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玉井聖人さん、韓国名は金聖人(キム・ソンイン)さん。

自身が在日韓国人3世であり
今年5月に結成した『JKSA日韓学生協力団体』を立ち上げに貢献し
2000人の来場者数を記録するイベントを運営したという。

「在日である自分たちだからこそ、伝えられることがある」

胸に秘めたその熱い想いを、語り始めた。

隠し続けた過去と、生まれた在日アイデンティティ

自分の国籍について、悩んだことはありますか?

——聖人さん自身について教えてください。

僕は在日韓国人3世として京都で生を受けました。本名(韓国名)と通名(日本名)を持っていますが、大学3年生まで通名のほうを名乗っていましたね。

小さい頃は自分が周りと違う韓国人ということに対して良く思ってなかったので、中学までは自分が在日やということを隠して生きてきました。

 

——今のようにオープンな性格になったのは、どうしてですか? 

通っていた高校が京都の東九条の近く、いわゆるコリアンタウンの近くの高校だったので、その学校は在日の人が多かったんですよね。そこで在日という存在がごく普通になり、素直に言えるようになったんです。


その後大学に入学し、1回生の冬休みに海外を一人で旅してみたいという気持ちがあったので、地図も持たずにエアーチケットだけ買ってカリフォルニアへ二週間一人旅に行きました(笑)。今考えたらなんでそんな馬鹿な事をしたのかと思いますね(笑)。


でもそこで、僕は日本から一歩外に出ると『玉井聖人』ではなくなることを知ったんです。韓国のパスポートなので、呼ばれる名前も『キム・ソンイン』だったんですよね。

——不思議な状況ですよね。考え込んでしまいそうです。

「自分って何なんやろう。」と思いましたね。日本に生まれているけど、韓国国籍で、一歩国外に出れば韓国人で。でも、そこから自分の『在日アイデンティティを確立しよう』と考えるようになりました。

それまでは韓国に行ったこともなかったのですが、在日本大韓民国民団さんの『母国研修』というプログラムを活用し、韓国へ帰るキッカケになりましたね。

——初めての韓国はどうでしたか?

在日の学生達で行ったのですが、現地の方は在日韓国人に対して、同じ韓国人という意識より「日本人」だと思っている印象が強かったですね。複雑な気持ちになりましたね。でも、そうして韓国に行って感じたことが自分に響いて、在日として何かしたいという使命感が芽生えました。


日本の韓国への見方は、以前より良くなったといっても、まだまだ溝は深いんですよね。その溝を埋めるために、韓国人でありながら日本に生まれた在日の私たちだからこそ、日韓の架け橋になれるのではないかと思ったんです。


そして、在日としての思いと、学生として何か社会に貢献したいと思い、親友の「JKSA日韓学生協力団体」の立ち上げに全力を注ぎました。

『JKSA日韓学生協力団体』HP:http://wk-jksa.jimdo.com/

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「韓国人がかっこいい!」なんて、言われる日が来ると思っていませんでした

グッと近づいた今こそ、動かずにはいられない。

——韓流ブームなど、時期的にも良い環境ですよね。

そうですね。僕たちは在日として生まれ、『在日韓国人』という独特な立場で世の中を見てきました。

2011年、韓流ドラマやK-POPが大ブレイクしましたよね。紅白にもKARAや少女時代が出場したように、日本全国で、特に若者の間で韓国のイメージ が上がったんです。それまでの韓流ブームというのは、中年世代の方の支持だけでした。若者の間で韓国がブームになるなんて、それまでは考えられなかったですからね。

特にK-POPは若者によってブームになり、ムーブメントを巻き起こしたんやと感じます。

 

——学生レベルの力で出来る、と思ったことは何ですか?

文化とのふれあいを通してみんなに知ってもらい、友好の輪を広げるということですね。これからの将来を担う若い人々や学生だからこそ率先してやるべきことやと思います。

今、領土問題や歴史的問題によって日本と韓国・中国の関係性は決していいとはいえません。メディアでは反日デモなどが報じられますが、本当は色々な場所で日本との交流のお祭りなどが催されたり、報道されないだけで多くの人が日本との友好を望んでいます。

韓国や中国の事をあまりよく思っていない人は多くても、みなさん中華料理は好きですし、焼肉も大好きですよね?食文化、映画や観光など、そういった文化面では国境は無いんです。


歴史的事実は消えませんし、まだまだ解決していないことがたくさんありますが、歴史を乗り越えていかなければいけないと思います。私たちは大きなことはできませんが、草の根レベルで、少しでも多くの方に韓国、中国の文化に触れてもらいたいです。

 

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被災地支援は、継続しなければ意味がないんです

「次はいつ来てくれるの?」その笑顔が力になったんだ。

——JKSAではどのようなイベントを行ってきたのですか?

8 月に行ったイベントでは、日韓の友好関係促進と東北の復興支援という2つの目的を掲げ「2012 日韓チャリティーチュクチェin Osaka〜東北に届 けよう日韓の絆〜」を開催し、様々なアーティストに来ていただいたり、プルコギやホットクなど韓国料理の屋台を設けたり、東北の写真展を催し、募金活動もしました。

初めてのイベントということもあって不安はあっても、当日来場者数は2000人を超え、とても盛り上がって嬉しかったです。

 

——『その収益を東北に寄付する』という形なんですよね?

そうですね。メンバー自体が東北への関心が熱い人が多くて、日韓の友好の促進と同時に、学生の力で何か東北に出来る事はないかと思い、被災地支援を行いたい と思ってやっています。ただお金を寄付するだけでなく、物資支援とともに現地で小さなイベントを催して楽しんでいただき、繋がりを重要視した精神的サポー トを行っています。

被災地支援については、やってみて分かったことなのですが、継続しなければ意味がないんですよね。東日本大震災についてはメディアの関心が薄れていくけれど、JKSAのイベントでは毎回新しいことを加えながら続けていきたいと思っています。

——今後のイベントの予定はありますか?

今週末の1月19日土曜日に『2013日中韓文化交流フェスティバル〜輝かしい東アジアの未来へ〜』(http://wk-jksa.jimdo.com/)というイベントを控えていて、今回は『日中韓交流』のイベントをします。


前回は日韓だけでしたが、中国との尖閣問題やデモを見ていて、一部のメディアだけを見て中国の方への見方を決めつけることをどうにか出来ないかな、と思い企画を進めてきました。


もっと東アジアの文化、つまり韓国・中国の文化を知ってほしいと思い今回はイベントを企画しています。

 

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歴史も乗り越えて、新しい東アジアの関係を作りたい

これからを創る、若者だから出来ること。

——国という大きなものが関わっているからこそ、難しかったことはありましたか?

ありましたね〜。営業をしていた時ですが、電話アポだけで「なんであんな人たちのためにするの?」とか、「どうして何も騒ぎ立ててない日本でするの?」とか、きつい言葉を沢山言われてきました。でも、そういった言葉を聞く度に『もっと伝えなければいけない!頑張ろう!』と思えましたね。


それと、僕自身の力は小さなものやと思い知らされました。仲間が居てくれるからこそ、協賛などで協力してくれる方々がいらっしゃるからこそ、人を大事に思えたり、支えられていること実感できるんやと思っています。

その関わった全ての人たちへの恩を返すためにも、今回のイベントは成功させたいですね。

——若者への想い、意気込みを聞かせてください。

自分たちJKSA学生協力団体の理念は「日韓の学生が恊働し、より相互理解を深め、社会に貢献すること」でイベントを通してだけではなく、様々な活動を通 して理解を深めて欲しいんです。

小さなレベルからでも良いから、友好の輪を広げていきたいです。でも文化を知るだけでなく、そこから歴史を知り、互いを知り、本当の理解を深めることが最終ゴールだと考えています。

そしていずれ、歴史も乗り越え、新しい東アジアの関係を作っていきたいと思っています。

国際情勢なんてあまりにも大きすぎて、他人事だと思っていた

でも、難しいことではなかったんだ

『知ること』から、その一歩は始まる


ぜひみなさんにも

1月19日のイベントへ足を運んでいただきたい。

小さな気づきで良い

若者から大きな渦を、巻き起こせ。

Facwbook:Sungin Kim

Twitter:sungin0408

『JKSA日韓学生協力団体』HP:http://wk-jksa.jimdo.com/

【文:三宅瑶】