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『今日も幸せや!出逢ってくれて有難う!』
彼と初めて出会った時、彼は笑顔で叫んでいた。

どうやら、いつも
『幸せ』という言葉を口にするらしい。

関西のハッピーボーイこと霊河太樹
”お寺はおカタい”なんてイメージが似合わない彼は

正真正銘、お坊さんの卵だ。

彼の『幸せ』を創った辛い過去とは…
彼の描く『仏教』の明るい未来とは

寺息子の彼を、寺娘の筆者が惹き出す。

霊河太樹
福井県生まれ。浄土真宗西本願寺派玄性寺(げんしょうじ)の跡継ぎ息子。
『たいちゃん』の愛称で、関西のハッピーボーイとして親しまれている。その一方で営業マンやビジネス、学生団体や個人イベントの運営などその活動は多岐に渡り、ヒッチハイクや旅も経験する彼の引き出しの多さにはただただ驚かされる。仏教の既成概念を払拭すべく、日々奮闘している。

 

『ハッピーボーイでいなきゃいけない』という辛い時期もありましたよ。

アンチができても、友達が離れても、幸せなのは嘘じゃないから。

ーー実際に会ってもSNSでも「幸せや!」と言っているたいちゃんですが、何かキッカケがあるんですか?

もともとは大学一回生の時に、日本一周や海外を旅して人と関わったり、その中でご縁や感謝の心を実感したんですよね。そこで『感謝の心は大事やけど、感謝は自分の言葉にして伝えたい!』と思ってから、リアルでもSNSでも「いつも幸せや!有難う!」って言うようになったんです。

でもその頃、知らない人からSNSで批判のメッセージが来たり、僕をバッシングするためのアカウントを作る人も居たんですよ(笑)。仲良かった友達もTwitterで「人が好きなんて思ってる訳ないやん。きもいわ~。」って、わざと僕の目に入るようにタイミングを図って言ってきたこともありました。

やけど、こういうことがあったらショックなんやろうけど、特にへコまなかったんですよね。

ーーそんなことがあったんですね……、普通だったら落ち込むどころじゃないですよ。

でも否定はアドバイスやと思うし、そこで落ち込んだら自分が間違っているって認めるようなものじゃないですか。それにアンチの人って、無視すればいいことも言ってくるってことは「かわいい人等やな!」と思ったんです(笑)。

やから全部のリプライにもメッセージにも、まずは「ありがとう。」と返しました。悪意には善意で返せと言いますし、そうして今ではこんなにも素敵に囲まれているから幸せですね。

ただ最近またアンチが増えてきたんですよ。この時期になると増えるんですかね(笑)。

ーーみんな焦る時期なんですかね(笑)?でも今では”ハッピーボーイ”と呼ばれるくらい、”幸せ”がたいちゃんの代名詞ですもんね。

それも今では嬉しいですが、ハッピーボーイでいなきゃいけないという辛い時期もありましたよ。だって、どんなに辛くても『”ハッピーボーイ”である以上は幸せでいなきゃいけない』んです。

「悩みなさそうやなあ。」とも言われますが、たくさん悩んできましたよ。だけどそれでも『幸せや』って思えるのは、”悩み苦しんでいる”=”生きている”ということだから幸せなんです。

今の幸せは悩んでいた自分からのプレゼントだと思えるからこそ、今となっては”悩んでいる”という感覚も無いんです。やから本当にハッピーボーイだと感じています。

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表で明るくしている人ほど、過去に何かあるんですよね。

すべてを受け入れて、すべてに有難う。

ーー今となっては吹っ切れているたいちゃんですが、やっぱり辛いことも沢山あったんですね。

本音で言ったら、生まれてから19年間はめっちゃ辛かったんです。ずっと笑っていて、ずっと楽しかったけれど、要所要所に絶望的なことがありました。

家がお寺であるとか関係なしに、人の死に触れることが多かったんです。親友やったり、チームメイトやったり、身近な人を何人も失ってきたんです相談に乗っていた友達が僕の目の前で飛び降りて命を助けられなかったり、目の前でリストカットをされたり、ドラマのような死に触れる経験を沢山してきました。

やけど、今だからこそ『ひとつひとつの過去が自分を作ってくれているんや』と思えるようになりました。今まで触れてきた出逢いも、辛い出来事も、その時の自分も、ひとつでも欠けていたら今の自分は無いんですよ。僕の20年の人生には、一切無駄なことは無かったです。

不謹慎かもしれないけれど、今は全てに『有難う。』って言いたいですね。

ーーそれだけ辛い過去があったからこそ、たいちゃんは強くなったんですね。そんな暗い過去があったなんて全然感じなかったです。

僕は笑顔でイベントに参加したり、めっちゃ人に会ったり、それにいつも”幸せ”なんて言っているから、ただテンションの高い人間やと思われるんですよね。でもこれからは過去も打ち明けて、誰の心にでも寄り添っていきたいですね。

だって、僕が人に捧げることができるものは価値観なんですよね。僕は何か一つのことを成し遂げたことはなくて、特に話せることはないですし……。
やけど、人生を通して大勢の人の心に触れてきたからこそ話せることが沢山あります。”人”というものに関しては、本当に自信を持って言えますね。

『自分には何も無い』と誰かとの比較や勝ち負けで考えるのではなくて、僕は人生の中で得た価値観を捧げることができると思っています。

ーーたいちゃんは『人は人、自分は自分』といいますか、”霊河太樹”を持っていますよね。

それは仏教の思想からきているかもしれないです。

僕のお寺の宗派でもある浄土真宗系って『正しい宗教とは、すべての宗教に手を合わせられる宗教だ』という考え方なんです。その考え方は対個人や対組織に対してもできる考え方ですし、何かを否定するのではなく、自分も相手も受け入れることが大切なんやと思いましたね。

そういう意味でも僕は感情論かもしれませんが、今ではどんなに懐疑主義な方たちにも認めていただけたり、たくさんの人と対話をして、そうして確固たる自信にもなっていきましたね。
仏教はこういった大切なことを教えてくれましたし、みんなも少しでも宗教に触れれば、物事の捉え方や価値観が変わるキッカケになるのではないかなあ、とは思いますね。

たいちゃん

幸せと、仏教のハードルを下げたいんです。

あなたにより素敵な幸せを、あなたにより素敵な環境を。

ーーやっぱり、たいちゃんの生き方と仏教は切り離せないんですね。将来はお寺の跡継ぎになるわけですが、お坊さんとしての夢はありますか?

最も幸せな”最幸の”お坊さんであり続けて、みんなの幸せを倍増させていきたいですね。

僕は人の幸せのハードルを下げたいんですよ。自分が住職になった時にも、自分に関わっている人に幸せであってほしい、『今、この一瞬が幸せや!』と感じてほしいんです。そのためには自分が幸せでなければ人を幸せにできないと思うからこそ、自分自身が最幸であるべきやと思っています。

そうしてお寺としては『福井に行くならあの玄性寺にいきなよ!』と選ばれる観光寺になりたいです。この2つが、僕の使命やと思っています。

ーー”使命”だと言えることからも、たいちゃんの覚悟も感じられますね。

なにより幸せを感じる心が出来上がっていて、自分が幸せだからこそ、達成できると思っていますね。人の心に触れる”対話”の面では自信がありますから、これからもいろんな経験をして引き出しを増やしていきたいと思っています。

だって、勉学ばかりの人の”御縁”と、旅してたお坊さんの言う”御縁とでは重みも深みも違うと思いませんか?経験に加えて宗教を学ぶからこそ、おもろい説法もできるんですよ。

そうして子ども達に対しても、面白い大人が子どもに面白い人生を教えたら素敵な子どもが育つ思いますし、教育にもお坊さんという立場から関わっていきたいですね。

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仏教フェスをやりたいんです。

父を越えたいからこそ、自分にしかできないエンターテイメントに。

ーー仏教におもしろさを求めるところが、今までのイメージを払拭していますよね。そのぶっ飛んだ考えはどこからきたのですか?

父さんがとにかく凄すぎるんです。説法も面白くて、説法にアンプとギターを持ってくるんですよ(笑)。
地元では”歌うお坊さん”として有名で、作詞作曲を手掛けた曲がNHKの”みんなのうた”に採用されて、テレビ局から注目されたくらい実力があるんです。
こうして世の中に実際に評価されている自慢の父さんなので、『一生涯かけて越えるべき壁はこの人なんやな』と思っています。

そんな父さんと同じやり方では超えられないからこそ、僕のやり方で”エンターテイナーのお坊さん”でありたいんです。今までの出逢いや、旅やイベントで認めてもらえたり……、父さんの出来なかったことしてきたからこそ、その経験を活かしていきたいですね。

例えば、説法を聞きに来た人たちに『このお坊さんにアツいな!』『おもろいな!』って思ってもらえて、みんなが口角が上がっちゃうようなものを贈りたいです。まだまだまだまだ、未熟ですけどね(笑)!

ーーやはり、お父さんもキレッキレなんですね(笑)。エンターテイナーという表現にもびっくりしました。

僕の中では、お寺はステージで、お経は楽曲で、お説法はMCなんですよ(笑)。そう考えたらめっちゃ面白くないですか?

お寺って、一般的には堅苦しいイメージがありますよね。そういった縛りのある環境が昔は嫌いやったけど、逆をいえば自由にやれるんやって気づいたんです。嫌で嫌で仕方がなかった環境で、自分なりのお寺のカタチを創っていきたいんですよ。

その直近の願望としては、仏教フェスをやりたいんですよね(笑)。

ーー仏教フェス……なんだかとんでもない願望が出てきましたね(笑)。めちゃくちゃ楽しそうじゃないですか!

まだ構想の段階ですが、来年の桜の季節か紅葉の季節に、浄土真宗の総本山の西本願寺でやりたいなと思っています。これは将来的に、仏教界でもめちゃくちゃ僕のアンチが増えるか、めちゃくちゃ支持者が増えるかの両極やとは思います。

それでも宗教離れと言われている世の中に向けてやっていきたくて、メリットもたくさんあると思っているからやりたいんです。それにこんなイベントをいち学生が成功させたら、宗教界に激震が走るかもしれませんよね(笑)。

スタッフは黒衣に身を包み、仏教を身近に感じられる企画をしたり、ちなみに会場に流れている音楽はもちろんお経ですよ(笑)。そこには家族を呼びたいし、父さんに歌ってほしいなと思います。きっと仏教に対するハードルも低くなって、みんなが親しんでくれるキッカケを創りたいですね。

この仏教フェスは、僕の覚悟です。

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『出逢ってくれて有難う!
瑶のお陰様、もう二度と来ない20歳の10月2日も幸せです!!』

インタビュー後にくれたメッセージが
たいちゃんの声になって脳内再生される。

 

苦しみがあったからこその強さも知り
彼は本物ハッピーボーイなのだ、と実感するわけだ。

こうしてこれからも、笑顔で幸せを贈り続け
仏教の未来と戦っていくのだろう。

だけど困難なんて、なんだって良い

ハッピーボーイは今日も幸せなのだ。

Twitter:@taikinta31

Facebook:霊河太樹(Taiki Yoshikawa)

【文・写真:三宅瑶