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フリーペーパーを制作している学生団体、全国にいくつあるかご存知だろうか?

 

現在、その数は200以上に及ぶという。

そんな全国の学生フリーペーパーを束ねる組織と言っても過言ではない団体が、Student Freepaper Forum(以下SFF)。http://sff-web.com/

 

全国で唯一の学生フリーペーパーコンテストを行っており、今年は12月26日に六本木のラフォーレミュージアムで第7回目のコンテストを行う。

 

今回のインタビューではこのイベントの統括を行う立教大学文学部3年の本橋萌(もとはしもえ)さんに、

①SFFに入ったきっかけ

②本橋さんのポリシーである「人に会うこと」の原点

③SFFの存在意義

④これからの学生フリーペーパーの姿

この4つに絞ってお話を伺った。

 

 

ひとつのコミュニティに留まりたくなかった

 

―― SFFに入ったきっかけを教えて下さい。

 

もともと、1年生の時はデザインの勉強をしたくて、立教のファッションショーをやるサークルに入っていました。

 

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(二列目右端が本橋さん)

 

そこは普段私たちが着ないようコンセプチュアルな服を作るサークルでした。

ショーごとのコンセプトは毎回変わり、洋服を作るだけでなく、ショー演出やモデルの手配など、全て自分たちで作り上げ、ひとつの世界観を作り上げることにとても魅力を感じていました。

 

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(2年生の始めには本橋さんのコンセプトでショーを行った。美術館をヒントに、空間に額縁をおき日常の中に非日常を作った。)

2年生の時に、自分が提案したコンセプトのショーをすることができ、自分の服に対する知識や技術など実力の無さに直面し、挫折を経験しました。その挫折は、自分の中で転機でした。

 

というのも、今のサークルでは友人にも恵まれ、とても充実していたものの、活動を学外に飛び出して多くのことを学びたいと思ったんです。

当時立教にはフリーペーパーを作っている団体が5,6個あり、幼い頃から雑誌に興味があった私は面白そうだなと思い、最初は作り手として、団体を探しまし た。ただ、学内のサークルではまた同じことになってしまうので、渋谷にある「オンリーフリーペーパー」(http://onlyfreepaper.com/)というフリーペーパー専門店に行き外部から探しました。

 

そこで、意外と自分の知らないフリーペーパーが多いなということに気づいたんですよね。

今までは立教内で配られていたものしか知らなかったのですが、オンリーフリーペーパーでは、北海道から沖縄まで全国のものが集まっていて、

それを見たときに「こんなにたくさんいいものがあるのに多くの人はその存在も知らない。だったら、自分で読んで面白かったものは人に伝えたいな」と考え、イベントという人が集まり伝えることの出来る場でコンテストを行っているSFFに入りました。

 

―― イベントを手段として、より多くの人に伝えたかったんですね。フリーペーパーを作る側の魅力とイベントのそれを天秤にかけたとき、どういう基準で選んだんのでしょうか?

 

単純に、多くの人と会いたかったんですよね。作ることで会える人とSFFで会える人の人数を比べたら後者のほうが多いじゃないですか。とにかく人と会いたかったんです。

 

オンナの世界を生き抜くために

 

―― 「人と会う」という基準なんですね。ポリシーとして突然、「人と会うぞ!!」とかって僕はならないと思うんですよ。何かやはり、小さな頃から人が好きであったり話すことが楽しかったんですかね?

 

人と喋るようになったのは、中高一貫の女子校にいた6年間の経験が大きいと思います。

私の通っていた学校はいじめが常習化していて本当に、俗に言う「オンナのドロドロした世界」だったんですよね(笑)

 

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(中高時代は軽音楽部に所属していた。前列左端が本橋さん)

1人の男を友達同士が奪い合って、片方の女の子のケータイが逆パカ(※2つ折りの携帯電話を正常な開閉方向とは逆の方向に折る事)されてトイレの便器に捨てられていたり…表に見えることもそうだし裏でも本当に色々なことがありました。

 

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そんなときに、この女の世界を生き抜くには人の心情や人が何を考えているかを考えなければいけないんだなと感じたんです。

 

―― 苛酷な環境で生き延びるために、否が応でもコミュニケーション能力の大切さを意識しなければいけなくて、自然と能力がついたって感じなんですね。

 

そうそう。みんな男みたいなので、サバイバル。ジャングルですね。笑

だから変に言ってしまうと、いじめられないようにするための力でした。

 

―― では、「人と会いたい」と思い始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 

高校まではみんな部活やったりである程度やっていることがそんな変わらないけど、

大学に入ると、様々なサークルや同好会があって本当に活動の幅が多種多様だと思います。

 

大学生になってせっかく時間もあるんだから、色んなところで頑張っている学生をもっと知ったら自分も新しいことに興味を持てるかもしれないし、視野が広がるかもしれない。

そう思ったことがきっかけですね。

 

―― 人と会い続けたいというモチベーションが冷めない理由はなんだと思いますか?

 

自分が何もないって分かっているからです。

結構、私ってストイックで、昨日の自分が好きじゃないんですよね。

自分を否定するわけじゃないんだけど、「自分って鼻高々に代表をやっててすごいでしょ」とは思っていなくて、代表であるがゆえに頑張らなきゃいけない、というプレッシャーを常に持っています。

「どんどん新しいものを吸収していかなきゃいい団体にも出来ないな」と思っているので、新しく知識を得たり視野を広げるためには、色んな人に会って、色んな話を聞くことを意識しています。

 

―― 本などもたくさん読んでそうですね。

 

そうですね。

だけれども、本だけだと限界があると思っています。

 

人と会うことで一番魅力的なのは五感をフルに使うことだなと感じていて、本は視覚だけなんです。人と会わないと分からない文脈が色々あるな、とSFFをやってきて痛感しています。

 

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「なんで今、フリーペーパーを作っているの?」と問いたい

 

―― 7回目を迎えて、社会的意義もあるような団体になったと思います。

SFFが無くなったらどんな人が損すると思いますか?

 

まず、このイベントのターゲットであるフリーペーパー制作者は損をすると思います。

実は、私達がSFFを開催している理由は、

やっぱり、紙がいいよね!ということを言いたいのではなく、デジタルの時代にお金も手間もかけてなんでフリーペーパーを作ってるの?と問いたいんです。

 

―― なるほど。確かに、フリーペーパーは終わったコンテンツと言ってる人の声もたくさん聞きます。

 

Adobeなどのソフトなどで簡単に作れるようになってきて、完成することだけに満足してしまう学生が多いのは事実だと思います。

配布して、読んだ人が次の日から変わったらその作品は成功だけど、作っただけで満足してほしくないと思います。

 

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SFFでは「人の人生を変えるぐらいの作品を作ろうよ」、なんとなく作っている層に「あなた達もっとちゃんとやりましょう」と問うイベントなんです。

 

その際、コンテストという形式が役立つと考えています。

コンテストは、上位に上がるものはいいものだし、選考で落とされてしまうものは厳しく言うとなんとなく作ってるフリーペーパーの可能性が高い。

だから、そのなんとなく層がイベント当日、上位五媒体とグランプリの作品を見ることで、「あ、俺達もなんで作ってたんだっけ」という原点に回帰してもらいたいと思っています。

 

―― SFFは気づきを与えているんですね。

 

SFFはイベントが最終ゴールなのではなく、イベントがむしろ始まりというか、気づきの場だと思っているので、一番分かりやすく言うと反省会なんですよね。これからどうするかを考えてもらっています。

 

―― 社会に対してはどんな損があるでしょう?

 

頑張っている学生を知る機会がなくなってしまうと思います。

優れたフリーペーパーを作る学生たちは、紙である必然性があって作っています。ですが、SFFがなくなってしまったら、頑張っている学生が評価される場所がなくなってしまうんです。みんなターゲットもバラバラだし、配布場所も異なるので一同が会する場がなくなる。

 

SFFがきっかけで社会人の方が面白い学生の存在を知り、会ってみたり、自分の会社に呼んだりという場面も実際に見てきました。

それって、人の人生を変えてるんじゃないかなと思うんですよね。

 

強い思いを持った学生をもっと多くの人に知ってほしいということが私のモチベーションのひとつでもあります。

 

学生自身が問題解決するための手段

 

―― これからの学生フリーペーパー、どのようなものになっていくと思いますか?

 

この作品で何を伝えたいのかというメッセージとターゲットが定まっていないフリーペーパーは無くなると思います。それらが出来てないものはまず広告が取れないので、フリーペーパーの数自体は減っていくと思いますね。

 

では、どんなフリーペーパーが残るかと言ったら、

趣 味で作っているフリーペーパーと、なんでこんなくだらないこと頑張ってるの?と思わずにいられないフリーペーパーだと思います。単なる情報だけで勝負して いたらWEBには絶対勝てません。趣味としての要素が強くなってきて、実体験をベースにしたものが残っていくと思います。

 

―― 趣味ということであれば、お金を稼ぐことが第一ではない学生が担っていく分野ですね。

 

学生が頑張れる部分というのは同感です。お金儲けをしようと思ったら無理ですね。ビジネスフリーペーパーが衰退している理由がここにあります。

 

学生フリーペーパーということで言えば、今後完全に消えるとは思っていないし、暗い未来が待っているとも思っていません。

 

今の時代はブログもツイッターもあるし、なんでわざわざ紙で表現するの?おかしくない?と思うのも当然だと思います。

でも、だからこそ「学生ってデジタル全盛期なのになんで紙に夢中になるの?」と興味をもつ人もいる。実際にメディアの方から何社もSFFの取材を受けてきました。私達はそこが強みなんですよね。

 

―― 最後に一言お願いします。

 

「学生フリーペーパー実はすごいんですよ。」

 

これを言いたいがために頑張っています。

ぜひ、12月26日会場に足を運んでフリーペーパーの良さを体感して頂ければと思います。

 

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Student Freepaper Forum

HP:http://sff-web.com/

Facebookページ:http://www.facebook.com/sff.web

 

本橋 萌

Facebook:http://www.facebook.com/moe.motohashi

Twitter:https://twitter.com/moehashi

 

 

【文…長瀬晴信 写真…茶谷恵里】