政治を見て、ダンスを見て?

 

No.130


お茶の水女子大学文教育学部芸術・表現行動学科舞踊教育学コース

北 麻理子さん
Twitter:
@mrkktant

 

北さんは課外活動として今年6月まで学生団体ivoteの代表を務める傍ら、大学では舞踊科に通いダンスについて研究されています。“政治とダンス” 今回のインタビューで、彼女を物語るこの二つのキーワードを強烈に感じました。

 

何でも物事を深く考える事が好きだと話す北さん。

今回は、学生団体ivoteに対する思いや代表を通して得たもの、ダンスの魅力や奥深さについて語っていただきました。

 

 

 

*第一部 学生団体ivote

                  

北 さんは2012年7月まで学生団体ivoteの代表をされていました。学生団体ivoteとは、若者の20代の投票率向上を目指し活動している団体で、政 治に関する講演会や勉強会、イベント等を開催しメディアでも多数取り上げられている今注目の団体です。中でも居酒屋ivoteは団体創設以来続くイベント で、現在では第12回まで開催されているロングラン企画となっており、実際に政治家をゲストとして呼ぶことで政治への興味関心や投票率の向上を目指した企 画となっています。

詳しくはこちら→www.i-vote.jp/

 

 

 ―― ivoteに入ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか

 

私は、中高と女子校だったので、女子大に入る時点で「10年女子校かあ…そろそろいいや。」と言う気持ちでした。でも、どうしてもダンスを専攻したくてお茶の水女子大学を選びました。

 

大学に入って1年の前期は夏のコンクールに向けてずっと練習していました。 コンクールというのは、私の大学のダンス専攻が毎年出場している、神戸で行われる全国規模のコンクールです。 当時は毎日毎日練習で、超厳しい部活のような感じでした。

 

コ ンクールなので入賞するのが絶対で、練習は日が近づくにつれてピリピリしていきました。舞台に出る人が怪我をして代わりが必要になったときに、代役で自分 が率先して入れるように、その人の分まで振り付けを練習しておきなさい、と言うような雰囲気でした。 でも、私はダンス経験が他の子と比べると少なく、自 分の実技のレベルにそれほど自信はありませんでした。

 

元々 私は実技をやりたくて大学に入ったわけではなかったのもあり、そこまでして舞台に立ちたいとはどうしても思えなくて、自分がコンクール向きじゃないなとい うのをそのとき凄く感じました。 コンクールに向けてがっつり取り組むのは、今年で最後にしようとその時思いました。

 

外の世界への興味と偶然の出会い

 

夏 のコンクールが終わり、一年の後期になった頃、ちょっと外に出たいなと思いました。 お茶の水女子大の舞踊教育学コースは1学年につき15人なんです。4 学年合わせても60人というコミュニティはすごく少ないなあと感じていました。このまま舞踊科15人だけで4年間を終えるのは勿体ないと思いました。

 

そ う思っていた時、たまたま友達から学生団体のイベントに誘われたんです。そこで登壇していたのがivoteの前代表で、そこでivoteを知りました。ダ ンスを専攻する前は政治学部に入ろうと思っていて、政治には元々興味がありました。なので、学外で活動するとなった時に”政治”という分野もいいかもと感 じていて、ちょうど新メンバー募集説明会をやっていたのでとりあえず行ってみました。これが、私がivoteに入ったきっかけですね。

 

 

―― ivoteを通して学んだこと・成長したことは何だと思いますか?

 

face to face で会うことが重要だなということを痛感しました。 自分は筆不精でメールもそれほど好きではない。自分から会いに行くのも元々は苦手。自分は人見知りだと 思っていたくらいです。でも、ivoteの代表になってからは団体の顔として色々な人に会うべきだなと思いました。 そう意識してからは、なるべく「会い たいです」とか「会いましょう」となったら断らないようにしました。代表として会う、この経験で人見知りを解消しました。そういう意味で政治以外にも、代 表として成長できたところは凄く大きいですね。むしろそっちの方が大きいかとも思います。

 

伝統と変革。自分らしい色で染め上げること

 

あとは、団体内をどう作っていくかも考えました。私は2代目なのですが、就任した時は1代目が創設から3年間やった後で、立ち上げのメンバ―が抜け人数も少なくなった状態だったんです。この残ったメンバーで団体を創るにはどうしたら良いのだろうかと凄く考えましたね。

 

私 がivoteに入ったのは1年生の10月で、代表選挙がその翌年1月でした。そこで立候補者がいなくて選挙で私が選ばれたのですが、その時私は団体の中で も最年少で、まさか自分が選ばれるなんて思ってもみなかったんですよ。その後は、ハラケンさん(ivote初代代表)と言えばivote、ivoteと言 えばハラケンさんで知られていた団体を、どうやって自分の色にしていくか考えましたね。

 

ハ ラケンさんはリーダーシップの強いカリスマ的存在で人を惹きつける魅力がありました。でもそのポジションに私が行けるとは到底考えられなかったので、私は 何か違う方法でリーダーシップをとらなければと思っていました。そこで、“みんなでやっていきます。私もメンバーの一員です。私を助けて下さい。”と言っ たスタンスで行こうと決めました。

 

その結果、団体の雰囲気はガラッと変わったと思います。私を権威づけるものは“選挙で選ばれた”と言うことだけでしたが、その事実が私にとっても自信になっていたし、“頑張りたい”ただそう思う一心でしたね。

*第二部  舞踊

 

北さんはお茶の水女子大学文教育学部芸術・表現行動学科舞踊教育学コースで舞踊(ダンス)について研究されています。

 

 

―― 舞踊科を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

 

舞踊科には実技と座学があるのですが、私は座学に興味があって入学しました。私は中高生の時に英語劇のミュージカル部に入部していたのですが、自分でダンスを創ったり踊ったりする中でダンスの勉強をやりたいなと思うようになりました。

 

高校3年生の時、私の高校は進学校だったのでとりあえず東大を目指しておけ!と言うような雰囲気がありました。 だから、私も東大に行く!とノリで言っていたんですが、実際は東大を目指すことにあまり意味を見い出せていませんでした。 政治には少し興味がありましたが、ここの大学に行きたいというような大学はなかったんです。そんな高校3年生の時、今に繋がるきっかけとなる出来事があり、第一志望をお茶の水女子大学の舞踊科に変えました。

 

夢と現実

 

その出来事とは、アメリカのNPOヤングアメリカンズと言う団体のワークショップに参加したことでした。このワークショップは、歌や演技を上手くなろうというものではなく、みんなで歌うこと・ダンスすることを通してコミュニケーションすることの楽しさを理解するというような趣旨のものでした。先生はアメリカの大学生が中心なので1822歳で、参加者は小学生~高校生までというものです。 ダンスの上手い・下手ではない価値、教育的なスタンスでダンスや歌を扱うことは凄く素敵なことだなと思うと同時に私もやりたいと思いました。そう言う進路もありだなという新たな発見をした瞬間でした。

しかし、お茶の水女子大学の舞踊教育学コースは実技の試験もあって、凄くハードルが高く感じられたんですよ。その時の私は勉強も辛い状況で、夢だよなと諦めていました。

 

夢を追うこと、諦めないこと。

 

でもそんな高校3年生の夏に、私の大好きなミュージカルRENTの来日公演がありました。 初演の時のキャストがツアーで来日する記念すべき公演で、ファンとしては行くしかないという思いで、初演と千秋楽と中日、全部で3回もその公演を観に行きました。 RENTのストーリーには夢を追おうよというメッセージも沢山つまっていて、私はその公演に完全に感化されて、夢にかけてみよう”“第一志望をお茶の水大学の舞踊科にしようそう心に決めました。私はダンスの勉強をしたい。もしお茶大が駄目だったら夢を諦めろということなんだろうそう思って受験を決めました。

 

結果、大学はお茶の水女子大学の舞踊科に合格して、今に至ります。

 

沈黙で心を通わせるからこそ究極のコミュニケーションかもしれないし、その感度を高めるために私はダンスを勉強しようと決めたのかもしれない。

 

先ほど言ったヤングアメリカンのワークショップで、私が一番大好きなダンスはリリカルダンスという音楽の歌詞に合わせて叙情的に踊るダンスでした。

 

このダンスは歌詞に合わせた簡単なフリに始まって、ワークショップの後半はそのリリカルダンスをつかい、周りの人とアイコンタクトでコミュニケーションをとったり、周りの人を感じて踊るようにと言われるものでした。

 

それで私が踊っていたとき、たまたま隣でジェイミーと言う女性が踊っていて、私は何となく二人で踊っているという感覚を感じていたんです。別に事前に話して打ち合わせしていた訳ではなかったんですが、「あ、今二人で踊ってる」という瞬間があったんです。

 

その踊りの時間が終わった後、私はジェイミーから「さっきはありがとう」という声掛けをもらいました。お互い同じことを感じていたんです。

 

ダンスは一つのコミュニケーション手段

 

そ の後、私とジェイミー二人で話す時間があって、お互い英語と日本語で拙い感じだったんですが、私は感極まって泣きながら「大学でもダンスを勉強するの」と 言いました。ジェイミーはそのとき「私もダンスをしたくて今先生してる」と言う話をしてくれて、私はこの瞬間、確かに繋がりを感じました。言葉を交わさな くてもコミュニケーションはできる、その手段としてダンスもあるんじゃないか、そう思いました。

 

ことばを使わずに感じる繋がりとは

 

ダンスを教育に取り入れたいという思いも、ダンスは言葉を交わさないコミュニケーションだから、という思いから来ています。

 

大学では実技の授業を15人でするのがとても面白いんです。時を経るほどに段々と学年としての空気が作られていくのを肌で感じます。 毎年4月に卒業公演があって、みんなで振りを作って踊るのですが、1年生の時はイマイチ息が合わないと思っていたのが次の年はなんとなく息が合うと感じるようになりました。この子の振りってこういう感じだよねというのもわかっているし、何となくこのタイミングここだよねという風に息が合う瞬間が生まれやすくなってくるんです。

 

下級生とやる実技は、そこでこうくるんだというような予想できない間があるのですが、同学年はやはり空気感で繋がっているという感じがあって、そういう空気感は面白いし大事にしたいなと思います。

 

普段は言葉があるから意識しないけれど、本当は言葉以外にも空気感呼吸が合うということが大切に存在していて、それが実は大事なんだと思っています。そのひとつの軸としてダンスがあるそう言う風に思っています。

 

 

―― 最後に将来思い描く自分の人物像を教えて下さい。

 

将来は、魅力的な人になりたいです。話していて楽しくて、また会いたいと思ってもらえるような。仕事をするようになったら、あなたと仕事をしたいと思ってもらえるような人。その思いが今は一番強いですね。 それから、仕事を始めたら絶対自分と対立する人っていうのが出てくると思うんですね。そういう人を仕事上の関係から切り捨てることも手段としてはあると思うんですが、私はみんなに理解してもらえるような人でありたいと思うんです。もし意見が対立しても、その根本にある何故対立しているのかということをわかった上で対立できれば、向こうも敵にはならないと思うんですよ。

 

人を理解したいという気持ちが強いです。相手がどう思っているのか聞き取れるような人、今後はそういう人にもなりたいと思っています。

 

 

【文・編集 生山絵美子】