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松尾素直さんこと、通称『ばっち』


『未来の社会のあるべき姿を考える』という理念のもと、
自然と人の共生を軸に持続的な啓発を行う
MIRAI EXPO(https://www.facebook.com/miraiexpo)の代表を務め、
フェアトレード系団体のSee-Sawの活動や、
社会にムーブメントを起こす活動を多くこなしている。

 

そのうえブログを通して学生に価値観を与える彼を
「なんだかすごい人だ」とは思うものの
ただただ謎が多いのだ……。

何を考え、どう生きてきたのか
自分からは多くを語らない。

 

でも、だからもっと知りたい。

関西の学生を代表して、ばっちさんに迫る。

 

 

 

 

自己紹介に困らなかったですね

 

 

全てが、ばっちの、トレードマーク。

 

 

——いつも多忙そうなばっちさんですが、たくさん活動する中での秘訣はありますか?

 

ま ずはショートスリーパーだったことですね。別になりたくてなったんじゃなくて、その頃恋愛に病んでて、睡眠障害からのショートスリーパーになりました (笑)。

 

3時間睡眠が当たり前で、5日間寝ないとかもありましたね。エジソン、ナポレオン、ばっち、みたいなかんじで偉業成し遂げるんちゃうかなと思って ました(笑)。不眠症が武器って、病気なのに(笑)。


やから最近、良くいえば寝られるようになってきたんですよ。金髪から黒髪になっちゃったし、超人からの常人になりました(笑)。

 

 

——そういえば金髪でしたもんね。それも何か理由があったんですか?

 

そ れも当時好きな子がいて金髪好きって言っていたんで……(笑)。

 

これもですが、1年2ヶ月の間金髪やったおかげで、キャンパスでも『金髪の人』で覚えても らえましたね。後輩に至っては金髪姿しか知らん子も多いくらいやし、自己紹介なんかで『右耳聞こえません』とか書いていたら、ツッコミどころ満載らしくて ええリアクションされました(笑)。

 

 

——えっ、ばっちさん右耳聞こえないんですか?

そ うなんですよ。阪神淡路大震災のときに髄膜炎にかかって、1週間意識不明やって、死ぬか生きるかで意識戻ったんですよね。お医者さんから回復するかすら心 配されていたけど、寝たきりからなんか座れるようになって、なんか歩けるようになって、走れるようになりました。今ではスキップもできます(笑)。

 

後遺症 で右耳だけ聞こえなくても、いろんな活動をしても支障なかったです。まあ、僕の右側から何か言って来ようものなら無視ですけど(笑)。

 

こんなにアツく活動的な人間になるとは、高校の頃の自分からは想像できないです。でもどんどん変わっていって、1年間の休学をしたのも、自分の世界を広げようと思ったからなんですよね。

 

それもきっと、自分が大学生じゃなかったからかもしれないですね。

 

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撮影編集:清原明音さん

 

 

 

俺、大学生じゃなかったんですよ

 

大学は、自分の生き方を選べる場所なんだ。

 

 

——あの、それは『高校生だった』という意味では無くてですか?

 

あ、 そしたらみんな大学生じゃなかったですね(笑)。僕はもともと整骨院で働いていました。

 

整骨院ではおじいちゃんおばあちゃんたち相手に楽しませようとした り、それは楽しかったんですが……、ふと「本当に整骨院で働きたいのか?」と聞かれた時、整骨院だからこそ得られる何かの魅力より、大事にしたいものがあ るのではないかと思いました。自分の生き方で、もっと楽しいものを見つけたかったんですね。


『自分が持っている世の中への不満を、自分なら変えられる』と思ったんですよね。自分がやりたいことや好きなことはいっぱいありましたが、『したいこと』 というより『どんなかんじに生きたいか』を追求したいと思ったんです。その中で自分の生き方を選べるのが大学だと思い、大学へ行こうと思いました。

 

 

——そんな知られざるエピソードがあったんですね……!念願の大学に入学して、見つかったものはありましたか?

 

『僕は世の中の社会の仕組みを作る側の人間になりたいんだ』ということが見つかりました。そして志していることは『世界平和』なんです。

 

自分がテレビを見ていても、政治や途上国、震災や経済、少子化だったり……『もっとこうだったらいいのにな』と何となく思うことが、自分が納得するように、みんなが幸せになれるような社会の仕組みを作り続けていきたいんです。

 

 

 

『やりたいことが見つからない』って、『全部がやりたいこと』ってことですよ

 

既知の外には無知がある、無知の外には未知がある。

 

 

——『世界平和』とはまた大きな夢ですが、ばっちさんなら実現できそうですよね。

僕は、遠くに目指すものがあって、『抽象的で夢っぽい遠い夢』だからこそ、どんなことでも照らし合わせられると思うんですよ。いろんなことを絡められるのが楽じゃないですか?

 

よく「何かしたいけどわからない。」とか「このままでいいのか焦っている。」という子を見ますが、『こと』を追いすぎては答えを見つけられないと思うんですよ。『やりたいことは見つからない』って、逆説的だけど『全部がやりたいこと』ってことなんです。

 

僕 は活動の中心がフェアトレードや環境のように思われますが、別に元々それをやりたかったわけではないんです。でも、やったことで『自分はこういう考え方を するんや!』と気づいたんですよね。何ごとも素直に本気でやったら、自分の気質に気づくんです。『こういうことにやりがいを感じる人間なんや!』というも のに出会ったら勝ちなんですよ。

 

 

——分からないから動けないのも分かりますが、動かなければ何も見つからないですよね。

 

高 校までの狭い世界から、大学という広い世界に飛び込んで、将来の生き方を決めなければいけないとなったら……、どうやって探せば良いか分からないですよ ね。だって、僕たちはほとんどのことを知らないじゃないですか。人間は知っていることでしか判断できないですもん。その中で『何かせなあかん』と焦って も、分からなくて当たり前です。


誰もが結果や生産物を求めがちですが、生き方は絞り込むより『何もないところにいっぱい材料を集めてくる』というかんじなんですよね。

 

 

——なるほど、大学生活が材料集めの場所だったんですね。

 

大 学4年間は、自分を知れる最初で最後の4年間やと思っています。大学生は自分で勝手に探せるし、選択できるんです。ただそれは、周りに流されてなあなあに 生きる『大きなベルトコンベア』から自分の足で立ち上がって、自分の手で掴んで行こうとしてこそ、自分を見つけられるんです。

 

その過程で見つけた世の中のいろんなことから判断できるんですよ。『こう生きたい』が見つかって、『こう生きたい』と想像できて、はじめて自分の生き方が選べるんです。

 

 

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僕は、思考のストップが怖いんです

考え続けるから、与え続けられるんだ。

 

 

——ばっちさんの考え方は、本当に説得力がありますよね。自分の考えに確信を持つキッカケはありましたか?

 

いっぱいありますよ。論理的根拠でなくても、経験したからこそハッキリ言えることがあります。

 

フェ アトレード系団体のSee-Saw(シーソー)や、MIRAI EXPOでの活動で社会的なことをしてきましたが、みんな応援してくれるんですよね。同じ ように疑問を持って変えようとしている人がいっぱいいることに気づけましたし、それ以外の人でも共感してくれるんです。

 

そういう経験を通して、『僕が思っ ていることは間違っていないやん』と実感してきました。大人の人も、みんな口をそろえて「若者が頑張らなあかん!」と応援してくれるんです。

 

 

——『MIRAI EXPO』は代表を務めてはるから思い入れも強く、それこそ自信になるのかもしれませんね。

 

そ こから今後の生き方のイメージが掴めたのが収穫ですよね。MIRAI EXPOの理念も『未来の社会のあるべき姿を考える』と決まって、これを考えること を大切にしながら『自然と人の共生』を軸にしていこうと考えています。今年はまだ、イベントをするかは分かりませんが、持続的な啓発し続ける活動をしてい こうと思っています。

 

と いうのも、何かと「新しい価値を世の中に生み出したい!」と言う人は、あくまで経済活動を軸とした社会のくくりの中で考える人が多いという印象なのです が、僕はあり方そのものを見直したいんです。人と自然がバランスをとって成り立つ世の中で、ビジネスという手段を使うべきやと思うんです。

 

 

——その想いも、MIRAI EXPOを形づくる上で活かされているのですね。

 

休学してからも『それで生きていく』というくらい本気でやってきて、もし中途半端だったらそういう考えは生まれなかったと思います。

 

去 年のMIRAI EXPOでは、できるだけ世の中に発信しようと思っていましたしね。学生のままごとになるのが嫌だったんです。『学生』というよりは『社 会における若者』としてやりたかったですし、やからメディアも巻き込んで、「やるからには目立とうぜ!」と考えていました。

 

ここでは、社会に影響を与えられなければ意味が無いと思っています。『社会の仕組みや価値観を変える』ということに本気にならなければ、“僕の”やる意味はないと思っています。

 

 

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——ばっちさんは、とことん追求してはりますよね。

僕 は、思考のストップが怖いんです。

 

MIRAI EXPOでは環境を軸としたテーマで活動して楽しかったですが、それは『自分は環境がめっちゃ好きで楽し かった』ということではないんです。そこで自分は何が楽しくて、社会においてどうありたくて、人とどんなことをしたいかが分かるレベルになるまで、本気で そのことに取り組めたのが楽しかったんです。


やから僕は、「やっていることそのものが楽しい!」でストップするレベルではダメなんですよ。その程度では自分の中に残りません。世の中に価値を与えた り、自分の経験として残ったり、『自分だからこそ、こうやっていく!』というものを出してくべきなんです。

 

 

——『本気で取り組む』って、当たり前のようで出来ていないものですよね。私は出来ているのか、と反省しました……。


こういう考え方で生きるのが絶対だとは全然思っていないし、自分自身はそうじゃないと嫌なだけなんです。僕、変わってますからね(笑)。


それに、こんな立派に言っていても、毎日悩んでいますよ(笑)。仕事仲間ではなく学生の仲間であって、みんなそれだけをやっているわけではないし、その子 たちの人生を買っているわけですから。『いい環境を提供できているのかな?』『その人の人生の為になっているかな?』と考えては、責任を感じます。

 

それでも僕は、今までもこれからも能動的に積極的に、貪欲に生きたいです。素直に生きたいです。

 

 

 

 

「22年5ヶ月経って、名前の通りの人間になったと思いますね。」

 

すべてを素直に本気でやってきたばっちさんだからこそ
ことばがとても強く、響いてきた。

 

『ばっちの哲学』は、これからも進化するのだろう。
そして人々に希望を与え、世界を平和にしていくのだと思った。

 

 

Facebook:Motonao Matsuo Bacchi (ばっち)

Twitter:@bacchi1224

 

【文・写真:三宅瑶】