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関西の大学生主催のファッションショー、BEATNIXS。

モデル、衣装のクリエイター、メイク、ヘアメイク、映像、音楽・・・
人集めから演出まで全て学生の手で行われる。

そんなファッションショーにクリエイターとして一人の女子大学生が挑戦。

彼女の名前は川北桃子さん(21)。

 

|チャンス到来

―よろしくお願いします。BEATNIXSに参加した経緯を教えて下さい。
「京都精華大学へ通うチームのリーダーが高校の友達で、誘ってくれました。その子は、私が高校時代に美術部に所属していたこと、デザインをするのが好きなことを知ってくれていたので声を掛けてくれたんやと思います。今、FACEBOOKに自分で作ったピアスを挙げているのですが、それも見てくれてたんじゃないかな」

部活では絵を描く毎日だった。デザインすることは好きだったが、モノ作りの経験がなく、自分がモノを作ることが出来るなんて思ってもいなかった。そんな時に舞い込んだクリエイターの依頼。

「服作りなんて今までやったこともなかったから、正直OKするか迷いました。でも、やってみないのも勿体無いなぁと。やらない後悔より、やった後悔をしたかったので挑戦してみました」

 

|新人クリエイターとしての毎日

「私はエポワスというチームに入り、カクテルがテーマになりました。衣装のイメージが三種類あって、構成的には“かっこいい系”“美人系”“かわいい系”に分類されます。私は“かわいい系”の担当になりました」

―それぞれの系統でどのような衣装が出来上がるのですか?
「“かっこいい・美人系”は、お酒って色っぽいイメージがあるじゃないですか。だから、その飲んでいる色っぽい所、大人っぽい所を衣装で表現していきます。私は“かわいい系”担当だったので、飲み始めてフワフワしている姿やボトルそのもの、シェイカーなどをイメージして製作していきました」

誘われたのは12月初め。1月中旬にはデザインが完成した。実際に作り始めたのはテスト終了後の2月。BEATNIXSは2月24日。刻一刻と近づいてくる本番。残された時間はあとわずか。

「ほんと全然間に合わない(笑)。本番1週間前は、5徹(5日連続徹夜)しました(笑)。さすがに、5日間ずっと起きている訳ではないんですが、1日ごとに1時間や10分仮眠を取るぐらいで……もう寝たら終わりやなぁと思っていたので」

―5徹ですか(驚)耳を疑いました!!
「でも生活ガタガタでしたよ、ほんまに(笑)。さすがに5徹は最後しかやらなかったけど、だいたい3徹はいつもしてたんで。3徹して土日のどっちかで寝て、また日曜日から起き始めて……。火・金曜日はサークルもあったし、寝たら起きれなくなってしまうのが分かっていたから寝ないでサークルに行って、夜に足りない材料を買いに行って、夜から作り始めて朝になって……みたいな。やからご飯食べるリズムが崩れて、めっちゃ太りました(笑) 。寒い中、ミシンや布裁断のために場所がいるので、マットレスもこたつも横にどけて、フローリングの上で作業してました。ほんと寒くて寒くて。あったまるために、ホットワインを作って飲みながらやるから、まぁ太りますよね(笑)」

―それは大変!!(笑) 準備に追われている時は辛かったのでは?
「身体的にはしんどかったんですけど、ずっと楽しかったです。せっかく着てもらうし、モデルに失礼なことはしたくなかった。わざわざこんな機会もらって、次作れるかというと、時間的にも無理やろうと思って。こんなこと最初で最後やろうし……ってかそんなごたごた言う前に中途半端で終わらすのがものすごく恥ずかしいなって。私、見栄っ張りなんで(笑)」

―その気持ちがあるからこそ良い物が出来るんですね。
「結局当日の朝まで手袋を縫ったり、モデルが最終構成をチェックしている川辺で、小物にビーズやパール、フリルをボンドでひたすら付けていました。2月の川沿いの激寒のところで作業しなければならなかったんですけど、寒すぎて全然手が動きませんでした」

 

|辿り着いた夢舞台

―本番はどうでしたか?
「とにかく時間がなかったです。ZEPP NAMBAが会場だったんですが、そこのロッカーの通路に、モデル15人・クリエイター12人・メイク3人・ヘアメイク1人。全然手が回らないのでクリエイターも、自分のモデルのメイクやヘアメイクを随時担当しました」

―ずばり!舞台上でモデルさんを見た時の気持ちは?
「もうね、泣きます。お客さん・クリエイターどちらの目線でも見ていたんですが、ずっとワクワクしてました。キラキラしたモデルが、クリエイターが精魂込めて作った衣装を着て、最高にかっこいい顔をしてステージを歩いている。嬉しい、楽しい、達成感などのポジティブな感情を全部混ぜたような気持ちになりました」

「見てもらうモデルの魅力を引き出しながら、どれだけ自己主張出来るかを考えながら衣装作りしていたので、自分も舞台に立っている気持ちでした」

練習中、照れが原因で本番さながらに上手くいかないこともあった。多少の心配はあったが、本番で完璧に仕上げてくるモデルに感動した。
また、自分をこのチームへ誘ってくれた友達は、ヘアメイク兼・衣装を二着も製作していた。

「一着でも大変だったのに、二着も作るなんて、鉄人だと思いました」

20131006_005726                                                        (川北さんが製作した衣装)

|受けた刺激は忘れない

―川北さんが今回参加してみて何か得たことはありましたか?
「美大(京都精華大学)行ってそこまで成長するんやなぁと思いました。私が美大を諦めたのは、美術で食べていく覚悟が出来なかったからなんです。でも、私のチームはほとんどが美大生で、美術で食べていくという覚悟が出来ているからか、ちゃんと目標を見据えて、しっかり軸を持ってる子が多かった。そういう子と触れ合えて良い機会が持てたし、一緒にやれて自分の意識が変わりました」

―どのように変わりましたか?
「何も考えずに大学生活送るのは、やめようかなと。私は、割りと将来のことを考えて大学に入ったつもりやったんですけど、大学入ったら周りの楽しい雰囲気に流されて、流されるままに大学生活を送っていて、結構無駄な時間過ごしたなぁと思って。そろそろ就活も始まるし、将来のこと見据えて何が今必要か、ちゃんと自分のことを自分で考え、責任を持てるように頑張ろうという気持ちになりました」

―すごく良い刺激になったんですね。
「全体的にやって良かったし、このチームでほんとに良かったです。他の機会や他の人じゃなくて、リーダーの友達がおって、その子が信頼して集めたモデル、クリエイターと一緒に出来てほんとに良かった。そこに選んでもらえてほんとに良かった。」

良かった、と連呼する彼女の真相には次のような意味が含められていた。

 

|やっぱり好き

「私、小さい頃画家になりたかったんです。でも、自分の技術では無理だろうなと思って諦めていました。それが今回、今まで絵という形で紙の上だけで終わっていた自己満足を、きちんと触れることの出来る形あるものにしているんだと思うと、泣きそうになるぐらい嬉しかったです」

「自分が何をしたいのか分からなくて悩んだこともあったけど、ずっと諦めていた服やデザインに、こういう形で携わることが出来て良かったです。諦めなくて良かった、諦めていたものともう一度向きあえて良かったと思いました。将来はアパレルの経営をしたいです」

20131006_005703                                                        (個性がキラリと光る私服)

20131006_005647                                                       (ヘアチョークは日常使い)

 

夢を語る彼女の目に、もう迷いはなかった。
自分が遠ざかなければ、夢はいつもそこにある。夢が独りでに遠ざかることはない。

夢に近づくのも、遠ざかるのも自分自身。
諦めなければ、好きな気持ちを持ち続けてさえいれば、チャンスは巡ってくる。

今からでも遅くない。夢を勝手に諦めないで。

 

 

                                                                                                             【文、写真…笹井未貴】