あさみさん

 

「鴨川デルタに、巨大なショートケーキあったんやけど!」

ネットを騒がす一大事が
ここ、京都の出町柳で起こった。

 

『鴨川デルタ』と呼ばれる三角州は
いつも散歩やランチをする人で賑わっている。
 

その三角州の上に
巨大な三角形のショートケーキが現れるというのだ。

 

謎が深まるミステリーの仕掛人は
一体、だれだ?

 

 

重光あさみ
『Fochaca』映像ディレクター &デザイナー、『Granewton』発起人 。
フリーランスデザイナーを経て、クリエイティブユニット『Fochaca!』にて活動中。京都・神戸を拠点に映像の企画制作を主に様々なデザインやディレクションを行っている。

 

「おもろいなあ。」と笑ってほしかったんですよね

現れたのは、清楚で素敵な女性でした。

 

――お仕事は何をしてらっしゃるのですか?

もともとはフリーランスでデザイナーをしていました。そこからスーパーエンジニアのテイト・クリストファーに出会い、彼の会社に新しくクリエティブ部門をつくってもらい、そこをFocha!として、現在では制作に集中しています。

今までずっとCMや広告など、プロモーションの映像媒体が好きで、デザイナーよりは映像をメインでやりたいと思っていました。おもしろい企画作りも好きなのですが、媒体としての映像が好きなんですよね。

だから、どデカいショートケーキも作って置いたりしちゃうんですよ(笑)。

 

――あの巨大なイチゴのショートケーキも、映像に使ったのですか?

プロモーションビデオの撮影のために作ったものなんです。

テクノポップアーティスト『spoon+』さんの『イチゴオンザショートケーキ』という曲で、イチゴヘアーをしたアーティストさんがダンス踊っていて、後ろでショートケーキが回っているPVを作ったんです。

(http://www.youtube.com/watch?v=ehaRdvNTmmw)

 

――それがどうして、ショートケーキを置いてピクニックすることになったのですか?

撮影後に巨大ショートケーキをどうしようか悩んでいた時、ふと私が「八坂神社でケーキ神輿をやりたい!」と思いつきました(笑)。いかつい男の子たちに担がせて、「いちご!いちご!」なんて言いながら京都の街を練り歩いてたら面白くないですか(笑)?それを新聞に取り上げられるくらいになって、みんなが見て「おもろいなあ。」と笑ってほしかったんですよね。 

そしてこの案をメンバーに言ったところ、神輿には費用もかかるし、まずはみんなの反応見ようとなったんです。鴨川デルタは360度見渡せますし、自然な風景の中に「なんでケーキが置いてあるの!?」ってなるのが面白いと思い、実行することになったんですよね。

そのときに何をやろう?となった時に、ピクニックしたいと思っていてメンバーがいて「じゃあ、ケーキを置いてピクニックしちゃおう!」という風になりました。

 

――ケーキ神輿もなかなか見たいですね(笑)。初めてピクニックをした時はどうでしたか?

200人もの方が来てくださって、Twitterでの反応もすごかったですね。「出町柳に巨大ショートケーキあるんやけど!!」とか、写真つきで投稿されて話題になりました。そこで『これは面白い!』と思い、毎月22日に固定することにしたんです。

マス目のカレンダーを見ると、毎月22日の上には、必ず15日があって、15を違う読み方にすると『いちご』ですよね。カレンダーで上に『15(いちご)』が乗っているから、22日はショートケーキの日なんです。

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ショートケーキの、魔力があるんですよね。

目に見えない、素敵な人を寄せつける引力。

 

――とても分かりやすくて絶対に忘れませんね。このピクニックの名前『Granewton Picnic!(グラニュートンピクニック!)』の由来は何ですか?

『グラニュートン』とは、『グラニュー糖』+『ニュートン』の造語なんです。

運営しているメンバーも団体としての名前をつけて、このショートケーキピクニックの名前にしていこうと思い、ショートケーキやしお菓子と絡めて名前を考えていこうとなりました。

甘いものを食べると頭が活性化されて、新しい価値観やおもしろいことを生み出すキッカケになりますよね。そして万有引力という新しい発見をしたニュートン。グラニュー糖、ニュートン……、「グラニュートンだ!」といった発想で決まりました。

 

――今日もたくさんの人で賑わっていましたが、集客などはしていますか?

いえ、してないんですよ。テレビや新聞などにも取り上げていただいたり、Yahoo!の検索トップにのったり、メディアの力もあって広報を打たなくても人が来てくれるんです。

それに、お客さん扱いしたくないんですよね。こちらから楽しみを与えるということではなくて、来てくださる方々が自分たちの楽しみ方で楽しみに来てほしいんです。

 

――こういう面白いイベントなら若い人が多いイメージでしたが、年齢もバラバラですよね。

びっくりしますよね(笑)。赤ちゃんからご老人まで年齢も関係なくて、それに温かくて良い人しか来ないんですよ。

こういったイベントは、何かおもしろがっていたずらしにくる人が居るものなんです。鴨川で他にイベントしていた人も、イベントを続けて行くのが難しくなったケースもあるようで、最初は心配していました。

それも含めて、ショートケーキで本当に良かったと思います。ショートケーキはお祝い事とか、ハッピーなときにしか出てこないからこそ、かわいくて楽しい印象を与えてくれるんですよね。モンブランやチーズケーキだったらみんな寄ってきてくれなかったように思います。

1年間やってきましたが一切そういうトラブルが無くて、『これもショートケーキの魔力やな』なんて思っています(笑)。

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疑問がキッカケになって、コミュニケーションが生まれるんです

『なにこれ!?』で生まれる、新しい価値観。

 

――いざピクニックをやってみて、気づいたことはありましたか?

ショートケーキって、京都らしいからとかそういった意味が全くないですよね。

みんなショートケーキが置いてある意味が分からないから、意味を知りたくなって寄ってきてくれるんです。そしてただのピクニックだと知って、また驚かれるんですけどね(笑)。

疑問がキッカケになって、新しいコミュニケーションを生んでくれているのだと思うと、ショートケーキで良かったです。

 

――確かにこれが八つ橋だったら、「京都のPRかな?」と勝手に納得して思っちゃいますよね。

日常生活に意味のわからないものを置いたり衝撃を与えることで、人は新しい価値観が生まれると思うんです。

しかも私、大学時代に実際に街中に巨大八つ橋を置くプロモーションがしたくてプレゼンしたんですよ(笑)。結局はできませんでしたが、代わりに巨大カタツムリを作って京都市内に置いてました(笑)。人がどんな反応をするか観察したり、『なにこれ!?(笑)』という反応が好きなんですよね。

 

――あさみさんは、『おもしろいなぁ』と思ったものをみんなで分け合いたくなる方なのだと感じました。

それは昔からかもしれないですね。幼い頃に家族旅行でシンガポールへ行った時、私は持っていたアンパンマンの人形セットを、嬉しいあまりに飛行機の中で出会った子にプレゼントしまくっていたらしいんです(笑)。そしていつの間にかアンパンマンしか残っていなくて、ショックを受けて、一部回収に行ったらしいです(笑)。

今では「おもしろい!」「なにこれ!」ってみんなが思わず騒ぎ出しちゃうようなことをしたいんです。そこから『ピクニックが無くなったら寂しい』と思われてしまうくらい、やっていきたいですね。

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人が居るからこそ、喜ばせていきたい

人と人との、化学反応。

 

――Granewton Picnic!も一周年になりますが、得たものはありましたか?

得たものは、繋がりですね。地域の人と仲良くなることができましたし、年齢層のばらばらで、普通だったら繋がらなかった人たちと出会うことができました。今のように繋がらなかったら、ここまで楽しくなかったと思いますし、いろんな人が出会って化学反応の連鎖が起きるのを見ていても嬉しいですよね。。

 

――つい出会いを求めてしまう今の時代だからこそ、GranewtonPicnic!は心地いいのかもしれませんね。

そうですね。来てくださった方にもよく「不思議な場ですね!」と言われます。誰ひとりとして出会いを目的にしていないんですよ。自分で楽しさを見いだして、いろんな楽しみ方をしてくれているんです。「おもろい人いるかなー?」くらいの気持ちで、誰も無理していないからこそ、自然に仲良くなっているのだと思います。

そして無意識のうちに仲良くなるので、「あ、名前聞いていませんでしたよね?」なんてことが当たり前なんです(笑)自分で見ていても「ここって変な場だな~……。」と思いますよ(笑)。

名前とか肩書きなんて、どうでも良いんですよね。

 

――これからもGranewtonでしていきたいことはありますか?

とにかく、面白いことをやっていけたら良いかなあと思います。ショートケーキももちろんですが、私にとっての『面白いこと』に共通点は、誰かに驚きを与えたり、何か反応があることなんですよね。

人がいるからこそ喜ばせていきたいという想いを大切に、もっと面白いことを京都から発信していきたいですね。

 _MG_7204(一緒にジャンプ!!)

 

ことばでも、ビジュアルでも
新しい価値観に触れた時に、人間の心は大きく動くものだ。

この世の中に衝撃の出会いは
きっともっと、
たくさんあるのだろう。

 

日本人の、世界の人々の心を動かす、この京都から
おもろいことを、京都から。

笑顔の仕掛人は、まだまだ暴れ足りないようだ。

 

Facebook:重光あさみ
『Focha!』HP: http://fochaca.tumblr.com/

  

【文・写真:三宅瑶