私は故郷の石巻市に足を運んだ。私と同年代の高校生が切磋琢磨をしていると聞いて、刺激を受けたかったのだ。

私が今回取材に選んだ場所。それは高校生によって運営をしているという噂のカフェ。その名も「」(かぎかっこ)。石巻市役所の一階、正面玄関を入ってすぐ右側。

笑顔が溢れコーヒーの匂い漂うこのカフェでまずは現場の大人スタッフの田口裕也さんに 開店した経緯とこれからについて直撃した。

【インタビュアー…西村歩】

――高校生でカフェを始めようと思ったきっかけを教えていただいてもよろしいですか?

このプロジェクトを始めた理由ですが、震災を受けた後は支援団体が石巻に入ってきて活動していました。それらは小学生や中学生を対象とした支援などが多かったりしましたが、高校生を対象にした支援が少なかった点が、高校生を対象にした理由です。
また、この石巻の高校生を見たときに、大学に行き、就職をするという点でどうも「石巻市外に行く」事が多い点があります。石巻には大学は一つしかありませ んし、就職と言った点でも仙台や東京へ行ってしまうことが多いので、「若者の石巻離れ」が顕著です。


そういった点から高校生に職業活動支援をすることによって、ゆくゆくは高校生が卒業しほかの都市に就職したとしても、「」に戻ってきてOBとして活躍することが出来るような「居場所」にしていきたいと思っています。

――このカフェについて教えてください。

いしのまきカフェ「  」プロジェクトが始まったのは2012年の6月24日に始まりましたが

最初に始まったのは、株式会社フィリップモリスジャパンさんと日本財団さんの「石巻で高校生の自立支援を行いたい」という想いからでした。


私はその時、NPO法人み・らいずで働いていましたが、元々み・らいずは震災が明けて一週間後から代表が関わっていて、ここで中高生の居場所づくり事業を行っていました。


そこで、同じように石巻で活動を行っていた日本財団さんと一緒にプロジェクトを立ち上げ、

石巻で高校生の支援をしましょうというお話になり、み・らいずで出来ないところはNPO法人スマイルスタイルジャパンさんやNPO法人Co.to.hanaさんと一緒に行い、このカフェを立ち上げることが出来ました。


それぞれの団体の専門的な分野を活かした運営となっていて、とても楽しいです。

――このカフェの特徴を教えてください。

そうですね・・・特徴・・・と言えば高校生が運営しているということですね(笑)


一番大切にしているのは高校生らしさを出すということです。笑顔を大切にすることや、
高校生らしく店に黒板を置いたりすることで店の内装を学校らしく。
また、お客さんに試作品のメニューのお値段を決めてもらうお試しメニュー制度もありますが、それらも「受験生メニュー」という名目で、お客さんから良い評価を貰えるようになったら「合格」で正式なメニューに昇格できる。という仕組みにしています。
高校生が店員をやっているのだから、店の中も高校生の雰囲気で満たす。ということを大切にしていますね。

(受験生メニューは実際にお客さん自身が値段を決め、評価をする)

――田口さんは現場の担当ですよね。


はい。しかし私は高校生ではないので、高校生がメインに運営できる為のサポートを行っています。私はどちらかというと、脇役でいたいんですよ(笑) お金 とかの面は現場ではないスタッフの方が頑張って下さっているので、私は現場のサポートと高校生のアイデアがいかに店に生きていくかを考えてサポートしてい ます

――この店は田口さんを「おやびん」と呼ぶようにニックネームで呼び合うのが気になりました。

実際、高校生はそれぞれ学年や学校がバラバラです。だから、先輩後輩のような上下関係が「」には必要がないな。と思ってそれぞれをニックネームで呼び合っています。それと、呼びやすいということですね。前からニックネームで呼び合っていたので、自然と定着しました。

――あたたかみのあるシステムですね おやびんさん。

ありがとうございます(笑)

――では、高校生に伝えたいこととかありますか?

そ うですね。まず、「もっとやったらええやん!(笑)」ってことです。それぞれ面白いアイデアを持っていてこんなことしたい!とかあんな商品を出したい!と か、実際今のメニュー表も冊子状にしたい。とかアイデアは沢山あるんですけど、立場上、上の大人のスタッフがいて、下に高校生がいて、実際にわたしは中間 にいる。という立場ですが、やっぱりなんか大人の人は、「これをやるには、まずこういった段階を踏んで・・・」とかあるんですけど、でも高校生にとっては 「やりたい」という思いがあるけれど、次の一歩が踏み出せない。という戸惑いがあるんです。

で、私は高校生に、まずやってみたらいいやん!って思うんです。何事もチャレンジですよ!

――高校生が主体になって動けているかどうかは大切なポイントだと思います。


全部を大人の力に頼るんじゃなくて、まずは自分達で話し合って「こういったこと考えたから」で実践できるような、こんな感じにしたいですね。分からないところとか技術的に難しいところは大人にサポートを求める感じです。
私の理想は自分の業務を少しずつ減らして、最終的には高校生を完全に陰で支える役割になりたいと思っています。だって、高校生カフェですから(笑)。
あとは、高校生一人一人のアイデアを引き出す役割を行いたいですね。

――おやびんさんはどのようにこの店を拡大していきたいですか?


店を拡大したい。というか、意識が変わってほしいと思っているんですけど、全員が今思っているのが『「石巻」と聞いてどう思う?』って質問した時に、『ああ、「被災地」のね』って

思われたくないんですよ。実際、今石巻は復興に一歩ずつ進んでいますが、復興という言葉には当然、「被災地」という言葉がついてきます。それは事実です。
しかし、「石巻」と聞いたときに
『ああ、あの「高校生カフェ」がある所ね!』っていう風に皆が思ってくれるように、復興の先を目指して、一歩ずつ進んでいきたいと思っています。


高校生カフェは休日のみ営業している。

それは、高校生が学業に集中できるように。という

スタッフの心配りだ。


被災地に日本中からボランティアに来る高校生が口々に

『「」に来てみたい!』と言う。

それは高校生が一生懸命笑顔で接客をする姿に

心を打たれて、刺激を得たいからではないかと思う。

そんな人々を元気にする高校生店員に

次回、耳を傾けてみようと思う。

【文・写真…西村歩】