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No.143(写真右)

法政大学文化連盟委員長

齋藤 郁真(さいとう いくま)さん

 

No.144(写真左)

法政大学国際文化学部3年(無期停学中)

武田 雄飛丸(たけだ ゆひまる)さん

 

法政大学文化連盟BLOG:http://08bunren.blog25.fc2.com/

 

10月19日、法政大学市ヶ谷キャンパス内外で学生を主体とする大規模なデモが行われた。

今回のインタビューでは、そのデモの中心となった「法政大学文化連盟」の委員長、齋藤郁真氏と武田雄飛丸氏に話を伺った。

 

※このインタビューは、質問内容を読者の方から公募しています。また、インタビュアーは一貫して中立の立場から質問を行っています。

※記事の内容に関する質問等は、上記記載の法政大学文化連盟へお問い合わせ下さい。

 

 

質問①「何を目指しているのか。本当に現状を変えたいのあればデモ以外の方法もあるのでは?」(明治大学の学生から)

 

―― まず、法政大学文化連盟の一連の活動は何を目的としているのでしょうか。

 

齋藤:この戦い、運動が始ったのは2006年、学内でのビラ撒き規制に対してデモを行ったところ学生が全員逮捕されたことから始まります。自分達のゴールは、自由に誰もが入れて何でも言えて何でもやれてという日常が大学にあることです。

 

学生が自由に大学でビラを撒けたり、政治活動もやれて、一方そこらへんで、お笑いサークルが勝手にお笑いのライブやってるみたいなものも含めてなんでもありな大学を取り戻したいなと考えています。

もともと文化連盟はサークル連合ですので、様々な主張を持ったサークルが大学のなかで自由に自分達の活動を行える環境を保障することが第一目標。

その過程として、現在は規制を撤回させて、退学処分になった仲間を戻すために主にデモを中心に活動しているんです。

 

―― 規制の強化に対して声をあげているんですね。一部の方は飲酒禁止のためだけに声をあげていると思っていると思うのですが、それに対してはどういう考えでしょうか。

 

齋藤:飲酒規制のようなものも含めて反対ではありますが、ただ、飲酒規制だけでやっていると思われる、つまり「酒飲ませろ」と言ってるだけと思われるのは心外です。

 

―― 抗議の手段として主にデモを行われています。その歴史的経緯を聞かせて下さい。

 

齋藤:そもそも法政大学では従来、学生部長や学生センター長のような大学側の窓口の人と、学生団体が正式な申し入れを通じて交渉やルール等々の折衝をしていました。そしてその頃、学生の窓口を担っていたのが文化連盟などの学生団体でした。

 

しかし、2006年のビラ撒き規制を転換点として、それ以後大学側との話が出来なくなり、申し入れ書を出しても「回答なし」が回答ですという答えになりました。大学側の姿勢が明確に学生・学生団体側とは話をしないとなったんです。

そうなったため、それ以後は抗議活動としてデモや集会で訴えるようになりました。

 

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―― デモ以外の方法は行わないのでしょうか。

 

齋藤:ブログを書いたり(http://08bunren.blog25.fc2.com/)、あとは申し入れ書を出したり、学祭規制の過程でも公開質問状なんかも出したりして一応答えてくれというふうにやっていたりはするのですが、基本的に大学側はすべて無視ですね。

こちら側の宣伝の問題ではあるのですが、デモだけをやっているわけではない、というのは言いたいですね。

 

―― しかし、重きを置いているのは間違いなくデモだと思います。なぜ、デモでなければいけないのでしょうか?

 

齋藤:まずは、おかしいと思ったら素直におかしいと声をあげて行動するというあり方がもっともっと取り戻されなければいけないと思っています。

 

かつては法政大学でも、学生部長と学生が話し合いをして物事を決めることはあったと思うんです。それは、50年60年も前ですけど、大学で学生がストライキを行ったという形で勝ち取られてきたシステムです。

それが現在無くなってしまった以上、取り戻すのは当然のことです。だから、デモだとかそういう行動はもっと中心になるべきだと僕は思っています。

 

質問②「活動を通じて自分達があげた成果とは何でしょう?」(社会人男性から)

 

―― これまで活動してきたなかであげてきた自分達の成果は何でしょうか?

 

齋藤:たとえば、「ジャージ部隊」という弾圧専門の職員が2008年頃にいたことがあったのですが、それがいなくなったことでしょう。

あとは、主観の話になってしまうのですが、私達がいなかったら法政のアングラ系サークル(アングラ…反体制運動)は今でこそビラを剥がされるなどされていますが、もっと早くに規制対象になっていたと思います。

 

質問③「この活動を迷惑(うるさい、他人に不快感を与えている等)だと思っている人がいてもやり続けるのか」(法政大学の学生から)

 

―― デモなどの活動に対し、うるさい、不快、迷惑だという声も相当あがっています。

 

齋藤:こちらが活動するごとに大学側の警備体制が強くなっていることは、一般学生にとってはひたすら迷惑が拡大していくというように捉えられると思います。当然、あまり良くないとは思っているので、出来ることなら無くしていきたいです。

 

―― では、そのように感じている人が存在するのを認識しているにもかかわらず、なぜ活動を続けるのでしょう?

 

齋藤:デモをしてるそういう姿さえ見えなかったら、問題が対象化されない、問題さえ分からなくなってしまいます。それこそ、一番良くないことです。

 

迷惑だという気持ちも分かります。

ですが、私達の立場から言えば、それ以上に問題に焦点を当てるべきだと思います。

例えば、今の大学の学生生活そのものが完全にひとつのビジネスとされている問題。

法政大学ですと、学費が毎年上がっていて、その学費が高いことを理由に学生は奨学金を借りなくてはいけない。その奨学金は、ローンとして社会に出る段階から重くのしかかってきます。

 

奨学金ローンなど、所詮金融機関のマネーゲーム。

高すぎる学費のために大学を諦める学生もたくさんいるのに、そういう状況を放置しておくことこそが、見えない形ではありますけれど、学生全体にとってどれだけ迷惑をかけているのかということに憤りを感じています。

私も大学2年生の時に、政治学科のゼミ入っていて、3人に1人くらいが奨学金を借りている状況でした。次の年から社会に出る4年生の中には、「400万円の借金からスタートだよ」と言っている人もいました。

 

社会全体との関係でもっともっと顕在化させていくことが重要なことだと考えています。

 

質問④「そこまで活動するきっかけは?」(一橋大学の学生から)

 

―― 齋藤さんがここまで活動する原動力は何なのでしょうか?

 

齋藤:私も実は、大学に入るころは、学生運動とか死ねよくらいのテンションでした。

雲の上のような話として、政治の問題は捉えていました。

なので、あまりデモとかにも興味は持っていませんでした。

だけれども、実際の問題を見ていくなかで、ビラを撒いただけで逮捕されている人がいる、過激派の人だからそれでいいんだみたいなのはおかしいんじゃないかと思ったんですよね。

 

もちろん、火炎ビンを投げたりしたら逮捕されて然るべきだとは思うのですが、ビラ撒いて逮捕されてそれでオッケーみたいなことは許せないなと思って。そこで、最初は支援という形で文化連盟(当時34サークル。2007年までは大学公認だった。)の会議の場でそちらの立場に立って話をしていました。

 

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その後、そういう活動をしていて自分も職員から「お前誰だ。学生証見せろ」と言われて不満がどんどん積み重なっていくなかで、色んなものが許せなくなりました。

 

逆に言えば、あまり政治意識の無い人は意識的に抑圧された経験が少ないんだと思います。

権威ある人間が本当はくだらないなと思った時に、じゃあ何を大切にしようかと思ったら一緒に戦ってきた仲間を大事にしようと思うんですよね。そういう大切なものを踏みにじるようなあり方に対して自分はすごく許せなくなるんです。そういうバネがあってやっていますね。

武田:さきほどの問題の対象化の話と似ていると思っているのですが、自分は抑圧されたんだと抑圧の構造を指摘する人がいなければ、抑圧の支配自体にみんなが気づかないと思うんですよ。あまりにも理不尽な処分や逮捕があった時に、人は抑圧だと感じることもある。

最初は大きなビジョンとかがなくても、色んな方面で不満が蓄積していくと、大学そのものに対する怒りだとかそれを容認する社会に対する怒りが出てきますよね。後付けとは言いませんが、後と言われたら後からですね。

齋藤:運動したいから運動を始めるのではなくて、みんな怒りをもってこうしたいと思うからこそ始めるんだと思います。

 

―― 武田さんは大学に入った時から齋藤さんの活動に加わろうとは思っていなかったのでしょうか。

 

武田:僕は、もともと左翼とか社会運動に興味がありました。

大学入学後、齋藤さん達がやっている文化連盟のひとつに入り、ビラをもって大学にいると職員に呼び止められるわけですよ。それはおかしいと思って、最初は齋藤さんと同じように支援という形で動き始めたんです。

 

在学中に洞口さんという一つ上の女性の先輩が授業前にクラス討論をして無期停学処分になったことがありました。授業の間の休み時間中に、学園祭規制に反対しましょうみたいなことを言ったら、普段すごくリベラルな文化人類学の教授が休み時間中なのに授業妨害だと職員に通報しました。

それが直接的な理由となり彼女は先ほどの処分を受けました。しかも、教授はそのあとにナチスの言論弾圧を批判する授業をやっているわけですよ。完全に矛盾してるじゃないですか、それを知った時大学への不信が一気に高まり、現在の活動へと至っています。

 

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質問⑤「同じようにデモをしていた先輩は今何をしているのか?」(慶應義塾大学の学生から)

 

―― 同じようにデモをしていた先輩達は今何をしているのでしょう。

 

齋藤:私 みたいに活動家になった人もいれば、普通に介護の世界で働いている人や、これから労働組合作る人もいますし、映像関係に就職しましたみたいな人もいます。 様々ですね。活動をしていない一般の方とそこまで変わらないと思います。運動したからと言ってその後の生活がそんなに変わってるのかと言ったらそこまでだ とは思います。

 

質問⑥「今の政治やマスコミをどう思うか」(慶應義塾大学の学生から)

 

―― 今の政治やマスコミをどう思いますか?

 

齋藤:色んなことは思いますけれど、私としては、なんでもかんでも議会とか政治家に頼るという社会のあり方はやめようよ、とは思いますね。マスコミも政治家も、俺らが全部代弁して言うから普通に日常生活送っとけみたいなのはやめにしようよとは思います。

 

質問⑦「このまま自分達の意見が通らない場合どうするのか、今後の活動予定」(法政大学の学生から)

 

―― このまま自分達の意見が通らない場合、今後どうする予定なのでしょうか?

 

齋藤:基本的には今の方向性、つまりデモとかではあると思うのですが、大学側と話し合える場を設けられるならやりたいし、物事を決めていくというやりあいはしたいなとは思います。

10月19日くらいのデモはこれからも何度でもやりたいですね。

 

―― デモを続けることで法政の評判を下げる、迷惑だ考える人もたくさんいます。

 

齋藤:繰り返しますが、問題点を顕在化させることのほうが大切です。

いま、社会全体で、デモなどの意思表示は段々と広がっていると思いますし、そういう運動とも私達は連携してきました。労働者の人や弁護士の方などと文化連盟として関わりつつ、社会全体としてもっともっと声をあげて自分達の力で社会を変えていきます。

政治家に頼らずに社会を変えることは出来るということを社会全体で作っていくことを、一体でやっていきたいと考えています。法政の中だけから私達文化連盟を見ていたら、厳しいのではないのかと思います。

みんながおかしいと思ったら、おかしいと声をあげて堂々と意見を発信するのが普通にならなければいけない。

 

そのために、まずは自分達が行動しなければいけません。論戦だけでは変わらないと思っています。言葉で何を言うかではなく、何とぶつかって何をやろうとしているのかということです。

 

―― 器物破損などについては?

 

齋藤:裁判的には無罪判決が出ていますし、そういうのも含めて当たり前になるべきだと思いますね。

海外とかすごいじゃないですか、ガラスをぶち破ってビルとかに突っ込んだりするじゃないですか。おかしいと思ったら堂々と思いを伝えるためにそういう手段も時として必要だと考えています。

 

武田:そもそも僕たちによって破壊されたと言われている看板自体がとんでもない内容であるので、僕ら2人がしたわけではないですけど、破壊されて当然だと思います。

僕 の先輩が学生運動をしていて、学費が払えなくなって大学に入れなくなったときに、大学側は「この者は入校を禁止する」というように何の理由も書かずに学籍 番号・氏名をさらしました。それは人権侵害であって、大学は個人の名誉を毀損していると思いますし、そんな看板はそもそも法律違反であって何の利益もない ので壊されて当然なんですよ。

齋藤:まぁ、無意味に窓ガラスを割ったら器物破損ですけど、その器物が何に使われているかというところが大事だと思います。

 

―― 11月1日からの自主法政祭で何か行う予定はありますか?

 

自主法政祭:http://www.13ban.com/hoseifes/ichigaya65/index.html

 

齋藤:学園祭は、みんなのテンションとの関係で無計画にいきなり何かを自分達が行ったら他の企画との兼ね合いも出てきますので、ちゃんと考えて現場の様子を見てやらないと、とは感じています。

まぁ、実力で飲酒規制を粉砕しようぜということで、みんなで一斉に酒飲もうぜとお酒を配ることを考えたりはしています。

 

あとは、11月3日に、2006・2007年くらいに卒業したOBと自主乾杯祭というものを大学のそばでやります。OBが中心にはなってしまうのですが、自主法政祭の伝統である、飲酒文化を取り戻そうと、OBも含めて一斉に酒を飲むことはやろうと思っています。そういう意味では、3日はもしかしたら激しくなるかもしれませんね。やる側の全体の雰囲気によっては正門から突入ということもありえます。

 

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―― 10月25日付けで言い渡された武田さんの無期停学という処分に対しては今後どうしていく予定ですか。

武田: 裁判を含めて、他の色々な集会などを通じて処分撤回の賛同人を集めたりはしたいと思うのですが、先ほど言ったとおり、デモなどの可視化できる実際の運動の 高揚と一緒にそういうのをやっていかないと意味がないです。一応、学生運動で処分されたというふうに僕は捉えているので、やはり運動として勝つために、運 動と撤回は一体で盛り上げていきたいと思います。

本当に処分撤回だけをしたいのであれば、謝れば済む話です。運動で処分された以上、運動で撤回させたいです。

 

―― 学生に伝えたいメッセージをお願いします。

 

齋藤:い まの大学は就職予備校みたいな感じに言われることも多いと思うのですが、大学は本来、考えて学ぶ場です。目の前にあることだけを見るのではなくて、もっと 社会全体と自分のやっている学問、自分が普段受けている講義はどう関連があるのかを考えていくことがすごい重要だと思います。

 

せっかく20歳前後なのに、せせこま しく、ルールだからしょうがないと小さくまとまるのではなく、そんなものは自分達で行動して壊していく、次にルールを作っていくのは自分達なんだと決めて いく情熱が欲しいです。その情熱が今は刈り取られていると思うので、そういうのを一番取り戻して欲しいと思いますよね。

 

―― デモに対して批判的な人達にもお願いします。

 

齋藤:また重複するのですが、大学に入った以上、迷惑だとかなんだとか言うのは簡単ですけど、個人的な不快なんていくらでもありますし、やはりそれは内容で、何をめぐってやっているのかをもっと見て欲しいと思います。

武田:学生が、たかが学生が、大学内でデモや集会をしてるってことに生理的に嫌悪感を感じている人が結構多いと思うんですよ。

これもどうかと思うのですが昔は、感覚で言うと「大学内で集会をして街頭に出てちょっと慎重にやる」みたいな感じでした。大学内は学生がまとめて当然だし、みんなで大衆的に討議したり、行動したりするのが当たり前の場なんだから、むしろ大学内でこそ当然だと思います。

 

今では真逆になっていて、「街頭でやるならまだしも、大学でなんで学生が」と快く思われません。

内容ではなくて、そういうレベルで嫌悪感があるため、内容への批判ではなく迷惑とか騒音という観点からしか具体的な批判というのが来ないのではないのかと思います。

 

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あとは、色眼鏡で見ている人が多すぎです。

「酒飲みたいだけだろ」と、僕らの呼びかけ文を少しでも見たらそれだけではないことが普通に分かると思うんですけど、無理やり切り縮めて、学生が無茶をやってるだけみたいな感じにされています。

 

齋藤さんと同じですがしっかりと内容を見て欲しいし、デモや集会がなんでこういうふうに思われるようになってしまったのか、なんで大学がそういうのを一番してはいけない空間になってしまったのかを含めて、考えて頂きたいなと思います。

 

 

法政大学文化連盟BLOG:http://08bunren.blog25.fc2.com/

 

※記事の内容に関する質問等は、上記記載の法政大学文化連盟へお問い合わせ下さい。