教職課程を辞退。学生団体やボランティアをはじめ、教育分野を中心に多くの活動に取り組んでいる。

 

子どもに勉強を教えたい訳じゃない。

 

けーてんは教員志望ではないみたいだけど、「教育」を軸に色んな活動に携わっているよね。

俺、子どもに勉強を教えたい訳じゃないんだ。教育のしくみを変えたい。その想いがあってそれぞれの活動を頑張れてる。


ALL
東北教育フェスタ
ALL東北教育フェスタっていう団体で代表をやってる。『共育×響育×教育=?〜自分にとってのキョウイク探しをしよう〜』をテーマに掲げていて、主な活動は教育に興味のある学生を集めて定期的にイベントを開くこと。長期休みには「ALL東北教育フェスタ」、あと月1で語りの場「カフェフォーラム」っていうのを開催してるよ。参加者に自分にとっての教育を探してもらうことが目的なんだ。色んな学生がそれぞれの“教育観”を持ち寄って、ワークを通してそれをシェアしたときなにが起るだろう?どんなキョウイクが生まれるだろう?って、いつもわくわくする!


高校でキャリアセミナーの講師
これはNPO法人ハーベストが高校でやる出前授業で、高校生が自由に選ぶ講座の中の一つで学生講師をさせてもらってる。このインタビューと同じように大学生活や自分の活動、興味について話すんだけど、すごく難しい() 俺の話が高校生の選択肢を増やすきっかけになっていればうれしいけど。


教育支援のボランティア
去年から教育支援のボランティアもやってるよ。フェスタの活動をサポートしてくれた方が声をかけてくれて、その人がPTA会長を務める小学校で。夏休み中に小学校で開かれる算数の勉強会にサポーターとして参加するんだ。俺らが小学生のときとはやり方が変わっていて解き方がわからない問題もあったけど、楽しいよ()その後、先生と仲良くなっちゃって、流れでその学校の野外活動キャンプも手伝わせてもらった!

 

けーてんベローチェ

 

教職を辞めた。


─どうして先生になるのをやめようと思ったの?

もともと先生になりたいと思ったのは、先生は親の次に子どもと触れ合う時間が長いことが魅力的だったからなんだ。特に小学校は全教科を一人の先生が教えるから、子どもたちにつきっきりで一緒に色んなことができるんじゃないかと思った。たとえば、「理科で習ったことが社会の授業にも出て来る!」…そういう感動を子どもたちに伝えたいんだ。どんな教科もどこかでつながっていて、実は世界は一つなんだっていうことを実感してほしい。小学校の先生になって、子どもに色んな角度から世界を見せてやりたいと思った。


だけど1年生のときに参加した教育実習で、学校教育の現場に足を踏み入れてわかったことがあって。先生の仕事はすごく多くて、忙しい。授業中くらいしか子どもと向き合う時間がないようだった。休み時間や給食の時間もこどもたちと一緒にはいるんだけど、仕事をしなきゃいけないんだ。テストの採点をしたり、プリントを作ったり…。 

先生になっても自分のやりたいことは実現できないのかもしれない、と思った。それで2年生になるときに思い切って教職を辞めた。教員になる気もないのに実習に行って学校のお世話になるのは申し訳ないし、自分にも子どもにもメリットのある状態じゃなきゃ実習をしたって有意義なものにはならないから。学校の先生になるんじゃなくて、別の立場で教育のしくみを変える仕事がしたい。

 

 

子どもが夢を持てる社会に


じゃあ、けーてんは学校の先生にならずにどんなことがしたいの?

やりたいことは大きく分けて3つあるかなぁ。


子供に夢を見つけるきっかけを与える
子どもに夢を見つけるきっかけを与える仕事がしたい。今の子どもって、夢がないんだよ。夢っていうのは職業でも単に好きなことでも、見つけられればなんでもいいと俺は思う。子どもにはなんでもいいから夢を持って生きてほしいな。夢がある人生の方が絶対に楽しいから。
 

色んな世界で活躍する大人と引き合わせる
子どもたちを色んな世界で活躍する大人と引き合わせられたら、選択肢がどんどん広がっていくと思う。例えば仙台だったら、アーケードでジャズフェス(※)をやるみたいにキャリアセミナーをやるとか。ジャズフェスでアーケードにテントを張って歌ったり踊ったりするのと同じように、椅子とテーブルを出して、学生や大人になにか話をしてもらったら絶対楽しい!

大学のゼミでも地域調査を専攻しているんだけど、実はまちづくりや人と人の関係をデザインすることにも興味がある。街はデザインするときにどれだけ教育的要素を入れられるのかを追及してみたい。

※ジャズフェス…毎年開催の音楽イベント、「仙台ジャズフェスティバル」。


学校教育の内と外をつなげる人間になる。
学校の先生って、情報:知識=2:8で授業をしているんだって。学校の先生は忙しくて、新しくものを調べたり他の先生と連携したりする時間がなかなか取れないんだよね。俺は教職を降りたけど、それでも教育学部にいるし、まわりには教師を目指している友達がたくさんいる。せっかくこの環境にいるから、俺が教育に関する情報を得て、それを還元する“学校教育の内と外をつなげる人間”を目指したい。 

あとは、今やってる諸々の活動も含め、自分がわくわくすることには首を突っ込んでいたいといつも思ってる。


なるほどー…。けーてんはどうしてそんなに強く「こどものために」って思えるの?

教育に興味を持ったきっかけは高校2年のときにいとこが生まれたことなんだ。1年くらい実家で一緒に生活していたんだけど、いとこの成長する様子を見ているとそのスピードがものすごく速いんだよね。目も開いてないと思ったらいつのまにか首が座ってて、首が座ったと思ったらハイハイし始めて、ハイハイしたと思ったらもう走ってて…みたいな() その姿を見ていて、子どもの成長していく姿ってなんて面白いんだろうって感動した。

実は一番最初は保育士志望だったんだ。でも本を読んでいくうちに「今の子どもには夢がないってことに気づいて。俺もその一人だったしね。どうしたらこどもが夢を持てるようになるんだろう?って考え始めて、それで最初にも話したように大学に入ってからは「小学校の先生」に行きついたんだ。

 

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夢がある人生って、楽しいじゃん。
だから子どもがちゃんと自分の夢を持てる社会にしていきたい。

自分がどんな立場でなにをやっていくのかはまだ模索中だけど、
今やってる活動を続ける中で見つけていきたいと思う。

 

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『楽しい』をとても大切にしているけーてん。

子どもたちに『夢を持って楽しく生きてほしい』と願うけーてんの姿を、

多くの人に見てほしい。

 

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Facebook:鈴木啓展
twitter:@supernova_9mm


ALL東北教育フェスタ(http://tohokuedufesta.web.fc2.com/

 

(文・写真 豊田亜美)