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「患者が主体的に行動して社会に復帰する」

社会と患者との間に入るクッションような存在を目指して。

 

現在立命館大学の二年生で、『Tくるー』の代表でもある田中伶奈さん。
主に京都を拠点として活動しており、入院児童の社会復帰のサポートを行なっている。

 入院によって周囲差を感じ、学校への不安が生じる。
それは最悪不登校をも招く。
これを回避する為に入院中はメンタルフレンドや家庭教師の派遣
退院後は補講を実施し、不安を取り除くサポートを行う。

『Tくるー』は学校へ無理なく復帰できる様に、
子供と社会のクッションになれるような団体を目指している。

 

 

 

生まれてすぐの大手術

 

 

「長期の入院から退院して院外の生活に戻った時って、
海外旅行から日本にも戻ってきたときの感覚に似ているんです。」

 

伶奈さん自身も長い間心臓の疾患のために入院されていたそうだ。

 

「私は生まれてすぐ心臓の疾患が発見されて、30時間にも及ぶ手術を受けました。
 その手術中に輸血が必要になってしまったんですね。
 でも、深夜で院内にもほとんど人がいなくて危機的な状況でした。」

 

そんな真夜中にも関わらず
多くの協力者が名乗りでて下さったのである。

 

「実は病院のとなりが団地でして、そこに住んでいる方々が名乗りでて下さったんです。
 その時に団地の方々は隣が小児心臓疾患を専門に扱っていることを知ったそうなんです。
 そしてそれをきっかけに団地の方々が部屋の一室ををかりて下さって、
子供のお見舞いにきた親に向けて
安価な宿泊施設として利用できるようにして下さったんです。」

 

けれども伶奈さんがそのことを知ったのは
14年後の高校受験の時だった。

 

「私、本当に勉強してなくて高校受験や学校のことで落ち込んでいた時期があったんです。
 でもそんな時に主治医の先生から検診のときに、その話を聞いたんです。」

 

入院をしていたことにより
周りから遅れをとっているという思いがあったそうだ。

 

「変な言い方ですけど、まだ未来がある、やり直せる。そう思えるようになったんです。
 そこから必死で受験勉強して高校に受かる事ができました。」

 

 

 

大人になってから

 

「団地の方々に何か恩返しがしたいという思いから今のこの活動があるんですが、
最初は就職して、仕事が落ち着いてから活動をはじめようと思っていました。」

 

偶然にもある団体でこの将来の夢を語る機会があった。

 

「そこで大きな共感を得る事ができて、それに後押ししてもらう形で今の活動が始まりました。」

 

“何をするにも早すぎる事はない”

伶奈さんはそう語ってくれた。

 

 

院内ファッションショー

 

医療系の団体やNPOと情報交換をしたりと
Tくるーの活動を進めるために様々なことに取り組んでいる。
そんな中で病院と一緒に取り組んでいる活動があるそう。

 

「患者さん主体のファッションショーに取り組んでいます。
 それのためにリハビリメイクを習いにいってるんです。」

 

リハビリメイクとは
手術後等の傷跡を自然に隠すメイク方法のことである。

 

「そのリハビリメイクをすることで、
普段傷跡を気にして着れない洋服とかも着れるようになって、おしゃれのはばが広がるんです。
 後、それを続けることで精神的な効果もあって
傷跡をメイクで隠さなくても気にならなくなったり、
性格があかるくなったりする効果もあるんです。」

 

入院中はパジャマなど着ることの出来る服が限られてくる。

 

「例えば病院の中に赤い絨毯をひいたりして、
ランウェイみたいにしてもそれだけでいつもと違った雰囲気ができるんです。
 普段とは違うおしゃれを楽しんだり、
みんなの前にでることで『外に出てみよう』って思えるきっかけになればなって思っています。」

 

10月の開催を目標に頑張っているそうだ。

 

「後は、週に一回ぐらいのペースで小学校にニーズ調査に行っています。
クラスにどのくらい入院していた子がいるのか、
身体的に病弱な子はどのくらいいるのか等を聞きにいっています。」

 

他にも退院後の支援をしている病院を見学に行き
様々な場で自分の活動のプレゼンをしたりと日々夢に向かって奮闘している。

 

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 プレゼンを行っている様子

971100_529226697139558_657427911_n 医療団体との交流を行っている様子

 

伶奈さんの思い描く未来

 

「実は目的が二個あるんです。」

 

伶奈さんが生まれてすぐ受けた手術に関係がある。

 

「本当は会ってお礼がしたいんです。私に輸血をしてくださった人たちに。
 でも私が輸血を受けたのは何年も前だし、
情報保護の面から輸血元はわからないようになっています。
 だから、会えなくてもその人たちに自分らしく恩返しができるように
今この活動に取り組んでいます。」

 

二つの強い思いが伶奈さんを動かしている。

 

「具体的には大学在学中に一つのモデルケースを完成させたいんです。
 入院が決まってから退院してから復学するまでの計画を
しっかり練って成功させたいんです。
 将来的には、この活動を継続できるようにしていきたいんです。
NPO化するのか、それともボランティアでするのか形はまだ決まっていないですけどね。
 だからやっぱり大学のうちにモデルを完成させることが目標です。」

 

そのために情報交換やニーズ調査、病院見学など
今は準備をしている途中である。

 

「入院患者が主体的に行動できるように、
笑顔で社会に飛び出せるようにお手伝いしていきたいですね。」

 

 

 

 

入院していても、していなくても

誰もが 平等に学べる機会を。

誰もが、自分のしたいことができる社会に。

  

社会と患者との間に入るクッションような存在を目指して。

 

Facebook:田中伶奈

 

【文…酒井美佳】