お笑いを『見るモノ』から『やるモノ』へ。

 

高い身長に低い声、恵まれたキャラクターを前面に活かした中田和伸(なかだかずのぶ)さんがボケれば、山口翔太郎(やまぐちしょうたろう)さんのツッコミが抜群の反射神経で欲しいところに気持ちよく炸裂する。

 

そう、彼らが「お笑いインカレ2011」の漫才部門で見事優勝を果たし、大学生の日本一に輝いたお笑いコンビ、『このよの』だ。

 

実績あるお笑いコンビとあって、文字にしてそのテンポが伝わらないのが惜しいほど二人の会話は息ピッタリ。そんな今勢いに乗るお笑いコンビ「このよの」に、お笑いの魅力や今後の展望についてお話を伺った。

 

※「このよの」の漫才は動画でIOK公式サイトから閲覧可能!是非ともお楽しみ下さい。

http://iok-owarai.com/index.html

 

この記事は前後半の二部構成です。

前半…お笑いサークル「IOK」の創設とお笑いコンビ「このよの」結成

後半…全国レベルの大会での経験・「このよの」が思うお笑いの魅力


お笑いが“見るモノ”から“やるモノ”へ

 



―― 本日はよろしくお願いします。まず大学入学以前の話をお伺いしたいのですが、最初にお笑いに興味を持ったのはいつ頃ですか?

 

中田:ハ、ハイ、子どもの頃から好きデシタ(棒読み)。

山口:ちょっとちょっと!ちゃんと喋って(笑)。

中田: なんか緊張しちゃって。えっと…もともと僕、幼稚園の頃からふざけるのが大好きな子供だったんです。それで確か小1か小2の時に、M-1グランプリが始 まって、それを見て面白いなと思ってお笑いに興味を持ちました。小5、小6の時はお楽しみ会で漫才ごっこをしたり、中学や高校ではコンビを組んで文化祭で 漫才したりしていました。

 

―― なるほど。わりと早い時期から漫才の経験を積んできたんですね。山口さんは?

 

山口: いつから、という時期はハッキリとは覚えていませんが、もともとお笑いを見るのは好きだったんです。中高時代から、テレビとか動画とかで特に漫才を見るの が好きで。友達に、お笑い好きがいたんですよね。結構「この漫才、面白いから見ろよ」みたいな感じで、友達からお勧めの動画とかを教えてもらっていまし た。

中田:吉岡?吉岡?

山口:吉岡って誰だよ!俺、吉岡なんて友達いないから!

 

―― (笑)。大学でお笑いをやろう、と意識していた訳ではないんですね。

 

山口:はい。そんな考えは全然なかったです。お笑いは“見るモノ”でしたから。こういう風に自分にとってお笑いが“やるモノ”になるなんて、自分が一番驚いてるくらいですね。あ、なんか今俺、良い言い方した(笑)。ちゃんと書いといて下さいね!

中田:吉岡なんて友達がいないってところ?

山口:そこじゃねーよ。

 

―― 2010年に大学に入学して、最初は一橋大学にお笑いサークルが無かったんですよね。そこから「IOK」を創設された経緯について教えてください。

 

中田: 入学前から、大学では絶対何かしらの形でお笑いをやりたいなと思っていたんです。でも入学していざサークルを探そうと思ったら、どうやら一橋にはお笑い系 の団体が全く無いと。多分どこの大学にもお笑いサークルや落語研究会みたいな団体が一つはあるだろうと思っていたので、特に受験生の時に調べなかったんで すよね。
で、どうしようかな~と思っていた頃、たまたま高校の先輩の谷脇さんって人とバッタリ出会って。谷脇さんも昔からお笑いをやってきた人 で、高校の時に文化祭で共演したりしてたんです。その谷脇さんが一浪して同じ学年で一橋に入っていて、偶然会った時にお笑いやりたいね~って話から、じゃ あ作ろうか、と。

(ここで突然部屋の電気が落ちるハプニング発生)

山口:えー!なにこれ怖い話だったの!?

一同:(笑)

(電気がつき、再開)

中田: それでその後、全然関係ないサークルの新歓で当時3年生だった齋藤さんて人と出会ったんです。齋藤さんもずっとお笑いサークルを作りたいと言ってた人で、 意気投合しました。それで齋藤さんと、齋藤さんの後輩の当時2年生だった稲川さんって人と、谷脇さんと僕の4人でお笑いサークルとして始動した感じです。

山口:齋藤さんと谷脇さんとは本当に偶然出会ったって感じだから、なんか奇跡的だよね。

 

―― そのあとに山口さんが加入したんですね。

 

山口:そうです。僕はもともと中田とクラスが一緒で、中田に「一回来てみない?」って誘われたことがきっかけですね。見学に行って、なりゆきで…

中田:そこからとんとん拍子に。

 

―― 「このよの」というコンビはどのように結成されたんですか?

 

山口: 最初6月くらいに、クラスが同じだしとりあえずここで組んでみようか、みたいな感じでコンビを組むことになったんです。で、中田は高校までツッコミだった んですけど、最初は取りあえず中田がボケで自分がツッコミの形でやってみようと。そうしたら、案外しっくりいったんですよね。

 

―― 「このよの」というコンビ名の由来は?

 

中田: 実は、あまり意味のある由来じゃないんですよね(苦笑)。僕が大会のエントリーをしようとしたら、コンビ名を書かなきゃいけなくて、そこで「あ、やばい決 めてない」となったんです。で、ぐっさん(山口)に電話を掛けたら、この人ちょうどバーベキューやってて。早く電話切りたいんだけど、みたいな。

山口:そこまでは言ってないでしょ(笑)。

中田:で、やばい早く決めなきゃ~ってなってる時に、彼がクラスの友達のskype名だった「このよの」でよくね?って言ったんですよ。それを聞いて僕の心の中で、このよの…このよの…このよの…ピーーン!!キターー!!みたいな。

山口:絶対そんな感じじゃなかっただろ(笑)。


(中田さん)

全国大会での経験

(山口さん)

――昨年は全国の大学生が出場する「お笑いインカレ2011」で見事優勝を果たしましたね。その時のことを振り返っていただけますか?

 

中田:いや、インカレで優勝はしたんですけど、あれはたまたまっていうか…。自分たちより上はまだまだいっぱいいるんですよね。

山口:うんうん。一応規模的には大学生の中で一番大きな大会ですけど、関西とかで本気でプロを目指してる芸人は、大学生の大会には出ないですから。

中田:実質的には関東の中で勝てた、という感じです。それに団体戦も個人戦も出てたコンビって少なくて。団体戦には出ても個人戦には出ない、というところもいっぱいあったから、ライバルもいつもより少なかったんですよね。

 

――謙虚ですね。それでも周りの反応はすごかったのでは?

 

山口:そうですね。自分たちが思っている以上に、周りの人は喜んでくれました。

中田:そこで初めて優勝の実感が沸きましたね。

 

――学内ライブと、インカレのような大会ではやはり心境も違いますか。

 

山口:違いますね。学内ライブは、お客さんの中に知り合いもいっぱいいて、言ってしまえば「ホーム」ですから。内輪ネタをやってるつもりは無いですけど、やっぱりやりやすい空気ではあります。外部だと、大会独特の空気がありますし、学内でやる時とは違いますね。

 

――「独特の空気」と言いますが、その中でやはり緊張もするのでは?

 

中田: いや、最初の頃はむちゃくちゃしてましたけど、最近はあまりしなくなりました。決勝まで残れたら、もうあとは楽しもうかなと。逆に決勝に上がるのが難しい 予選とかの方が緊張します。インカレの時も優勝とか考えてなかったし、ただ決勝の舞台を楽しもうって気楽に挑めたから、緊張はしなかったですね。そうやっ て気負わなかったのが良かったのかも知れません。

 

――では、これまで様々な大舞台を一緒に乗り越えてきたお二人ですが、相方の良いところをそれぞれ教えてください。

 

中田:あ、無いです。

山口:ちょちょちょ!即答!「あ、無いです」じゃねーよ!あるから!

中田:冗談冗談。良いところあるよ。……ツッコミが、上手い。

山口:オイ!(笑)

中田: いや、これ結構大事なことなんだよ?パってボケてパっとすぐ反応して突っ込んでくれる人って、実はあまりいないんです。彼は、本当にシンプルで良いツッコ ミをしてくれる。よくひねたツッコミする人っているんですけど、彼の場合は良い意味でオーソドックスで、シンプルなところがすごく良い。そういう点で他の 大学の人からも高い評価をもらってるくらいで、僕は鼻高々ですね。

 

――では山口さんから見て中田さんの良いところは?

 

山口: 中田の良いところは、お笑いにすごくストイックなところ。漫才中じゃなくても、普段の会話とかIOKの活動の中でも中田はちょいちょいボケを挟むんですけ ど、そのバリエーションがどんどん増えていくんです。一緒にいて「あ、これ今までに無いパターンだな」って発見が多くて、本当に飽きない。手持ちがさらに 増えていくし、今までのネタもさらにレベルアップしてる。お笑いに対して日々変化していって、人を飽きさせないところはすごいなと思います。

中田:……まぁ、いいでしょう。

山口:なんでエラそーなんだよ(笑)。

 

お笑いの魅力と今後の展望


――漫才のネタは普段どのように考えるのですか?

 

中田:基本的には僕が原本を作って、それを二人で合わせて直していく感じです。

山口:7~8割は中田がベースを作ってくれて、ネタ見せとか、学内ライブをやっていくうちに「ここウケなかったね」とか「ここ直そう」とか変えていきますね。

 

――お笑いのスキルはどうやって学んでいくんですか?

 

中田: 能動的に、お笑いを勉強しよう!というのは無いですけど、やっぱりライブをやったり他の人の漫才を見たり、そういう経験がそのまま自分の力に活きてるのか なと思います。コンビ結成時より全然良くなっているのは自分でも感じるし、知らず知らずのうちに色々吸収してるのかなって。

山口: そ うだね。あとは、谷脇くんがよく言うんですが、「お笑いに完全に新しいものは無い」と思うんです。どんな創造的なネタでも、絶対どこかの芸人さんがやって きたことがベースにはある。問題はそのベースをどう変えて、どう組み合わせるかで。特に僕の場合、大学からお笑いを始めて経験なんてゼロからのスタート だったから、それこそ色んな芸人さんのネタを見て、まずは上手いツッコミを真似するところから始めましたね。

 

――お笑いをやっていて良かったなと思う点は。

 

山口: 僕は、人見知りがなくなったこと。いや、これは本当に良かったなと思います。高校時代まですっごい人見知りで初対面の人とあまり話せなかったんですけど、 お笑い始めてからそういうこともあまり無くなりましたね。やっぱり人の前に立つことが多いから、度胸がつくというか。授業でやるプレゼンテーションも全然 緊張しなくなりましたね。

中田:え、スゲー。俺、めちゃくちゃ緊張する(笑)。この前も授業のたった2分間くらいのスピーチでめちゃくちゃ声が震えた。

山口:5分の漫才は平気なくせになんでよ(笑)。

 

――中田さんはどうですか?

 

中田: お笑いやってて良かったこと…。僕、高校まで勉強でもスポーツでも他の人に少し劣等感みたいなものがあったんです。でもお笑いだけは頑張ってみようと思っ てここまで続けてきて、自分にはコレだよって言えるものができたのが、一番大きいかなと思います。自分の意義じゃないけど、ちょっとは自信もついたかな と。

 

――では最後に、今後への意気込みをお願いします。

 

中田:IOKは代替わりして運営は後輩に移りましたが、今後も忙しくない限りお笑いの活動はしていくし、このよのでもやりたいと思っています。個人的には、夏は大会が多いので、そこで勝てたらいいなと思います!

山口:自分はIOKにこの先何年も続くサークルになって欲しいという願いがあるので、しっかり下に引き継いでいきたいです。そのためにも、今後もこのよのがサークルを引っ張るコンビであり続けたいと思います。

中田:僕もそう思います!


一橋大学お笑いサークルIOK公式HP:
http://iok-owarai.com/ 

Twitter:https://twitter.com/IOK_hitotubashi/

 

【文・写真…中村麻衣子】