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今回のインタビューは、写真について学んでいる大学生、小澤侑生(おざわゆい)さん。

「素敵なもの」を追い求める彼女のアタマの中を覗いてみた。

 

 

小澤侑生(おざわゆい)

1991 年生まれ。北海道札幌市出身。日本大学芸術学部写真学科3年。フォトグラファーとして活躍する傍ら、2011年5月には東日本大震災復興支援チャリティー イベント「Power of Youth, Power of Art ~A4に想いをのせて~」を主催。好きな食べ物はアイスクリーム、オムライス、豆 乳など多数。

 

心のピントを合わせる

 

小澤さんは家にたまたまカメラがあったため写真を始めたという。両親や弟があまり写真を撮らないことも手伝って、家族の中では専属カメラマンに。そして次第にその活動の域は友人にまで広がる。

そんな彼女も当初、大学では国際系の学部への進学を考えていたそうだ。

中学生の時に職業体験でJICA(独立行政法人 国際協力機構)に伺った経験があり、それ以来国際協力に関心をもっていたからだ。

 

ところが高校3年の12月の暮れ、大学案内のWEBサイトで、日大芸術学部に写真学科があることを知り、直感で「面白そう!」と思い、志望校を変えた。

 

「写真に対して元来すごく強い気持ちがあったわけではないけれど、大学に入ってから写真にハマっていった感じですね。」

 

何が彼女を惹き付けるのだろう?

 

―― 写真にハマっていくなかで出来た、自分の軸みたいなものはありますか?

軸というほど高尚なものではないですが大切にしていることは、「伝わる写真を撮りたい」ということです。

私にとってアートはそれほど敷居の高いものではないのですが、興味のない人は本当に興味ないですし、そうでないにしてもアートというものがよく分からないと感じる人は多いと思います。絵を見ても、「すごく有名な人のものだからいいんだろうな」とか、「みんながいいって言ってるからいいんだろうな」という見方をする人はかなりいると思うんです。

そういう捉え方もひとつの楽しみ方としては”アリ”だと思いますが、私は人に伝わらないと意味がないんじゃないかとも思うんです。あくまで私にとってですが。

自分のおばあちゃんや小学生などのアートに詳しくない人が見ても「あ、いいね」と思ってもらえるような分かりやすい写真を撮りたいと思っています。

 

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 photo by OzawaYui model 彩也子

 

―― 分かりやすくて伝わる写真…。確かに芸術的なものって即時的に効果が出るものでもないし、ビジネスとしても扱いにくい分野かと思います。そういった面で置き去りにされて優先順位が低くなってしまっているということは現状感じますよね。

本当に極端なことを言えば、芸術はこの世になくても私たちは生きてはいけます。だけど、綺麗なものはキレイだなと思ったり、素敵なものを見てステキだなと思う時って心が動くじゃないですか。そのような体験が生活を豊かにし、より良いものにしていくと思うんです。もっと「いいね」と思う瞬間を増やしていきたいですね。

 

―― 「いいね」を生み出すツールが写真なんですね。ほとんどのケータイにカメラが付いてる現代、他人の言葉を借りれば、日本国民総カメラマン時代だと思います。そのなかで、小澤さんが写真を学んでる身として生み出せる価値というか、差別化のようなものはあるのでしょうか?

うーん、それは永遠の課題です。みんな自分にしかないものを撮りたいし、自分にしか出来ないことをやりたいというのは写真だけではなくて、仕事にしてもあると思います。

でもそれが難しい。写真をやって いても、特にデジタルカメラであれば撮った写真を加工などをしない限り、みんな同じに見てしまうことがほとんどです。何人かで同じカメラで同じ場所で撮っ てしまえば、その中にパッと見て誰が撮ったかわかる様な「自分らしさ」を写すのはとても難しいです。カメラは「選択の芸術」ですから、機材、被写体、構 図、露出、色味、プリントならば紙、インク、照明など沢山の要素を「選択」して、その積み重ねで自分らしさを表現していけなければなりません。

ですが、だからこそ自分のスタイルをを見つけていくのが楽しいし、それをずっと勉強していかなければいけない。日々考えていることです。

 

―― 永遠の課題だと言うなかで、いま見つかってることというかどんな想いでシャッターを切っているのでしょうか?

撮っているときはあまり難しいことは考えていないですね。日常のふとした瞬間とかで、「あ、いいな」と自分の心がピッと動いた瞬間を大事にしてます。すぐ に心のピントを合わせる。自分にしか撮れない写真を撮りたいという想いもすごくありますが、撮っている最中はあまり大きいことは考えず無心に近い状態ですね。

 

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photo by HARUNOBU NAGASE

 

Everything is up to me.

 

伝わる写真を撮るためには、感受性豊かであることが人一倍求められるだろう。

小澤さんはフォトグラファーとして活動する傍ら、国際NGOに所属し、また復興支援チャリティーイベントを実施するなど多方面で活動し感受性に磨きをかけてきた。

なかでも昨夏には2週間、フランスとイタリアへ一人旅に出掛けた。

 

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photo by OzawaYui

 

パリ、ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、アッシジ、ローマ…様々な文化と芸術に触れて帰ってきた彼女はその想いを次のように綴った。

 

「いつでも素敵な物を見つける目さえ持っていれば、世界はいつだってこっちを見てくれるから。わたしは死ぬまで知り尽くせない世界の真理を、それでも知ろうとし続けたい。」

 

―― この言葉がすごく印象的でした。ここの文意、真意を教えてもらえますか。

フランスとイタリアに行って、見てるだけで涙が出るような絵や、忘れられないような人との出会いが沢山あったんです。

それって、勇気を出して自分でチケットを買って、英語が喋れなくても未知の世界にあえて踏み込んだことから出会えたものなんです。

自分自身が素敵なものを見つけたいと思う気持ちと見つけられる目を持っていれば、世界はこっちを見てくれるかもしれない、自分のものになるかもしれないというのを感じました。

 

―― 気持ちの持ち方が大事なんですね。

 

私、高校生の時は、ずっと大人になりたくないと思っていたんです。

大人は仕事ばかりしているイメージで、つまらなそうだった。

 

でも、大学に入って素敵な大人に出会って以来、大人になるのが楽しみになったんです。

その時、素敵な大人がいなかったんじゃなくて、出会ってなかっただけなんだと思いました。だから、出会いたいという気持ちとそれを見つける目を持っていたら、価値観を変えられるような出会いに繋がっていくんだと思います。

 

なので全部結局、自分次第なんですよね。

 

―― 人生観にも繋がりますね。

 

そうですね、何をするうえでも自分次第だという思いは強いです。

 

高校1年の時北海道から神奈川に転校してきて、最初の一年間はすごく辛かったんです。

北 海道にいた時と、引っ越してきた先の環境がだいぶ違かった。友達も沢山いたのですが、何か物足りないと思う気持ちが強くて。自分がこう話したいことをなん で分かってくれないんだろうとか、なんで優しくしてくれないんだろうというように相手に求めすぎていた部分が強かったんです。

 

だけど、優しくしてほしかったら、まず自分が相手に優しくしてあげる。愛されたいと思ったらまず自分が愛情を与えてあげる。結局、自分から何かをするとか、自分で何かを見つけに行くという姿勢がすごく大事だなって今は思います。

 

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 photo by OzawaYui

 

―― 自分が与えた分、相手も与えてくれるかもしれない。

だから、最近つまんないなって思ったら、たぶん自分がつまらなくなっているんですよ。笑 最近楽しいなって思ったらたぶん、自分が楽しい人になっている。

出会う相手がどうのこうのじゃなくて、全部自分の気持ち次第なんですよね。

 

―― 自分次第という想いが強いなかで、これからどんな道を歩んでいくんでしょうね?

 

人が好きで、人を大事にしたいという気持ちが大きいので、早く自立して、周りにいる大切な人をしっかり大事に出来るようになるのが目標です。

そして将来的にはどんな分野でも、日本の文化や生活を発信するような仕事がしたいです。

 

海外のアートを見たことで、日本のアートの良さに気づきました。

イタリアの美術館の監視員の人と喋ったとき、その人が日本のことをすごく褒めてくれて。「日本のアートは繊細で素晴らしい」と言ってくれたんです。私はそのときまでは海外に行きたい思いが強くて海外に目を向けていましたが、改めて日本のことも考えるようになりました。

写真が好きだしずっとやってきたのですが、他の分野にも興味があるので日本独自の文化・生活を広く発信できる人になりたいです。

 

 

小澤さんがファインダーを覗き込む先には、分かりやすく伝わる写真で「いいね」が増えた豊かな世界があった。

そして、そんな世界を実現させるために、彼女は今日も何処かで”自分の目で”素敵なものを見つけに行く。

 

唯一無二の使命感をもった彼女の想いが、未来の文化を発信していくのかもしれない。

 

 

小澤侑生(おざわゆい)

Facebook:http://www.facebook.com/yui.ozawa.391

Twitter:https://twitter.com/y_u_i_3

Magic of Art:http://yui3.tumblr.com/

 

【文…長瀬晴信】